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運動量が多い高齢女性は少なくとも2才分ほどは肉体年齢が若い?

(2017年5月) "Experimental Gerontology" 誌に掲載されたカリフォルニア大学サンディエゴ校などの研究によると、運動が老化の防止に役立つかもしれません。 運動習慣がある高齢女性のほうがテロメアが長いという結果だったのです。 テロメア(詳細は後述)は細胞の老化の指標で、テロメアが長い人のほうが若々しく健康であることが知られています。

研究の方法

平均年齢79才の高齢女性 1,476人を対象にアンケート調査と血液検査を行って、運動量とテロメアの長さを調べました。

そうして得たデータを用いて、年齢・人種・教育水準・婚姻状態・喫煙習慣・飲酒量・BMI・慢性疾患の有無・ホルモン補充療法の利用といった要因を考慮しつつ、運動量とテロメアの関係を調べました。

結果

運動量が最も少ない(1.25MET時間/週未満)グループに比べて、運動量が最も多い(17MET時間/週以上)グループは、テロメアが平均で110BP(塩基対)長いという結果でした。 テロメアの長さとの関係が明確だった運動は、中強度以上の激しさの運動と、早いペースでのウォーキングでした。
(*) これまでの研究によると、テロメアの長さは1年あたり15.6~55BP(研究により異なる)のペースで短くなっていきます。

類似研究

  • "Preventive Medicine" 誌(2017年)に掲載されたブリガム・ヤング大学の研究では5,823人の米国人男女を調査して、身体活動量(運動以外の身体活動も含む)が最も多いグループは身体活動量がそれよりも少ない3つのグループに比べてテロメアの長さが111~140BP短いという結果になっています。
  • "Health Promotion Perspectives" 誌(2017年)に掲載されたミシシッピー大学などの研究研究では、20~49才(平均年齢34才)の男女2千人近くを調査して、中程度以上の激しさの身体活動を行う習慣があるうえに座って過ごす時間が短いという場合にテロメアが人並み以上に長いという結果でした。

  • 一方、"Medicine and science in sports and exercise" 誌(2017年)に掲載されたマサチューセッツ大学ボストン校の研究では20~84才の米国人男女7千人弱を調査して、運動をする人はテロメアが長いけれど運動以外の身体活動をする人はテロメアが短いという結果となっています。

    激しい運動を行う時間が1週間あたり1時間増えるとテロメアが0.3%長かった一方で、家事や庭仕事で体を動かす時間が1週間あたり1時間増えると逆にテロメアが0.2%短かったのです。

テロメアとは

テロメアは、染色体の両端に存在して、染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護している部分のことです。 染色体が靴紐であるとすれば、テロメアは靴紐の先端のキャップに該当します。

テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり老化により)短くなってゆき、テロメアが失われた染色体は不安定になります。 通常はテロメアが一定以下の長さになった時点で「細胞老化」により細胞が破壊されますが、このような破壊を免れた細胞はガン化します。

老化の指標

細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは肉体の老化度を知るための指標として用いられます。

テロメアと病気のリスク

テロメアが長い人のほうが肺炎などの感染症や心臓病の発症リスクが低いとか、年齢を考慮しても死亡リスクが低いというデータがあります。

しかしガンに関して言えばテロメアが長いほど良いというわけではなく、テロメアが長過ぎると逆にリスクが増加するようです。 複数の研究で、テロメアが長過ぎる場合にも肺ガン・乳ガン・卵巣ガン・子宮内膜ガン・前立腺ガン・大腸ガン・すい臓ガン・腎臓ガン・膀胱ガン・脳腫瘍など各種のガンのリスクが高いことが示されています。

テロメアが短すぎても長過ぎてもガンのリスクが高いというデータもあるので、ガンに関してはテロメアの長さがほどほどであるのが良いのかもしれません。

テロメアが短くなる要因

喫煙・肥満・劣悪な食事・心理的ストレス・酸化ストレス・慢性炎症によってテロメアが短くなるペースが速まることが複数の研究で示されているほか、ガン・心血管疾患・認知症・肥満・脳卒中・骨粗鬆症・感染症・糖尿病・高血圧などの病気や体質(遺伝子のタイプ)によってもテロメアは短くなります。

テロメアの長さを維持する方法

運動習慣・健康的な食生活・質の良い睡眠・禁煙により、テロメアが短くなるのを食い止めたりテロメアの長さを回復したり出来ると思われます。

運動

運動量が多い人や座って過ごす時間が短い人はテロメアが長いという結果になった研究があります。 また、運動によってイリシンというホルモンの分泌量が増加しますが、このイリシンの血中量が多い人ほどテロメアが長いことを示す研究もあります。

食生活

食生活がメディテラネアン・ダイエットと呼ばれる地中海地方の伝統的な食生活に近いとテロメアが長いという結果になった研究があります。

個別的な食品カテゴリーでは、DHAやEPA(魚に含まれる脂肪酸)や果物・野菜がテロメアの長さを維持するのに有益だと思われます。 逆に、糖類や加工肉(ソーセージやハムなど)などはテロメアの長さを損なう恐れがあります。