オメガ3脂肪酸の健康効果(脳・メンタル)

脳の発達

オメガ3脂肪酸は脳に大量に存在することから、認知機能(記憶力や思考力など)にとっても重要な栄養素であると思われます。 胎児のときに母体からオメガ3脂肪酸を十分に得られなかった子供では視力や神経に障害が生じるリスクがあります。

"Prostaglandins, Leukotrienes and Essential Fatty Acids" 誌オンライン版(2014年9月)に掲載された研究でも、28ヶ国の女性の母乳成分を比較して国ごとの子供の学業成績と照らし合わせて、母乳に含まれるDHAの量が多い国の子供ほど学業成績が良いという結果になっています。 この研究では、学業成績の差違の20%がDHAによるものだと推算されています。

その一方で、妊娠中にDHAや魚油を服用しても生まれる子供の知能発達の程度は向上しないという結果になった研究も存在します。 不足するとマイナスだが余分にとってもプラスにはならないということでしょうか。

ADHD

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子供では、EPAやDHAなどの必須脂肪酸が不足していることがあります。 100人近くの男の子を調べた臨床試験で、オメガ3脂肪酸が不足している子には学習や行動上の問題(癇癪や睡眠障害など)が多いという結果になっています。

ただし、オメガ3脂肪酸の補給がADHDの症状に及ぼす効果に関しては他にも複数の研究が行われており、それらの研究の結果はマチマチです。 そして、オメガ3脂肪酸によって行動上の問題が改善されたという研究の大部分はあまり信頼性が高くありません。 薬物療法とオメガ3脂肪酸の併用で、オメガ3脂肪酸の効果が見られなかったという研究も1つあります。

現段階ではオメガ3脂肪酸がADHDに有効かどうかは明確ではありませんが、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚を積極的に食べるようにして損をすることはないとは言えそうです。

認知機能

子供に限らずオメガ3脂肪酸が脳の健康にとって有益だとする研究もありますが、そうではないという結果になった研究もあります。 認知機能の種類によってオメガ3脂肪酸の効果があるか否かが異なるという研究もあります。

オメガ3脂肪酸の認知機能への効果は、ApoE-e4対立遺伝子というアルツハイマー病のリスク要因の有無により異なる可能性があります:
  • ApoE-e4対立遺伝子を保有している高齢者においてオメガ3脂肪酸が認知的柔軟性の維持に有効であるという結果になった研究
  • ApoE-e4対立遺伝子を保有している人に限って魚介類を食べる習慣があるとアルツハイマー病に見られる病変が少なかったという研究
  • ApoE-e4対立遺伝子を保有していない人に限ってオメガ3脂肪酸が認知機能の維持に有効であるという結果になった研究

オメガ3脂肪酸が脳に有益となる理由はよくわかっていませんが、オメガ3脂肪酸の抗炎症・抗酸化作用のお陰かもしれません。

鬱症状

鬱症状に関しても、オメガ3脂肪酸が症状軽減に有効であるかどうかは曖昧です。 抗鬱剤に加えてオメガ3脂肪酸を摂取することで症状の改善幅が大きくなる、SSRI系抗鬱剤が効果を発揮する率が増加する、あるいはオメガ3脂肪酸が産後うつ病の予防に有効であるという結果になった研究がありますが、オメガ3脂肪酸が鬱症状に対して有効ではないという結果になった研究も複数存在します。