音楽鑑賞に血圧を下げる効果はあるか?

(2016年5月) "BMC Cardiovascular Disorders" 誌に掲載されたエラスムス大学(オランダ)の研究(システマティック・レビュー)によると、音楽を聴くのが高血圧の治療に役立つかもしれません。出典: Systematic review and meta-analysis of music interventions in hypertension treatment: a quest for answers

レビューの方法

音楽療法が成人の血圧に及ぼす影響について調べた10のランダム化比較試験のデータを集めて分析しました。 どの試験も試験期間は28日以下でした。

音楽療法の内容
  • 聴く音楽の種類はクラシックやリラクゼーション・ミュージックのほか、試験によってはジャズなど様々でした。
  • 音楽を聴く時間は10分~30分ほど。
    BGMとして音楽をかけておくのではなく、音楽に集中して耳を傾けるということでしょう。
  • 音楽を聴く回数は大部分の試験で1日1回でしたが、週に3回あるいは1回だけという試験もありました。
  • 音楽を聴くだけでなく作曲もする(週に1回)という試験もありました。
結果
音楽療法により、収縮期(最高)血圧の平均値が試験前には144mmHgだったのが試験後には134mmHgへと、そして拡張期(最低)血圧の平均値が84mmHgだったのが78mmHgへと下がっていました。 ただし、この結果は統計学的に有意と言えるほどではありませんでした。
10mmHgの低下の意味
過去の研究に、収縮期血圧が5mmHg下がるだけでも総死亡率が7%、冠動脈疾患による死亡率が9%、脳卒中が関与する死亡率が14%下がるという結果になったものがあります。
何もしないグループとの比較
10のランダム化比較試験の大部分では、呼吸法(*)やリラクゼーション・プログラムを行ったグループとで血圧の下がり具合を比較したのですが、何もしないグループや高血圧の標準的な治療だけを行うグループと音楽療法を行ったグループとを比較した3つの試験では、音楽療法を行ったグループの方が血圧が下がっていました。

(*) 呼吸法と音楽療法とで血圧降下効果を調べた試験では、むしろ音楽療法の方がコントロール・グループ(比較対照用のグループ)として扱われており、そのうちの4つでは呼吸法やリラクゼーション・プログラムの方が血圧を下げる降下が強いという結果になっています。

呼吸法の方法
呼吸法では音楽にあわせて10分間ほどゆっくりと呼吸をします。 とある研究で用いられた呼吸法では、1分間あたり4~6回の呼吸をします。 そして、息を吸う時間と息を吐く時間の割合は1:2。
結論

今回のレビューでは統計学的に有意な結果に至らなかったものの、このレビューにはデータの人数が少ない(10の試験の合計で445人)とか各試験の内容の違いが大きいといった弱点があったため、今回のレビューで音楽療法が高血圧に効果が無いことが確定したわけではありません。

音楽鑑賞はコストがさほどかからないうえに副作用もないため、高血圧治療の一環として試してみても良いかもしれません。