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オメガ3脂肪酸は人体において抗炎症作用を発揮しない?

(2015年7月) "Journal of Lipid Research" に掲載されたペンシルバニア大学の研究により、オメガ3不飽和脂肪酸(魚油)の人体における抗炎症作用が疑問視されています。出典: Penn Study Questions Presence in Blood of Heart-Healthy Molecules from Fish Oil Supplements

オメガ3脂肪酸の抗炎症作用

これまでに複数の大規模臨床試験で心血管疾患(心臓病や脳卒中)の患者に魚油が有益であるという結果になっています。 その理由として研究者たちは、魚油の抗炎症作用が心臓と血管の健康に良いのだろうと考えてきました。

この考えを裏付けるかのように、動物実験や細胞実験ではSPM(Specialised Pro-resolving Lipid Mediators)と呼ばれ魚油から体内で作られる物質を人工的に合成したものに抗炎症作用のあることが確認されています。

ところが最近の複数のメタ分析(合計で50を超えるランダム化比較試験とコホート研究のデータを分析)では、魚油が心臓病患者にとって有益であるという確証が得られないという結果になっています。

研究の方法

健康な被験者12人に魚油のサプリメントを臨床試験で用いられる程度の高用量(オメガ3脂肪酸にして17.6g/日)で服用してもらってSPMが検出されやすい状態にしたうえで尿と血液の検査を行い、サプリメントの服用によりSPMが増えているかどうかを調べました。

さらに、別の被験者6人に少量(健康目的で一般に服用される程度のサプリメントの量)の魚油を服用してもらったうえでエンドトキシン(毒素)を用いて急性の炎症反応を人為的に引き起こし、炎症が生じたときにSPMが形成されるかどうかも調べました。
結果

尿からも血液からもSPMが形成されている兆候が安定的には検出されませんでした。 炎症が生じているときにもSPMの形成に変化は見られませんでした。

コメント
研究者は次のように述べています:

「人体においては、魚油の服用量に応じた量のSPM形成も、炎症の消散に対応する量のSPM形成もほぼ見られませんでした」

「魚油がSPMとなって抗炎症作用を発揮するという証拠は見つかりませんでした。 そもそも魚油に抗炎症作用があることすら確定していません」