(2015年10月) "Neurology" 誌に掲載された南方医科大学(中国)によるメタ分析で、精神的ストレスが大きい職業に就いている人は脳卒中になりやすいという結果になりました。 過去にも同様の研究が複数行われていますが、それらの結果は一致していません。
メタ分析の方法
仕事によるストレスと脳卒中のリスクの関係を調べた6つの研究のデータを分析しました。 データに含まれていた人数は14万人近くで、追跡期間は3~17年間でした。
結果
主な結果は次の通りです:
- 精神的なストレスが多い職業(*)に就いているグループは、ストレスが少ない職業(†)に就いているグループに比べて脳卒中のリスクが22%高かった
(*) 精神的な負担が大きいのに職務上の裁量の幅は小さいウェイトレスや看護士など。
(†) 精神的な負担が少なく裁量権は大きい自然科学者や建築家など。 - 女性に限ると、精神的なストレスが多い職業に就いているグループは、ストレスが少ない職業に就いているグループに比べて脳卒中のリスクが33%高かった
- 虚血性脳卒中(*)に限ると、精神的なストレスが多い職業に就いているグループは、ストレスが少ない職業に就いているグループに比べて脳卒中のリスクが58%高かった
(*) 血流が妨げられるのが原因で生じる脳卒中で、脳卒中の大部分のケースを占めます。 (⇔ 出血性脳卒中)
研究チームの推算によると、脳卒中のリスク要因に仕事上のストレスが閉める割合は4.4%(女性に限れば6.5%)です。
考えられる理由
仕事のストレスが食生活の悪化・喫煙・運動不足など不健全な生活習慣の引き金となり、そのために脳卒中のリスクが増加している可能性が考えられます。
今回のメタ分析の弱点
メタ分析の材料となった6つの研究に次のような弱点が存在します:
- 仕事によるストレスの計測が一時点でしか行われていない。
- 高血圧や高コレステロールなどの要因が十分に考慮されていない。