肥満の原因となる細菌を発見!?

肥満の原因菌はエンテロバクター?

(2012年12月) "The ISME Journal" に掲載された上海交通大学(中国)の研究により、肥満の原因となっている可能性のある腸内細菌が特定されました。

研究の概要

高脂肪のエサを与えても肥満になりにくいように品種改良されたマウスに、このヒトの腸内に住む細菌を10週間にわたり注射したところ、高脂肪のエサに反応して過体重になりました。

さらに、研究グループが玄米やプレバイオティクス(乳酸菌食品)などの食事によって、肥満者のエンテロバクターを検出不可能なレベルにまで減らしたところ、9週間で体重が66ポンド(30kg程度)も落ちました。
研究グループの1人も、本人自ら発酵苦瓜などの乳酸菌食品を2年間にわったって摂り続けて腸内の細菌バランスを調整して、44ポンド(1ポンドは450グラム程度)の減量に成功しています。
解説

この細菌はエンテロバクターという種類の細菌であり、過去に命が危険にさらされるほどに肥満した人の腸内で大量に見つかったことがあるため、肥満との関係が疑われてきました。

今回の実験によりエンテロバクターがヒトの肥満の原因となっている可能性が示されました。

生化学者の体験談

上記の研究に関連する体験談が Livescience に掲載されています。

体験

この体験談は、コロラド大学の生化学の教授(人体に住む微生物が専門)を務めるロブ・ナイト氏が体験したものです。 2008年にペルーで休暇中だったナイト氏は、インカ文明の遺跡を巡ってキャンプをしているときにお腹を壊し、ひどい下痢になりました。

5日間にわたって抗生物質を服用し一旦は症状が治まったものの、再び下痢になり、抗生物質をさらに5日間服用してようやく感染症が治るという有様でした。

そして帰国後、それまでの食事と運動習慣(太っていたのでダイエット用の食事と運動習慣)を再開したナイト氏は驚きました。 嬉しいことに、もう何年も一向に減らなかった体重がなぜか減り始めたのです。

推察

ナイト氏は、ペルーで下痢になったときに飲んだ抗生物質により、それまで彼の腸内に住み着いていた腸内細菌が一掃されたために、腸内環境が一新されて太りにくい体質になったのだと考えています。 最終的にナイト氏は、少なくとも30kgは痩せることができました。

研究者は次のように述べています:
「ペルーからの帰国後には、それまで効果の無かったダイエット食と運動の効果が出るようになったのです。 (抗生物質を飲んだ後に)腸内細菌叢が再構成されたためだと思っています」