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ステータスの高い職業に就いていると鬱病の治療が効果を発揮しにくい

(2016年9月) 社会経済的状態(収入・職業・学歴など)が低いと鬱病のリスクが増加することが知られていますが、ウィーンで開催中の "ECNP Congress" で発表された(*)ボローニャ大学などの研究によると、ステータスの高い職業に就いている人は鬱病の治療が効果を発揮しにくい可能性があります。
(*) "European Neuropsychopharmacology" 誌にも掲載済み。
研究の方法

鬱病治療のために通院している就業者654人を、職業のステータスの高さに応じて3つのグループに分けて、抗鬱剤が効果を発揮している率を比較しました。

就いている職業のステータスが高いとみなされたのは336人(51%)、中程度とみなされたのは161人(25%)、低いとみなされたのは157人(24%)でした。 654人のうち66%が女性でしたが、一般的にも鬱病は女性に多く見られます。

大部分の患者はSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)を服用していましたが、それ以外の抗鬱剤を服用していたり、抗鬱剤以外の心理療法を利用している患者もいました。 職業ステータスが高い患者は、SRIを服用することが少なく心理療法を利用することが多い傾向にありました。

結果
鬱病の治療が効かない(*)患者の割合が、職業ステータスが中程度のグループでは40%、職業ステータスが低いグループでは44%だったのに対して、職業ステータスが高いグループでは56%でした。
(*) 十分な治療を2回以上行って反応が見られなかったケースを「治療が効かない」とみなした。

この数字は鬱病が寛解する率にも反映されており、職業ステータスが低いグループと中程度のグループでは寛解率が25%だったの対して、職業ステータスが高いグループでは17%でした。

解説
今回の研究がいささか意外な結果となったことに関して、研究者は次のように述べています:

「ステータスが高い仕事は、要求度が高いのでストレスも多くなります。 そういう状況で鬱病になった患者は、それまでの自分の境遇に対処するのが殊更に困難なのかもしれません」

「高ステータスの職業に就いている患者が抗鬱剤を用いず心理療法のみを利用する傾向にあったのも、今回の結果となった理由の1つかもしれません。 鬱病の治療で理想的なのは一般的に、薬物治療と心理療法の併用です」