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睡眠の質を改善するための栄養素

眠れないならマグネシウム

マグネシウムは、人体の睡眠調節機能において重要な役割を果たしており、マグネシウム欠乏症の症状の1つとして不眠症が挙げられているほどです。 マグネシウムには交感神経の活性を引き下げて、ストレスを緩和させたりリラックスさせる作用があります。 マグネシウムは青葉の野菜、カボチャの種、ナッツ類、ゴマ、チョコレート、豆類などに含まれています。

睡眠の質が低い(寝付けない、眠りが浅いなど)人たちを対象に最近行われた研究では、マグネシウムのサプリメントを服用することで睡眠の質が60%改善されるという結果になっています。 この研究ではさらに、マグネシウムの服用により炎症が緩和されるという結果にもなっていますが、過度の炎症も睡眠が損なわれる原因となります。 この研究に参加した人たちの58%がマグネシウム不足でした。

科学的な研究によるものではありませんが、マグネシウムの配合されたクリームやオイルを就寝30分前に膝の裏に塗ると良く眠れるといわれています。

夜中に目が覚めてしまうならカリウム

1991年に "Sleep" 誌に掲載された研究によると、夜中に目が覚めてしまう人は、カリウムを積極的に摂取すると良いかもしれません。 カリウムは、バナナや、豆類、青葉の野菜に含まれるほか、ジャガイモにも豊富に含まれています。 参考記事: 野菜の価値は色で決まるもんじゃない

寝つきが悪いなら炭水化物、夜中に目覚めるならタンパク質

"American Journal of Clinical Nutrition" に掲載された研究に、高グリセミック指数(GI)の食事によって速やかに眠りに落ちることが出来るという結果になったものがあります。 高GI の食事によってインスリンの分泌量が増加するために血中に存在するアミノ酸の比率においてトリプトファンが占める割合が高くなるのが理由ではないかと考えられています。

炭水化物には、オレキシン((睡眠や摂食に関与する神経ペプチド)経路を活性化させて炭水化物を食べた人を眠たくする作用があり、タンパク質にはオレキシン経路を遮断して食べた人を覚醒させる作用があることが知られていますが、(上記とは別の)最近の研究によると、炭水化物を多く食べると眠りに落ちやすくはなるものの夜中に目覚めやすくなると思われます。 この研究では、炭水化物の多い食事をした人に比べて、高タンパクの食事をした人の方が一旦眠りに落ちてからは目覚めにくいという結果でした。

熟睡したいなら食物繊維
"Journal of Clinical Sleep Medicine"(2016年1月)に掲載されたコロンビア大学の研究によると、食物繊維を豊富に含む食事を食べると眠りが深くなります。
飽和脂肪と糖類で睡眠の質が低下
このコロンビア大学の研究では、飽和脂肪(主に肉類や乳製品に含まれる)を多く含む食品を食べると寝つきが悪いうえに眠りが浅く、糖類を多く摂ると夜中に目覚めることが多いという結果にもなっています。
ビタミンD は多過ぎず少な過ぎず

テキサス大学の研究によると、睡眠という観点からはビタミンD の血中濃度は 50 ng/ml~80 ng/ml の範囲内が良く、これより少な過ぎても多過ぎても睡眠の質が損なわれます。 60 ng/ml 以上の血中ビタミンD を達成するのに必要なサプリメント服用量は 4,000 IU 程度だと思われますが、生活習慣など(日光に当たる時間や食事内容、年齢など)によっても異なります。

ビタミンD の一番の供給源は日光ですが、日光が弱い地域に住んでいるのに肌の色が濃い人(例えば、英国に住む黒人)や、日焼け止めを常用している人では、日光によるビタミンD だけでは不足する恐れがあります。 食事から摂れるビタミンD は限られているので、このような人はビタミンD のサプリメントを用いても良いでしょう。

ただし、睡眠に関してはビタミンD2 の服用は逆効果になるという結果になった研究があるため、熟睡するためにビタミンD を購入する場合にはビタミンD3 を選ぶと良いでしょう。

トリプトファンからセロトニンが作られる際(後述)にも、ビタミンD が必要になると考えられています。 参考記事: セロトニンの生産にはビタミンD が必要

ビタミンB6 でメラトニンが作られる

"Annals of the New York Academy of Sciences" に掲載された論文によると、体内でメラトニンが作られるにはビタミンB6 が必要です。 ビタミンB6 はサーモンやマグロなどの魚に豊富に含まれています。 バナナにはビタミンB6 とカリウム(上述)の両方が豊富に含まれているのでお勧めです。

タルトチェリーでメラトニンとセロトニンを補給できる

タルトチェリーというサクランボの一種には、メラトニン以外にもトリプトファンが含まれています。 トリプトファンはアミノ酸の一種で、睡眠に必要となるセロトニンという神経伝達物質が体内で作られるときの材料になります。

さらに、タルトチェリーには「インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ」というトリプトファンを分解する酵素を阻害する物質も含まれているために、タルトチェリーのトリプトファンは通常よりも効果が高くなります。 参考記事: 高齢者の不眠症には睡眠薬よりもタルト・チェリーのジュースが安全

不安感で眠れないならタウリンとイノシトール

布団に入ってからも不安感や様々な思考に邪魔をされて寝付けないという人にはタウリンがお勧めです。 タウリンは、動物実験では鎮静作用があることが、そしてヒトを対象に行われた試験では睡眠改善効果があることが示されています。

タウリンは、GABA という神経系に対する鎮静効果を有する化学伝達物質を増加させることによって、不安感を抑制し、安息を妨げるストレス・ホルモンの生産量を低下させてくれます。

人体はタウリンを作ることが出来ないため、食事により補給するしかありません。 タウリンは、シーフードや、赤身の肉、卵などに含まれていますが、ストレスや激しい運動により簡単に枯渇してしまいます。 これらに該当する人や、菜食主義者はサプリメントでタウリンを補給するのが望ましいでしょう。

イノシトールにも、タウリンと同様に不安感や騒々しい思考を鎮める効果があります。 イノシトールは柑橘系果実やナッツ類に含まれる糖類ですが、カロリーはほとんどありません。

これまでの研究で、イノシトールにはセロトニンとオレキシン経路を活性化させて気持ちを落ち着かせる作用のあることが明らかになっています。 イノシトールは、就寝する45分ほど前に2~10g程度を服用すると良いでしょう。