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体脂肪が多いとリスクが増加する恐れが高い8種類のガン

(2017年3月) インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが行い "*The BMJ*" に掲載されたアンブレラ・レビューで、一部のガンと肥満とのあいだに強い関係が確認されました。出典: Adiposity and cancer at major anatomical sites: umbrella review of the literature

アンブレラ・レビューとは

アンブレラ・レビューとは、複数のメタ分析やシステマティック・レビューのデータを統合的に分析して、その結果をまとめたものです。

メタ分析やシステマティック・レビューというのが複数の研究のデータを統合的に分析した結果をまとめたものなので、アンブレラ・レビューはメタ分析のメタ分析、あるいはレビューのレビューということになります。

アンブレラ・レビューの登場は比較的最近で、その背景には、大量のデータを効率的に利用するために生まれたシステマティック・レビューやメタ分析でさえも量が増えてきて利用が大変になったという事情があります。 2010年に "PLOS Medicine" に発表されたレポートでは、1日あたり11ものシステマティック・レビューが毎日発表されていると推算されています。

レビューの方法

BMI、体重の増加、ウェストのサイズといった肥満の尺度と36種類のガンとの関係について調べた204のメタ分析のデータを分析しました。

204のメタ分析で分析した個別研究の数は合計507で、そのうちの73.2%がコホート研究、26.4%がケース・コントロール研究、0.4%が横断研究でした。 各メタ分析のデータに含まれるガンの症例数の中央値は 5,600件超、人数(*)の中央値は176万人超でした。
(*) ケース・コントロール研究の場合はコントロール群の人数。
204のメタ分析のうち連続的な尺度(*)を用いたものが95あり、今回のアンブレラ・レビューでは主に、この95のメタ分析のデータを分析しました。
(*) 例えば、「ウェストのサイズに応じてデータを4つのグループに分けて」というのではなく「ウェストのサイズが10cm増えるごとに」という感じ。
結果
信頼性が高いメタ分析

連続的な尺度を用いた95のメタ分析のうち、統計学的な信頼性が高かったのは12のメタ分析だけでした。

この12のメタ分析で調査対象となったガンは次の8種類でした:
  1. 食道ガン
  2. 胆道系ガン
  3. すい臓ガン
  4. 腎臓ガン
  5. 多発性骨髄腫(血液のガン)
  6. 大腸ガン(男性のみ)
  7. 子宮内膜ガン(女性のみ)
  8. 乳ガン(ホルモン補充療法を受けたことが無い閉経後の女性のみ)

この8種類のガンに関しては肥満でリスクが増加する恐れが強いというわけです。

12のメタ分析の大部分(10)はBMIを尺度として用いたもので、BMIの数値が5大きくなるごとのリスク増加幅は、9%(男性の大腸ガン)~56%(胆道系ガン)というものでした。

残りの2つのメタ分析は、体重やウェスト:ヒップ比を尺度として用いたものでした。 ホルモン補充療法を受けたことが無い閉経後の女性では、体重が5kg増えるごとに乳ガンのリスクが11%増えていました。 ウェスト:ヒップ比の値が0.1増加するごとに、子宮内膜ガンのリスクが21%増加していました。

BMIではなくウェスト:ヒップ比と子宮内膜ガンのリスクとの間に強い関係が見られたことから、特に腹部に付く脂肪で子宮内膜ガンのリスクが増加する恐れがあります。

信頼性がかなり高いメタ分析

この12のメタ分析の次に信頼度が高かった17のメタ分析でも同じような結果で、BMIなどの数値が大きいと大腸ガン・閉経後の乳ガン・子宮内膜ガン・腎臓ガン・肝臓ガンのリスクが増加するという結果でした。

まあまあ信頼性が高いメタ分析

信頼度がそれよりも劣る23のメタ分析で肥満によるリスク増加が示されていたのは、大腸ガン・すい臓ガン・卵巣ガン・前立腺ガン(死亡リスク)・甲状腺ガン・非ホジキンリンパ腫・多発性骨髄腫・白血病でした。

肥満とガン

WC RF(世界がん研究基金)は、肥満でリスクが増加するガンとして今のところ、食道ガン・すい臓ガン・大腸ガン・乳ガン(閉経後)・子宮内膜ガン・腎臓ガン・肝臓ガンという7種類のガンを認定しています。

また、IARC (国際がん研究機関。 WHOの外部組織)が 2016年に発表したレポートでは、1,000を超える数の研究データに基づき、結腸・食道・腎臓・乳房・子宮のガンに加えて、胃・肝臓・胆嚢・すい臓・卵巣・甲状腺に生じるガンと髄膜腫(脳腫瘍の一種)と多発性骨髄腫のリスクが肥満により増加するという結論になっています。

今回のアンブレラ・レビューでも、連続的な尺度によらないメタ分析では、肥満により胃ガン(胃噴門)と卵巣ガンのリスクが増加することが示されています。

"The Lancet Oncology" に発表されたIARC の研究では、2012年における新規ガン発生件数の3.6%(48万1千件)を占めると推算されています。

肥満によりガンのリスクが増加する理由
肥満によりガンが生じやすくなる理由の一部は次のようなものです:
  • 過剰な体脂肪により、性ホルモン(エストロゲンやテストステロン)が過剰に生産される。
  • 過剰な体脂肪によりインスリンが過剰に生産される。
  • 過剰な体脂肪により炎症が促進される。