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小説で脳が変化し、少なくとも数日間は変わりっぱなし

(2013年12月) "Brain Connectivity" 誌に掲載された研究によると、物語を読むことによって物語の登場人物と同じ体験をしたかのように脳に変化し、その変化が数日間は維持されます。

この研究で、被験者に「Pompeii」という 2003年に発表された小説を読んでもらい、fMRI という脳の映像を撮影する機械で被験者の脳を検査したところ、脳の左側頭皮質と中心溝という部分において接続(connectivity)が強化されていました。 さらに、小説を読んでから5日後にも、この変化が持続していたのです。
「Pompeii」とは
「Pompeii」(邦題:「ポンペイの四日間」)は、ベスビオ山という火山の噴火で滅亡したローマの古代都市ポンペイを舞台にした小説です。 ポンペイ市外に住む男性が主人公で、彼はベスビオ山が発する蒸気などの異常に気づくのですが、市内に住む人たちは誰一人として噴火の兆候に気がつきません。 男性は、愛する女性を火山の噴火から救うためにポンペイに向かいます。

中心溝に存在する神経細胞は、"grounded cognition" という現象に関与しています。 "grounded cognition" とは、例えば、走るという行動のことを考えただけで実際に走るときに必要とされる脳の神経細胞が活性化するというものです。

研究者は次のように述べています:

「今回の結果から、読者は小説を読むことによって登場人物の肉体に乗り移ると言えそうです。 物語に没頭すると自分がまるで登場人物になったような気持ちになりますが、実際に何らかの変化が読者の肉体に起きているわけです。

読書が神経細胞に与える影響がどれだけ持続するのかは今の段階では不明ですが、数日後にも持続していたことから、自分の好きな小説が脳に与える影響は、持続期間と程度の両方において(今回の研究で示されたよりも)もっと大きい可能性もあります」