首の慢性痛を緩和するのに必要なマッサージの頻度と時間

(2014年3月) "Annals of Family Medicine" に掲載された米国の研究により、首の慢性痛(*)をマッサージで解消しようとする場合に効果的なマッサージの量が明らかになりました。 ただし、プロのマッサージ師にマッサージしてもらうことが必要です。
(*) 交通事故や、PCの使い過ぎ、寝るときの姿勢などを原因とする首の痛み。
研究の方法

同じ研究グループが以前に行った研究で、マッサージの効果が出るまでに4週間かかることが示されていました。 そこで今回の研究では、20~64才の男女 228人に次の6つのグループに分かれて4週間にわたってマッサージを受けてもらいました:

  1. 30分のマッサージを週に2回のグループ
  2. 30分のマッサージを週に3回のグループ
  3. 1時間のマッサージを週に1回のグループ
  4. 1時間のマッサージを週に2回のグループ
  5. 1時間のマッサージを週に3回のグループ
  6. マッサージを受けないグループ
結果

4週間後に首の機能と痛みの程度を検査したところ、症状が最も改善されていたのは1時間のマッサージを週に3回受けたグループでした。 このグループでは、マッサージを受けなかったグループに比べて、首の機能が臨床的に有意に(患者が実感できる程度に)改善する率が5倍近くに、そして首の痛みが臨床的に有意に軽減される率が2倍超に増加していました。

解説

首の痛みに対するマッサージの効果に関しては過去にも複数の研究が行われていますが、それらの結果はまちまちでした。 そこで今回の研究では、マッサージの頻度と時間に注目しました。

今回の結果から、プロのマッサージ師によるマッサージを適切な時間受けることで首の痛みが軽減される可能性があると考えられます。 ただし、マッサージの頻度や1回あたりの時間が足りないとマッサージの効果が出ないケースが多いため、1時間のマッサージを週に2~3回受けるのが最適だと思われます。

研究者は次のように述べています:
「30分より60分のマッサージを受けるのが良いでしょう。 そして、最初の4週間は週に複数回のマッサージを受けるのが効果的です」
留意点

今回の研究の参加者の平均年齢が40代だったため、高齢者の首の慢性痛にもマッサージが有効であるかどうかは不明です。

また、首の慢性痛の治療法としてマッサージが推奨されるのは、今回よりも長期間にわたる研究によりマッサージに長期的な効果があることが確認されてからになります。 過去の研究に、マッサージによる治療を受けてから5年間が経過すると半数以上の患者において首の症状が再発するという結果になったものがあります。

プロのマッサージが望ましい

ただし研究者は、家族や友人などにマッサージをしてもらうことには否定的です。 今回の研究でマッサージを担当したのは熟練のマッサージ師であり、マッサージ中に関節可動域や首の痛み方のチェックも行いましたが、マッサージの素人はこのようなチェックの仕方を知らないのが普通です。

米国 Cleveland Clinic の脊椎専門医も、素人がマッサージを行うことの危険性を指摘しています:
「マッサージのやり方を間違っていると、筋肉が緊縮したり痙攣したりする原因となることもあります。 首や背中の痛みに関しては、マッサージを行う人の修行や経験の有無によってマッサージの効果に差が出るように思います」