新生児の肌にオリーブ油やヒマワリ油を使用すると皮膚バリア機能の発達が妨げられる

(2015年12月) "Acta Dermato-Venereologica" 誌に掲載されたマンチェスター大学の研究によると、新生児の肌にオリーブ油やヒマワリ油(サンフラワー・オイル)を塗ると皮膚のバリアが損傷します。 皮膚のバリアには、水分の喪失を防いだりアレルゲン(アレルギーの原因物質)や感染症を遮断する機能があります。

同大学の前回の研究で、英国では大部分の助産婦が新生児の皮膚の乾燥対策としてオリーブ油やヒマワリ油を推奨することがわかっています。

研究の方法
生後28日以内の新生児115人を次の3つのグループに分けました:
  1. 数滴のオリーブ油を1日に2回皮膚に塗るグループ
  2. 数滴のヒマワリ油を1日に2回皮膚に塗るグループ
  3. 何も塗らないグループ
そして28日後に、皮膚の脂質ラメラ構造の状態を3つのグループで比較しました。
結果

3のグループに比べて、1と2のグループは皮膚バリア機能の発達が遅れていました。 皮膚バリア機能の発達が十分でないと、皮膚の水分が流出したり異物(アレルゲンや病原菌など)が入ってきたりします。

皮膚バリア機能をレンガ壁に、そしてバリア機能を構成する細胞をレンガにたとえるならば、脂質ラメラはレンガ同士を接着するモルタルにあたります。 新生児の皮膚に油を塗ると、モルタルである脂質ラメラの速やかな発達が妨げられます。 その結果、アトピー性皮膚炎にならないとも限りません。

油に保湿効果はあった

油を塗った2つのグループの方が保湿的には優れていましたが、それ(保湿)が脂質層に対してどのような意味を持つのかがよくわかっていないため、油を塗ることによるメリット(保湿)がデメリット(皮膚バリア機能の発達の遅れ)を上回るとは考えられません。

補足

南アジアで行われた複数の研究ではヒマワリ油が有する抗菌効果が開発途上国の未熟児に有益であるという結果になっていますが、研究チームは「英国の場合にはヒマワリ油もオリーブ油も赤ちゃんの肌への使用はお勧めできない」という意見です。

研究者は次のように述べています:
「さまざまな油でさらに研究を行う必要がありますしアトピー性皮膚炎との関係も調べたいのですが、とりあえず、『赤ちゃんの肌に油を塗ると良い』というアドバイスに今のところ科学的な根拠がないことだけは明らかです。 そのような根拠が得られるまでは、生まれたての赤ちゃんの皮膚に油を塗るのは止めておきましょう」