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グルテンの摂取量を減らしても心臓病のリスクは減らない

(2017年5月) "*The BMJ*" に掲載されたコロンビア大学などの研究で、セリアック病でない人がグルテンを避ける食事を続けていても心臓病のリスク低下にはつながらないという結果になりました。 それどころか、グルテンを避けようとして全粒穀物の摂取量が減ることで心臓病のリスクが増加してしまう恐れがあります。

研究の方法

セリアック病ではない米国人男女11万人(女性6万5千人)のグルテン摂取量などをアンケート調査により調べたのち、26年間にわたり心臓病(心筋梗塞)の発生状況を追跡調査しました。 追跡期間中にもアンケート調査を4年に1回行いました。

そして、グルテン摂取量の多さに応じてデータを5つのグループに分割して、グループ間で心臓病のリスクを比較しました。

結果

グルテン摂取量と心臓病のリスクのあいだに統計学的に有意な関係は見られませんでした。 グルテン摂取量が多くても心臓病のリスクは増えていなかったのです。

それどころか全粒穀物の摂取量を考慮した分析では、グルテン摂取量が最低で、それゆえに全粒穀物の摂取量も少ないグループは、グルテン摂取量が最大のグループに比べて心臓病になるリスクが15%高くなっていました。

結論

セリアック病でない人がグルテン・フリーあるいは低グルテンの食事を続けても、少なくとも心臓の健康のためには意味が無いかもしれません。 他の病気(ガンや自己免疫疾患)のリスクに関しても同様であるか否かについては、今後の研究で調べる必要があります。

グルテン・フリー/低グルテンとは

「グルテン・フリー」とは食事にグルテン(小麦・ライ麦・大麦などに含まれるタンパク質)が含まれていないという意味です。 同様に「低グルテン」は、食事に含まれているグルテンが少ないという意味です。

グルテン・フリーの食事は本来はセリアック病という自己免疫疾患の患者のためのものです。 セリアック病の人がグルテンを摂取すると、小腸に炎症が生じて栄養を吸収できなくなったり体調が悪くなったり病気(心臓病を含む)になりやすくなったりします。

セリアック病のほかにグルテン過敏症というものもあり、グルテン過敏症の人もセリアック病ほどではありませんが、グルテンの摂取で体調が悪くなります。

そういうわけで、セリアック病やグルテン過敏症はグルテンを避ける必要がありますが、米国では最近、グルテンを避ける必要が無い人の間でも「グルテン・フリーや低グルテンの食事が健康的である」と流行していて、グルテンの摂取量を減らそうとしている米国人が1/3にも達するというデータがあります。

しかし、グルテンを避ける必要が無い人がグルテン・フリーの食事に切り替えて健康にプラスになるという明確なデータは存在しません。

それどころか、グルテン・フリー・ダイエットは食物繊維・ビタミン類・ミネラル類が不足しがちで、おまけに食費がかさみがちです。 また、グルテン・フリーの食事には日本人の主食である米(コメ)がよく利用されますが、米は生物的にヒ素や水銀を蓄積しやすいため、肥料・土壌・水源に由来するヒ素や水銀による汚染が懸念されています。