ナルシシズムの現れ方は一部が男女で異なる

(2018年1月) "Psychiatry Research" 誌に掲載されたフランス国立保健医学研究機構(INSERM)などの研究によると、ナルシシズム(自己愛性パーソナリティ障害)の現れ方が男女で異なる可能性があります。

ナルシシズムとは

「DSM IV」と呼ばれる精神疾患の診断基準では、以下の5つ以上に当てはまる場合をナルシシズムとみなしています:
  1. 自分の重要性(能力や業績など)を過大に評価している。 周囲の人たちから「優れている」と認められて当然だと考えている。
  2. 自分が成功・権力・賢さ・美しさ・理想の恋愛などをとめどなく得ることを妄想する。
  3. 自分が特別な存在であると信じている。 自分を理解できるのも、自分が社交すべきなのも自分と同じように特別な一握りの人たちだけだと考える。
  4. 過度に賞賛を求める。
  5. 自分に特権があるかのように感じている。 根拠も無く特別な好待遇を要求したり、他人が自分に従うのを当然だと考えたりする。
  6. 自分の目的に他人を利用する。
  7. 他人の気持ちを理解しない。 相手の立場に立って物事を考えられない。
  8. 他人を妬むことが多い。 また、他人も自分を妬んでいるはずだと考える。
  9. 傲慢な態度を取る。

研究の概要

米国に住む男女3万5千人弱のデータを分析したところ、ナルシシズムの判定に用いられる上記の9つの項目のうち2つにおいて次のような性別による違いが見られました。
  1. ナルシシズムが軽症の場合、女性ナルシシスト(ナルシシズムを抱えている人)よりも男性ナルシシストのほうが「共感性の欠如」(7番目の項目)に該当することが多かった。
  2. 女性ナルシシストよりも男性ナルシシストは、「他人を妬む」(8番目の項目)に当てはまる場合にナルシシズムが重症度であることが多かった。

他の項目に関しては性別による違いが見られませんでした。

おまけ(過去の記事からの抜粋)

ナルシシスト度を判別する方法

Plos One" 誌(2014年)に掲載されたオハイオ州立大学などの研究によると、次の質問を問いかけるだけで自分のナルシシスト度を判定することができます。

「ナルシシスト」とは自分本位で極度に自己中心的で見栄っ張りな人のことですが、あなたは自分がナルシシストだと思いますか?

この質問に対して、1(あまり思わない)~7(強くそう思う)の7段階で回答します。 この質問に当てはまる度合いが強いほどにナルシシスト度が高くなります。

どういう人がナルシシストになるか?

子供の頃に家庭内暴力・親の愛情不足・親の過大評価にさらされた人は、ナルシシストへと育つリスクが増加します。

ナルシシズムのメリットとデメリット

ナルシシズムには次のようなデメリットがあります:
  1. 人の意見に同意しない。
  2. 怒り・恥・恐怖を感じやすい。
  3. 人間関係が苦手。
  4. 自我が脅威にさらされるときには向社会的(社交的で利他的)な行動を忌避しがち。
  5. 長期間の恋愛関係を維持するのが苦手。
このようにナルシシズムはナルシシスト本人にとっても厄介なものですが、ナルシシストは次のような良い性質も持ち合わせています:
  1. ポジティブである。
  2. 外向的である。
  3. 抑鬱に対する耐性がわずかにある。

自尊心とナルシシズムの違い

ナルシシストは自分が他人よりも優れていると考えていても自分に満足してはいません。 つまり、自分に満足するのが自尊心であるのに対して、自分が他人よりも優れていると考えるのがナルシシズムだというわけです。

自尊心が強い人の場合

自尊心が強いというのは自分自身に満足しているということであって、必ずしも自分が他人よりも優れていると感じていることを意味しません。 自尊心が強い人は自分が価値のある人間だと考えていますが、だからといって他人よりも自分の方が価値が高いとは考えていません(他人との優劣を比較しない)。

自尊心が強い人は他者と親密な人間関係を形成することを好みますが、他者から賞賛されることばかりを望んではいません。 また、自尊心が強い人は他人に対して攻撃的であったり腹を立てたりすることが滅多にありません。

ナルシシストの場合

ナルシシストは親密で暖かな人間関係などというものを求めていません。 ナルシシストが他人に求めるのは賞賛だけであり、彼らは常に自分が他人よりも優れていることを示そうとします。

ナルシシストは他人に賞賛されると大喜びしますが、賞賛されないとなると恥じ入ったり、ときには腹を立てたり攻撃的になったりすることもあります。