コンテンツの利用をお考えの方は引用・転載をするときのルールをご確認ください。
Copyright (c)2013-2017 最新健康ニュース All Rights Reserved.

アスピリンやイブプロフェンなどを常用している大腸ガン長期生存者は生存率が高い

(2017年6月) "Journal of Clinical Oncology" に掲載されたフレッド ハッチンソンがん研究所などの研究で、大腸ガン(直腸ガンと結腸ガン)の長期生存者は市販の解熱鎮痛剤の成分としても使用されているNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)を常用していると生存率が高いという結果になっています。

研究の方法

大腸ガンと診断された北米またはオーストラリア在住の患者 2,419人を、NSAIDの服用習慣に応じて次の4つのグループに分けました:
  • 大腸ガンと診断される前からNSAIDを常用しており、診断後にも常用を続けたグループ
  • 大腸ガンと診断された後にNSAIDの常用を開始したグループ
  • 大腸ガンと診断された後にNSAIDの常用を中止したグループ
  • 大腸ガンと診断される前にも後にもNSAIDを常用していないグループ

そして、中央値で10.8年間にわたり生存状況を追跡調査し、グループ間で死亡リスクを比較しました。 データの分析においては、喫煙習慣・家族歴・年齢などの要因を考慮しました。

結果

データ全体の42%がNSAID(*)を定期的に服用(†)していました。 追跡期間中に381人が亡くなりました(大腸ガンが原因だったのは100人)。

(*) アスピリンまたはアスピリン以外のNSAID。 アスピリン以外のNSAIDには、イブプロフェンや、ナプロキセン、ロキソプロフェンなどがあります。 市販薬では例えば「エスタックイブ」には喉に効くことで有名なイブプロフェンが含有されていますし、「バファリン」にはアスピリンと優しさが含有されています。

(†) アスピリンは心臓病や大腸ガンの予防を目的として低用量で常用されることがあります。 アスピリン以外のNSAIDを常用することもあるようです。 米国で「低用量アスピリン」として販売されているアスピリンの用量は81mgです。 NSAIDの常用にも腎障害のリスク増加などの副作用があるので、常用を開始する前に必ず医師に相談しなくてはなりません。 Mayo Clinicによると、心臓発作の予防を目当てにアスピリンを常用している人が常用を中止するとリバウンドで心臓発作のリスクが増加するそうです。

大腸ガン診断の前後を通じてNSAIDを常用したことがなかったグループに比べて、大腸ガンと診断されたのちにNSAIDを常用していたグループは、総死亡リスク(死因を問わない)が25%、大腸ガンで死亡するリスクが56%低くなっていました。

大腸ガンと診断されたのちにNSAIDを常用していたグループのうち、診断前にはNSAIDを服用していなくて診断後にNSAIDを常用し始めたグループに限ると、この数字は36%と60%でした。

腫瘍のタイプ

大腸ガン腫瘍のKRAS遺伝子が変異体であるか否かを考慮してデータを分析したところ、大腸ガン診断後にNSAIDの服用習慣があって生存率が向上していた(40%)のはKRAS遺伝子が変異体ではない場合だけでした。

NSAIDの種類

常用するNSAIDの種類によって生存率に多少の差がありましたが、研究チームは「種類が違うために差が出るのではなく、種類によって用量や服用期間が異なっていたために差が出たのだ」と考えています。

留意点

研究チームによると、今回の研究には次のような弱点があります:
  • NSAIDの服用習慣に関するデータを患者の自己申告に依存しているため、データが不正確である恐れがある。
  • 今回の研究では大腸ガンの長期的生存者のみを調べたため、それ以外の大腸ガン患者には当てはまらないかもしれない。

類似研究

  • "Journal of Clinical Oncology"(2016年)に掲載されたオスロ大学の研究でも、ノルウェー在住の大腸ガン患者2万3千人超のデータを分析して、アスピリンを常用する大腸ガン患者は大腸ガンにより死亡するリスクが15%低いという結果になっています。
  • すでに大腸ガンになっている人ではなく大腸ガンを予防しようという人の話ですが、"Journal of the American Medical Association" に掲載されたハーバード大学の研究によると、遺伝的体質によってはNSAID常用による大腸ガン予防の効果が無いばかりか逆効果となる恐れがあります。