夜間の人工照明が乳房のリズムに悪影響

(2016年4月) これまでの研究により夜間に晒(さら)される人工の光(街灯や電化製品の画面)の量が多い女性は乳ガンになりやすいことが示されていますが、米国ボストンで開催中の "ENDO 2016" で発表されたオレゴン州立大学の研究でその理由の解明が進んでいます。出典: Study Investigates Nighttime Light, Biological Clocks and Estrogen Receptor Expression in the Breast

実験①

メスのネズミを2つのグループに分けて、一方のグループでは明るい時間と暗い時間を12時間ずつに設定し、もう一方のグループでは明るい時間を18時間そして暗い時間を6時間に設定しました。

3週間後、明るい時間が18時間のグループの乳房組織において、Per2という遺伝子(*)のサイクルが通常の24時間から約48時間へと変化していました。 サイクルが長期化しているということは、体内時計により調節されている細胞機能(†)が適切なタイミングで作動していないということかもしれません。

また、脳の外部のその他の周辺組織では(‡)Per2のサイクルに変化がありませんでした。

(*) 体内時計に関与する遺伝子で、腫瘍を抑制する作用があると考えられている。

(†) 細胞の成長と増殖や、DNAの修復。

(‡) たぶん「脳と乳房組織以外の組織では」という意味。
実験②
別のマウスを新たに「実験①」と同様の2つのグループに分けて行った実験では、明るい時間が18時間のグループにおいて、エストロゲン受容体αおよびβ(*)を作る遺伝子の発現量(†)が特に乳腺において減っていました。

(*) エストロゲン受容体とは、DNAに結合して細胞応答のスイッチを入れたり切ったりするタンパク質のことです。 エストロゲン受容体βが多いと乳ガンが広がりにくかったり乳ガンによる死亡率が低かったりするというデータが存在します。

(†)「遺伝子の発現」とは、遺伝子の設計図に基づいて体内で特定のタンパク質が作られることです。