体内で DHA から作られる化合物に強力な鎮痛・抗炎症効果

(2013年7月) "Annals of Neurology" に掲載されたデューク大学(米国)の研究によると、DHA の派生物に感覚神経系の損傷を原因とする神経因性疼痛を緩和する効果があります。

NPD1=PD1

この研究では、NPD1=PD1(neuroprotectin D1=protectin D1)という化合物に着目しました。 NPD1=PD1 は細胞が外部からの刺激に反応して生産する脂質で、ヒトの白血球に存在し、腹部と脳の炎症を解消します。

研究者は次のように述べています:
「NPD1=PD1 は魚油に含まれるオメガ3脂肪酸に由来する化合物ですが、その炎症緩和効果はオメガ3脂肪酸の千倍です」
研究の方法

研究グループは神経を損傷したマウスを用いて、手術後の神経外傷などによる痛みの症状を想定した実験を行いました。 このマウスたちに人工的に合成した NPD1=PD1 を塗布あるいは注射して、痛みの症状が緩和されるかどうかを調べたのです。

結果

実験の結果、NPD1=PD1 に痛みを軽減する効果と損傷後の神経の腫れを緩和する効果のあることが確認されました。

NPD1=PD1 には、サイトカインおよびケモカイン(いずれも、炎症性マクロファージを誘引するシグナル分子)の生産を阻害する作用がありますが、この作用によって痛みが緩和し、神経細胞の損傷が悪化しなくなります。 また、NPD1=PD1 にはニューロンの発火を減少させる作用もあり、これによっても神経を損傷したマウスの感じる痛みが減りました。
「手足の切断や胸や乳房の大手術などによる慢性痛は深刻な問題です。 このような痛みに対しては現在ガバペンチンやオピオイド類しかありませんが、これらには依存性のリスクや感覚神経系が破壊されるリスクがあります。」
NPD1=PD1 はガバペンチンやオピオイド類に比べて、ごく低用量で鎮痛作用が得られるうえ、マウス実験では NPD1=PD1 に依存性が出ませんでした。