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肥満のガン患者では抗ガン剤の投与量が不足しがち

(2013年9月) 米国臨床腫瘍学会が肥満のガン患者への抗がん剤の投与量を増やすことを勧告しています。 肥満のガン患者の生存率が比較的低いのは、肥満患者では処方される抗がん剤の用量が足りない傾向にあるためです。 抗がん剤は、適正な用量より少し足りないだけでも生存率が悪化します。

薬の用量は実際の体重に基づいて決定するべきですが、肥満のガン患者に対して医師は薬の用量を決定する際に、患者の実際の体重ではなく患者が適正体重であった場合の用量に基づいたり、用量を控えめにしたりしてしまいがちです。 肥満のガン患者においては、抗がん剤の投与量が必要量の85%未満であるという人が40%を占めます。

米国臨床腫瘍学会は今回このような現状に対して、肥満のガン患者においても実際の体重に基づいて抗ガン剤の用量を決定するようにと主張しています。

今回の勧告に携わったデューク大学のライマン博士は次のように述べています:
「肥満のガン患者の死亡率と再発率が高い原因が、抗がん剤の投与量不足にあることは、ほぼ疑いの余地がありません」

今回の勧告の対象には、乳ガンや、大腸ガン、肺ガン、卵巣ガン、白血病など、抗がん剤が用いられるあらゆるタイプのガンが含まれます。

別の研究者も次のように述べています:
「抗ガン剤の投与量が不足していると、場合によっては全く治療効果がありません。 したがって、(抗ガン剤の副作用で)辛い思いをしたのにガンは全然良くならないということもあるわけです」
医師が肥満患者において抗ガン剤の用量を抑える理由

肥満のガン患者において抗ガン剤の用量を抑えるべき十分な理由が存在するケースもあります。 例えば、患者に糖尿病や、心臓疾患、その他の病気がある場合には、標準的な量の抗がん剤では患者が耐えられないことがあります。

しかしそのようなケースよりも、抗ガン剤の適正量を肥満患者の実際の体重から算出すると用量が過大に思える(心血管系への負担が大きくなり過ぎるように思える)という理由で用量を控えめにしてしまう医師が多いのです。 「体重が三倍でも、心臓が三倍であるわけではない」と考えてしまうのです。

しかし、肥満のガン患者では抗がん剤による白血球数の減少が起こりにくいことや、肥満患者では抗がん剤が平均よりも速やかに対外に排出されることが、複数の研究で示されています。

ライマン博士が "Nature" 誌(2013年8月)に発表した動物実験の結果によると、抗ガン剤の量を20%減少すると、寛解および治癒の率が半分になりばかりか、腫瘍細胞が抗がん剤に対する耐性を獲得しやすくなる原因にもなりました。 ヒトを対象に行われた他の研究でも、抗ガン剤の用量を減らすと生存率が下がるという結果になっています。

ライマン博士は、肥満のガン患者に次のようにアドバイスしています:
「自分の実際の体重に基づいた抗ガン剤の投薬量であるかどうかを、担当医に尋ねてみましょう。 投薬量を制限するべき理由があって量を減らしている場合もありますが、その辺のことを知っておいて損はありません」