65才以降でも運動によって心臓病・脳卒中のリスクが低下。 軽い運動でも効果

(2016年8月) 現役世代の人において身体活動が心血管疾患(心臓病や脳卒中)の予防に有効であるというデータは既に十分に存在しますが、"ESC Congress 2016" で発表されたオウル大学(フィンランド)の研究によると、65才以上の人でも中程度(後述)の身体活動の量により心血管疾患のリスクが低下します。

研究の方法

65~74才の男女 2,456人(*)を対象に、普段の身体活動量や生活習慣に関するアンケート調査と健康診断(†)を行ったのち、11.8年間(中央値)にわたり心血管疾患の発生状況を追跡調査しました。

データの分析においては、血圧・喫煙習慣・コレステロール値・婚姻状態・教育水準などの要因を考慮しました。

(*) 冠動脈疾患・心不全・ガン・脳卒中の病歴がある人は除外されました。 今回の研究で主張したいのが、「身体活動量が少ないために健康状態が良くない」という因果関係なので、それとは逆の「健康状態が良くないために身体活動量が減る」という因果関係の可能性を極力排除するためです。

(†) 血圧・体重・身長・コレステロール値などを測定。
グループ分け
研究チームは今回のデータを、身体活動の量に応じて次の3つのグループに分類しました:
  • 少ない: 読書・テレビ視聴・身体活動量が少ない家事しかしない。
  • 中程度: ウォーキング・自転車・軽い運動(釣りや庭仕事など)を1週間あたり4時間以上。
  • 多い: ランニング・ジョギング・スキー・(競技的な)体操・水泳・球技・重労働を伴う庭仕事・その他激しいトレーニングやスポーツを1週間あたり3時間以上。
結果

追跡期間中に、197件の心血管疾患による死亡と、416件の初回の冠動脈疾患・脳卒中が発生しました。

身体活動量が中程度のグループ

身体活動量が中程度のグループでは、初めて冠動脈疾患や脳卒中になるリスクが31%、そして心血管疾患で死亡するリスクが54%低くなっていました。

身体活動量が多いグループ
身体活動量が多いグループでは、初めて冠動脈疾患や脳卒中になるリスクが45%、そして心血管疾患で死亡するリスクが66%低くなっていました。
上記のパーセンテージはいずれも、身体活動量が少ないグループと比較した数字だと思われます。
コメント
研究者は次のように述べています:
「職務外で行う身体活動が心血管疾患の予防にもたらす効果は、身体活動の量に応じて増大します。 つまり、運動量が多いほど良いというわけです。 そして、コレステロール値が高いなど心血管疾患のリスク要因を抱えてる場合にも、身体活動の有益性は発揮されます」
「年を取ると運動をするのが辛くなりますが、現役引退後にも安全な範囲内で十分に身体活動を行うのが健康を維持するうえで大切です」