服用中の薬の種類が多い中高齢者は生活習慣が健康的であると死亡リスクが低い

(2018年8月) "Scientific Reports" 誌に掲載されたマドリード自治大学などの研究で、何種類もの薬を飲んでいる中高齢者は生活習慣が健康的であると死亡リスクが低いという結果になっています。

ポリファーマシー

何種類もの医薬品を使用している状態のことを「ポリファーマシー」と言います。 高齢者になるとポリファーマシーになることが多いのですが、ポリファーマシーに該当する人には次のような問題が生じる恐れがあります:
  1. (薬の種類が多すぎるために)薬を医師の指示通りに使用しなく(できなく)なる。
  2. 複数の疾患と複数の薬の間(薬と薬の間や、薬とその薬が対象としない疾患の間)で相互作用が生じる。
  3. 薬の有害な副作用・転倒・骨折・入院・虚弱・心身の機能の障害・医療過誤のリスクが増加する。

研究の方法

スペインに住む60才以上の男女4千人弱を対象に、服用中の薬(処方薬と市販薬)の数と生活習慣を調べたのち14年間前後にわたり生存状況を追跡調査しました。

ポリファーマシーの定義

服用中の薬の種類が5種類以上の場合を「ポリファーマシー」とみなしました。

健康習慣

次の6つが健康習慣とみなされました:
  1. タバコを吸わない(喫煙歴がない、または禁煙してから15年以上)
  2. 食生活が健康的である(詳細は不明ですが、スペインの研究なのでメディテラネアン・ダイエットに近い食生活を「健康的である」とみなしたのではないでしょうか。 この研究論文の参考文献として、タイトルに「メディテラネアン・ダイエット」とあるものが2つ挙げられていますし)
  3. 身体活動の習慣がある(中程度以上の激しさの身体活動)
  4. お酒を適度にたしなむ(アルコール重量にして女性は20g/日以下、男性は30g/日以下の摂取量。ビール350mlに含有されるアルコール重量は約14g)
  5. 座って過ごす時間が短い(7時間以下/日)
  6. 睡眠時間が十分である(7~8時間/日)

結果

4千人弱のうち843人がポリファーマシーに該当しました。

ポリファーマシーと死亡リスク

ポリファーマシーに該当するグループは、服用中の薬の種類が0~1種類のグループに比べて、総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)が75%および心血管疾患(心臓病や脳卒中)で死亡するリスクが111%(2.1倍に)増加していました。

2~3種類の薬を服用するグループでは、この数字は32%50%でした。

ポリファーマシーと健康習慣と死亡リスク

ポリファーマシーに該当する843人の中での比較において、「6つの健康習慣」のうち5~6つに該当する場合には0~2つにしか該当しない場合に比べて、総死亡リスクが54%および心血管疾患で死亡するリスクが60%低下していました。

「6つの健康習慣」のうち3~4つに該当する場合には、この数字は47%37%でした。

結論

研究グループは「健康的な生活習慣を遵守することにより、ポリファーマシーが関わる死亡リスクを減らせる可能性がある」と結論づけています。

ただし、服用する薬の種類が0~1種類のグループや2~3種類のグループでも、「6つの健康習慣」によく該当する人は死亡リスクが低下していた(低下幅は、総死亡リスクが37~55%および心血管疾患死亡リスクが37~61%とポリファーマシーの場合に比べて遜色がない)ので、薬をあまり飲んでいない人も生活習慣を改善すると良さそうです。