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高齢者でも運動は大事

運動習慣で必要な薬の種類が減る
"PLoS ONE"(2014年5月)に掲載された英国の研究によると、70代や80代の高齢者にとってもウォーキングや、自転車、水泳などの運動習慣が有益だと考えられます。

この研究では213人の高齢者(平均年齢78才)のデータを分析しました。 データに含まれていたのは、①加速度計(腕時計のような装置)を用いて計測した日々の運動量、②バランス感覚・脚力・歩行能力などの運動能力、および③運動力を計測した後のち4~5年分の医療記録でした。

データを分析した結果、中強度以上の運動を毎日25分以上していないという高齢者では、それだけの運動をしている高齢者に比べて、服用する処方薬の種類が1.5倍多く、緊急入院のリスクも増加していました。 一方、通院頻度に関しては、運動習慣の有無による違いは見られませんでした。

この結果の有意性は、体重・持病・身体機能・学歴・年収などの要因を考慮した後にも失われませんでした。

有酸素運動は代謝を活発にし、血液循環を改善することによって、高血圧や、2型糖尿病、冠状動脈疾患、脳卒中など高齢者に多い病気を予防してくれるのだと考えられます。

研究者は次のように述べています:

「高齢者における運動の意義についてはこれまであまり研究が行われてきませんでしたが、今回の研究により、高齢者であっても運動習慣を実践するのが健康全般にとって有益であることが示されました」


虚弱高齢者にも運動は有益
2012年9月に発表されたカナダのモントリオール大学による研究でも、高齢になってから運動する習慣を始めるのであっても健康に有益で、生活の質(QOL)が向上するという結果が出ています。 運動の効果が出始めるのは三ヶ月目からだということです。

この研究では、61~89才の83人の中高齢者に週三回のグループ・レッスンに、12週間にわたって参加してもらいました。83人の中には虚弱高齢者も含まれていました。 「虚弱高齢者」とは、介護が必要ではないけれども、心身機能の低下や病気などのために、日常生活の一部に介助を必要とする高齢者のことです。

実験期間の最初と最後に全員の運動能力と、QOL、認知能力を計測したところ、運動をしなかったグループに比べて、運動をしたグループでは、運動能力、持久力、認知能力(実行系、処理速度、ワーキング・メモリなど)、および QOLが向上していました。

運動の効果は高齢者(虚弱高齢者を含む)にも現れました。 運動により、肉体機能だけでなく認知能力にも改善が見られました。

90歳以上でも筋トレが有益
"Age" 誌(2013年9月)に掲載されたスペインの研究によると、90才以上になっても運動は大切です。

この研究では、91~96才の高齢者24人を2つのグループに分け、12週間にわたって、一方のグループには週に2日の筋力トレーニングのプログラムを実行してもらい、もう一方のグループには比較対象としてそれまでの生活を続けてもらいました。

その結果、筋力トレーニングを行ったグループは、バランス感覚、歩行速度、椅子から立ち上がる能力が有意に向上しました。 特にバランス感覚は、転倒を防ぐうえで重要となります。

高齢者が運動をせずにいると、筋肉が萎縮し、心肺機能も衰えます。 そして、それが原因で移動能力が損なわれて、自立した生活ができなくなります。 筋力は、50~70才にかけて30%も衰えます。

2011年に今回のものと同様の研究を行った研究者によると、加齢による筋力の衰えを防止するには、スクワットや、横たわった状態からのお腹上げ運動、負荷の少ない腕立て伏せ(爪先ではなく膝を床につけて行う)、太極拳、ヨガ、ピラティスなど、自分の体重を利用する運動が良いそうです。