オレイン酸を心不全の心臓に注いだときの効果

(2014年9月) "Circulation" 誌に掲載されたイリノイ大学シカゴ校が行った動物実験によると、オリーブ・オイルなどに含まれるオレイン酸に、心不全によるエネルギー代謝の異常を回復する作用があるかもしれません。

心不全と脂質
心不全は心臓発作と同じ病気ではありません。 心不全は、慢性的な高血圧のために心臓の負担が増え、それによって心臓が肥大化するという慢性的な疾患です。 心臓壁が厚みを増すために、心臓から送り出される血液の量が減少し、体全体に十分な量の血液が供給されなくなります。

さらに、心不全を起こした心臓は、心臓の燃料となる脂質(心筋細胞に存在する「脂肪体」に含有されている)を適切に処理または保存できなくなります。 主要なエネルギー源であるこの脂質を利用できなくなった心臓では、心筋が飢餓状態に陥ります。 そして、心不全の心臓がどうにか代謝できた脂質も、毒性のある中間副産物となって心臓疾患が悪化する原因となります。

研究の内容
今回の研究では、健康なネズミと心不全のネズミの心臓(生きて鼓動しているもの)が、オレイン酸、パルミチン酸(西洋型の食事や乳製品に多く含まれる)、動物性脂肪、およびパーム油に対してどのように反応するかを調べました。

心不全のネズミの心臓にオレイン酸を注いだところ、心臓が収縮して血液を送り出す能力が直ちに改善しました。 炭素の非放射能性重同位元素を用いた磁気共鳴分光法により心細胞における(オレイン酸の)脂質分子の位置を追跡したところ、心不全の心細胞の脂質代謝が正常になっていました。

一方、心不全のネズミの心臓にパルミチン酸を注ぐと、脂質の代謝バランスが崩れて、細胞がエネルギー(脂質)を利用するのが困難になりました。 そして、毒性の脂質代謝副産物も増加していました。

研究者によると、オレイン酸には、肥大した心臓の脂質代謝バランスを整えて毒性のある脂質代謝物を減らす効果だけでなく、脂質を代謝する酵素に関与する複数の遺伝子(肥大した心臓では不活化されていることが多い)の活性を回復する効果もありました。