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高齢者は歩行量が多いと認知症になりにくい

(2017年5月) "Age and Ageing" 誌に掲載された東北大学の研究で、10年超にわたり一貫して歩く量が多高齢者は認知症になることが少ないという結果になっています。

研究の方法

身体が不自由ではない65才以上の日本人男女7千人弱を対象に、1日のうちに歩いて過ごす時間に関するアンケート調査を 1994年と 2006年の2つの時点で行いました。

そして、その後の5.7年間(2007年4月~2012年11月)にわたり認知症の発症状況を追跡調査して、歩行量と認知症発症リスクとの関係を調べました。 データの分析においては、認知症のリスクに影響する様々な要因を考慮しました。

結果

追跡期間中における認知症の発症率は9.2%でした。

1994年と 2006年の2つの時点の両方で1日の歩行量が30分未満だったグループに比べて、この2つの時点の両方で1日の歩行量が1時間以上だったグループは、認知症になるリスクが28%低くなっていました。

解説

認知症の予防には運動が良い

これまでにも複数の研究で、認知症の予防あるいは認知機能の維持や改善に運動などの身体活動が有効であることが示されています。

認知症の予防においては、運動習慣 / 禁煙 / 健康的な食生活 / 節酒 / 適切な体重の維持 という5つの生活習慣が有益ですが、"PLOS One"(2013年)に掲載された英国の研究によると、この5つの習慣の中で認知症予防の効果が最も強力なのは運動習慣です。

必要な運動の激しさ

認知症の予防には中~高強度の運動が推奨されることが多いようですが、今回の研究以外にも複数の研究で、ウォーキング程度の軽い運動でも認知機能の維持や脳の構造的な健康の維持に有益であることが示されています。

"Experimental Gerontology" 誌(2017年)に掲載された台湾の研究では平均年齢74.5才の高齢者男女274人を22ヶ月間にわたり追跡調査して、中程度の激しさの運動をする習慣がある人よりもむしろ軽い身体活動(散歩・ショッピング・家事など)をする習慣がある人のほうが、認知機能が衰えるリスクを軽減する効果が強い(中程度の激しさの運動で15%のリスク軽減だったのに対して、軽い身体活動では25%のリスク軽減)という結果になっています。

歩行量を増やすには

歩行量を増やすには自家用車の使用を控えたり、エレベーターの代わりに階段を利用したりすると良いでしょう。 "Neurobiology of Aging" 誌(2016年)に掲載されたカナダの研究では、19~79才の健康な男女331人の脳を検査して、階段を利用することが多いほど脳が若い(*)という結果になっています。
(*) 1日に階段を上る量が1階分増えるごとに脳の灰白質の容積(老化により減少する)が0.6才分近く多い。