夜間の街灯を消しても交通事故や犯罪は増えないけれど...

(2015年8月) "Journal of Epidemiology and Community Health" に掲載された London School of Hygiene and Tropical Medicine の研究によると、街灯を削減しても犯罪や衝突事故は増えません。 街灯を減らすことでCO2排出量と電気代を削減できます。

研究チームの推算によると、英国では街灯の電気代に年間3億ポンド(2015年7月のレートで円に換算して570億円程度)が費やされています。

研究の方法

イングランドとウェールズにあって街灯削減政策を実施している62の地方自治体の14年分(犯罪発生率に関しては4年分)のデータを分析しました。 街灯削減政策の内容は、①街灯をまったく使わない、②点灯時間を短縮する、③LEDライト(エネルギー効率が良い)に切り替えるといったものでした。

道路の安全性の評価では、各地方自治体のすべての道路を調査対象とし、昼間の衝突事故発生件数に対する夜間の衝突事故発生件数と使用されている街灯の種類とを照らし合わせました。

犯罪の発生率の評価では、窃盗・強盗・自動車盗(自動車を盗むこと)・車上狙い(自動車内の現金や品物を盗むこと)・性犯罪など夜間に発生しやすい犯罪に特に注目して、犯罪の発生件数と犯行現場で用いられていた街灯の種類とを照らし合わせました。

結果

全体的に見て、イングランドでもウェールズでも街灯の削減により夜間の衝突事故や犯罪が増えるということはありませんでした。

留意点

今回の研究には、174の地方自治体のうち62についてしかデータを入手できなかったという弱点があります。

また、研究者は次のように述べています:
「地域によっては今回の結果が当てはまらない場合もあると思われるので、街灯の削減には熟慮が必要です」
住民の心情への配慮も必要
研究チームが別途に行い "Health & Place" 誌に掲載された調査では、市街地や郊外に住む多くの住民にとっては街灯が重要であり、街灯削減によって不安感を抱いたり地方自治体に(ないがし)ろにされていると感じたりする住民もいることが明らかになっています。 この調査では街灯が削減されている地域の住民520人に対する聞き取り調査などを行いました。