オメガ3脂肪酸の健康効果(心臓・血管)

オメガ3脂肪酸は健康食品の中では近年もっとも研究が活発で、2014年1月に "Academy of Nutrition and Dietetics(栄養・栄養学会)" が発表した食事脂肪のガイドラインでも体に良い脂肪酸として推奨されています。 ただし、様々な症状に対する効果に関して未だ十分に研究がなされているとは言えません。

冠状動脈疾患

EPAやDHAが不足している人では冠状動脈疾患と心不全のリスクが増加すると思われます。 また、複数の臨床試験で、オメガ3脂肪酸が心臓疾患などによる死亡率の減少に有効である可能性が示唆されています。

オメガ3脂肪酸は、①トリグリセライド(中性脂肪)を減らす、②HDL(善玉)コレステロールを増やす、③血液を希釈化する、④ホモシステインの量を減らす、⑤不整脈を防ぐ、⑥心拍速度を遅くする、⑦血管の状態を改善する、⑧血圧を下げるなどの作用によって心臓疾患(や脳卒中)の死亡率を減少させるのだと考えられます。 血液希釈作用を期待する場合にはEPAよりDHAが有効かもしれません。

ただし、狭心症の人は魚油を服用しない方が良い可能性があります。 研究によって結果が異なるのですが、狭心症の人では魚油の服用によって突然死のリスクが増加するという結果になった大規模研究が1つあります。

オメガ3脂肪酸は体内でSPM(レゾルビン)と呼ばれる抗炎症性の物質に変わることで抗炎症作用を発揮して心臓病や脳卒中のリスクを低減すると考えられていますが、服用したオメガ3脂肪酸のサプリメントが体内でSPMに変わるという研究もあれば、それを否定する研究もあります。

心血管疾患の再発防止

多数の研究で、日常的に油分の多い魚を食べたり魚油のサプリメントを服用したりすることで、心臓発作のリスクや、心臓発作の病歴がある人の死亡率、心不全のリスクを下げられることが示されています。 他の治療法に加えて魚油を摂取するのも有効だと考えられます。 魚油による心血管疾患の再発防止効果は、摂取開始3ヵ月後から効果を発揮し始めることが報告されています。

高血圧

オメガ3脂肪酸が高血圧に有効である可能性が多くの研究で示されています。 ただし、大体において血圧の降下幅は小さく、オメガ3脂肪酸に血圧を下げる効果は無いという結果になった試験も複数あります。

17の臨床試験を分析したメタ分析では、魚油を毎日3g以上摂取することによって高血圧の治療をしていない患者の血圧を下げられるという結果が出ています。

オメガ3脂肪酸の降圧効果は摂取量によって異なります。 血圧が高くない人がオメガ3脂肪酸を摂っても血圧に変化はほとんど生じません。 また、血圧を下げたい場合にはEPAよりもDHAの方が適していると思われます。

高トリグリセライド血症

高トリグリセライド血症の治療にもオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取が有効だと思われます。 4g/日の摂取量で、トリグリセライドが最大40%下がるという結果になった研究もあります。 トリグリセライド(中性脂肪)を減らすにはDHAよりもEPAの方が効果的かもしれません。

オメガ3脂肪酸はコレステロール低下薬(スタチン)との併用でコレステロールへの効果が増すようです。 ただし、魚油とコレステロール低下薬を同時に服用する場合には必ず医師に相談しなくてはなりません。

オメガ3脂肪酸の摂取量が多い地中海地方の人やエスキモーでは血中のトリグリセライドが少なくHDL(善玉)コレステロールが多いと言われていますが、一部の(しかし複数の)研究では、魚油によってLDL(悪玉)コレステロールが増加する可能性も示唆されています。

オメガ3脂肪酸のコレステロールへの影響が現れるまでには2~3週間かかるでしょう。