太っていない人では乳ガンを抑制する脂肪細胞が、肥満者では乳ガンを促進する

(2016年7月) "Journal of Applied Physiology" に掲載されたヨーク大学の研究によると、体重が普通の人において脂肪細胞は乳ガンの成長を抑制しますが、肥満の人では脂肪細胞が乳ガンの成長を促進してしまいます。出典: Fat Cells May Play Key Role in Battle Against Breast Cancer

脂肪組織について
昔は、脂肪組織は単なるエネルギーの貯蔵庫であると考えられていました。 しかし現在では、脂肪組織が400種類を超えるアディポカイン(*)を生産することが知られています。 アディポカインは血流に乗って全身に届きます。
(*) 脂肪から分泌されるサイトカインあるいはホルモン。 レプチン、アディポネクチン、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNFα)など。 レプチンは満腹感のホルモンとして有名です。
研究の概要

研究チームはゲッ歯類(以下「マウス」)の実験を行って、①肥満と乳ガンの関係に脂肪細胞がどのように関与しているのか、そして②肥満をどうにかすることで乳ガンをどうにかできないかを調べました。

今回明らかになったこと

肥満マウスの脂肪細胞が生産するホルモン(アディポカイン)群には、乳ガンの成長を促進する作用がありました。 その一方で、普通体重のマウスの脂肪細胞が生産するホルモン(アディポカイン)群には、乳ガンの成長を阻止する作用がありました。

肥満の乳ガン患者でガン治療の効果が薄く死亡率が高いのは、アディポネクチンとレプチンのせいかもしれません。
体重によって脂肪細胞が生産する各種アディポカインの量や種類に違いがあり、肥満者の脂肪細胞はアディポネクチンとレプチンを多く生産するということでしょうか。 「10%の体重減少がガンと糖尿病リスクの低減に有効」によると、アディポネクチンとレプチンの生産量は体重によって異なります。
アドバイス
一部の乳ガン患者においては、運動がガンの治療法として有効かもしれません。 研究者は次のように述べています:
「がんばって運動すれば、肥満が引き起こすガンの成長を抑制あるいは完全に阻止できるかもしれません。 そこそこの運動であっても乳ガンの成長が鈍化する可能性がありますが、運動の量が多いほど乳ガン抑制の効果は強いと思われます」