肝臓移植に酸化防止剤のN-アセチルコリンが有効

(2013年2月) "Liver Transplantation" 誌に掲載されたイタリアの研究によると、移植対象の肝臓を取り出す前にN-アセチルコリン(NAC)を注射しておくことで、移植後の移植片の生存率が有意に改善されます。 このことから、最適以下(suboptimal)の肝臓を移植するケースで NACの注射が有効であることが示唆されます。

過去の複数の研究において、ドナーの肝臓の保管中に生じた虚血再灌流障害(IFI。 肝臓に戻る血液の酸素が不足していることによるダメージ)のために、移植後早々に移植片の機能に悪影響の出るケースのあることが示されています。

今回の研究

この研究で行われた肝移植は140件で、移植対象者は全員が始めての肝移植でした。 肝臓を取り出す1時間前に NAC を 30 mg/kg 注射し、さらに大動脈遮断の前にも門脈から 300mg(肝臓1kgあたり 150mg)を注入しました。

140件のうち69件では NAC で処理した肝臓を移植し、71件では NAC で処理していない肝臓を移植しました。

結果

移植から3ヶ月目および12ヶ月目の時点での移植片の生存率は、NAC 処理した肝臓では93%と90%、NAC 処理していない肝臓では82%と70%でした。

また、移植後の合併症についても、NAC 処理した肝臓で23%に過ぎなかったのに対して、NAC 処理していない肝臓では51%でした。

さらに、140件のうち最適以下の肝臓が移植された61件において臓器障害が生じた割合は、NAC処理した肝臓で15%であったのに対して、そうでない肝臓では32%でした。

研究者によると、NAC は安全性が高い上にコストが低いそうです。