年を取って体温が低下するとアルツハイマー病になりやすくなる?

(2016年4月) "Neurobiology of Aging" 誌に掲載されたラヴァル大学(カナダ)の研究(マウス実験)によると、老化による体温の低下によりアルツハイマー病になりやすくなる可能性があります。

研究の背景
研究チームは以下の既知の事項に基づき、アルツハイマー病の発病と体温との間に関係があるのではないかと考えました:
  • アルツハイマー病が65才以上の人に多く70才を超えると患者数がさらに倍増する。
  • 年を取って代謝が低下するに連れて体温も低くなる。
  • アルツハイマー病は脳の体温調節に関わる領域に生じる。
方法

老化したときにアルツハイマー病を発病しやすくなるように遺伝子を改造したマウスを普通のマウスと比較しました。

結果
  • 遺伝子改造マウスは年を取ったときに、普通のマウスよりも体温を調節する能力が劣っていた(約1℃)。
  • 遺伝子改造マウスの方が低温で飼育したときのアルツハイマー病の兆候が顕著だった。 普通のマウスに比べて遺伝子改造マウスの方が、ニューロンの劣化を引き起こす異常なτタンパク質の増加幅が大きく、失われるシナプス・タンパク質の量が多かった。
  • 遺伝子改造マウスを高温(28℃)の環境で1週間飼育すると、体温が1℃上昇してアルツハイマー病の一部の兆候が緩和された。 βアミロイドの生産量が減少し、記憶力テストの成績が向上して普通のマウスと同程度になった。
コメント
研究者は次のように述べています:
「今回の結果が(ヒトでも同じ結果になると)確認されれば、体温を上げるだけでアルツハイマー病の対策になると思われます。 体温を上げる方法としては運動や食事などが考えられます。 室温を上げるだけでも体温は上がりますし、体温が上がる薬もあります」