肥満が腎不全を促進する原因が明らかに

慢性的な腎疾患の患者が肥満している場合には腎不全になるリスクが増加しますが、"Journal of the American Society of Nephrology"(2013年10月)に掲載された滋賀大学の研究によって、その原因が解明されました。 肥満によって腎臓の細胞の損傷を防ぐオートファジーというプロセスが抑制されるというのです。

オートファジーとは、細胞内のシステムであって、欠陥のある細胞構成物(例えば、古くなった、あるいは損傷を受けたタンパク質)を分解して、除去またはリサイクルするものを指します。 肥満者ではオートファジーが不十分であるケースの多いことが知られています。

研究グループはマウス実験を行って、普通体重のマウスの場合には腎臓疾患があってもオートファジーが活性化しているけれども、腎臓疾患のある肥満のマウスではオートファジーが抑制されて腎臓の細胞が損傷する原因になっていることを明らかにしました。

このことは、マウスの遺伝子を改造してオートファジーが行われないようにするという実験によって確認されました。 オートファジーが行われないマウスでは、普通体重のマウスであっても腎臓細胞の損傷が見られたのです。

研究グループはさらに、肥満のマウスの腎臓においてオートファジーが抑制される原因が、mTOR という物質の過剰な活性化にあることを突き止め、mTOR を阻害する薬物を肥満マウスに投与することでオートファジーの不足を改善することに成功しました。

今回の研究では、腎臓疾患のある肥満者から採取した腎臓の細胞サンプルを調べて、肥満のヒトでもマウスと同様に mTOR の過剰な活性とオートファジーの抑制の両方がが生じていることも確認しました。

研究者の山原さんは次のように述べています:

「肥満によって、腎臓における栄養感知シグナルが異常に活性化し、それによってオートファジーが抑制されます。 今回の研究では、オートファジーによる腎臓保護作用を回復してやることで、肥満患者の腎臓の健康を改善できることが示唆されました」