高齢者の不眠症には睡眠薬よりもタルト・チェリーのジュースが安全

(2014年4月) "American Society of Nutrition" の会合で発表されたルイジアナ州立大学の研究で、モンモランシーという品種のサクランボ(学名:Prunus cerasus、通称:タルト・チェリー)のジュースを2週間にわたって、朝晩の2回に飲むことで不眠症の高齢者の睡眠時間が90分近く伸びるという結果になりました。
高齢者の不眠症
不眠症の定義は「週に平均で3日を超えて眠れない日があること」というものです。 不眠症は高齢者のあいだでは珍しくなく、65才以上では23~34%の人が不眠症であると推算されています。 不眠症は、慢性痛や、高血圧、2型糖尿病認知症などのリスク要因である可能性があります。

不眠症には睡眠薬が用いられることがありますが、高齢者では睡眠薬が転倒(骨折や早死になどの原因になる)の原因になることが示されています。
この研究では不眠症に悩む7人の高齢者(平均年齢68才)に:

  1. 2週間にわたって8オンス(240mlほど)のタルト・チェリー ジュースを朝と晩に1回ずつ飲んでもらい、
  2. 2週間の空白期間を置いた後、
  3. 2週間にわたって別の飲み物(プラシーボ)8オンスを朝と晩に1回ずつ飲んでもらいました。
そして、特殊な機械を使って、高齢者たちの睡眠時間と睡眠効率(布団の中で目覚めている時間に対する眠っている時間の比率)を測定しました。

さらに、高齢者たちを対象に、睡眠・疲労・鬱症状・不安感に関するアンケートと血液検査を実施しました。

その結果、タルト・チェリー ジュースを朝晩に飲んだときのほうが、プラシーボのときに比べて、睡眠時間が平均で84分長くなり、睡眠効率も改善する傾向にありました。

メラトニンとプロアントシアニジン
過去の研究でもタルト・チェリーに睡眠を促進する作用のあることが示唆されており、その理由はタルト・チェリーに含まれるメラトニンという睡眠に関与するホルモンだと考えられていますが、今回の研究チームによると、タルト・チェリーの睡眠促進作用にはメラトニンだけでなく、プロアントシアニジンというタルト・チェリーに含まれる赤色の色素も関わっていると思われます。 プロアントシアニジンはポリフェノールの一種ですが、タルト・チェリーに特に豊富に含まれています。

タルト・チェリーのトリプトファンは分解されにくい
今回の研究では、タルト・チェリー ジュースに、利用可能なトリプトファン(必須アミノ酸の一種で、睡眠に必要となるセロトニンが作られる材料になる)の量を増やす効果があることも確認されました。

細胞中において(生体外実験で?)、タルト・チェリー ジュースにトリプトファンを分解する酵素(インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ)を阻害する作用のあることが示されたのです。 トリプトファンの分解は不眠症の要因の1つであり、炎症の発生にも関与しています。

研究者は次のように述べています:

「タルト・チェリー ジュースに含まれるトリプトファンの量は、睡眠を改善するためにトリプトファンのサプリメントを服用する場合の量よりも少ないのですが、タルト・チェリーに含まれる酵素のお陰でトリプトファンが分解されないために、タルト・チェリー ジュースのトリプトファンは良く効きます」


今回の結果に基づいて研究チームは、タルト・チェリーのジュースを朝と晩に1杯づつ飲むのが、(睡眠薬よりも)不眠症の治療に有効かつ安全であると結論付けています。

「若い人の場合には睡眠薬も良いかもしれませんが、高齢者の場合、睡眠薬によって転倒のリスクが4倍になります」


タルト・チェリーは若い人にも有効
上記の研究は高齢者を対象としたものですが、2011年に発表された英国の研究によると、タルト・チェリー ジュースは若い人にも効果があると考えられます。

この研究で、20人の若い成人男女(平均年齢26.6才)を2つのグループに分けて、7日間にわたってタルト・チェリー ジュースまたはプラシーボを飲んでもらい、特殊な機械を使って睡眠の質を調査したところ、タルト・チェリー ジュースを飲んだグループにおいて、睡眠時間と睡眠効率が増加していたのです。