肥満者はビタミンA欠乏症のリスクが高いうえに欠乏症を血液検査で診断できない?

(2015年11月) "Scientific Reports" 誌に掲載されたコーネル大学の研究によると、肥満によって体がビタミンAを利用する能力が損なわれて主要な内蔵がビタミンA欠乏症に陥る可能性があります。

ビタミンA

ビタミンAは人体において、視力・胎児の発達・生殖・免疫応答・傷の治癒など様々な機能に関与しています。 ビタミンAが欠乏するとこれらの機能が損なわれて、呼吸器感染症・糖尿病・不妊・発達の遅れ・成長と骨の発達の遅れなどのリスクが増加します。 (肥満者では免疫力低下や糖尿病などのリスクが増加することが知られています)

ビタミンAは卵・牛乳・肉類・一部の果物や野菜などに含まれているほかサプリメントも市販されています。

研究の方法

ヒトのビタミンA推奨摂取量に相当する程度の量のビタミンAを含むエサを普通体重のマウスと肥満マウスに与えるという実験を行いました。

結果

普通体重のマウスのグループは、与えられたエサを食べて健康に過ごしました。 ところが肥満マウスのグループは、エサに十分なビタミンAが含まれていたにも関わらず肝臓・腎臓・すい臓が重度のビタミンA欠乏症に陥りました。

そして、肥満マウスを痩せさせるとビタミンAが正常な水準に戻しました。 このことから、肥満に伴う何かがビタミンAの利用を邪魔しているのだと考えられます。

ビタミンAが欠乏していたのは内臓だけ
興味深いことに、肥満マウスであってもビタミンAの血中濃度は正常でした。 内臓組織でのみビタミンAが欠乏していたのです。 研究チームはこの現象を「隠れたビタミンA欠乏症」と名づけました。 通常の血液検査ではこのビタミンA欠乏症を見つけられないためです。