(2018年1月) DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸にはガンを予防する効果が期待されていますが、"Journal of Nutritional Biochemistry" に掲載されたゲルフ大学の研究によると、同じオメガ3脂肪酸であっても短鎖オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)より長鎖オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)のほうがガン予防の効果が高いかもしれません。(出典: Choose Omega-3s From Fish Over Flax for Cancer Prevention, Study Finds)
短鎖/長鎖オメガ3脂肪酸
短鎖オメガ3脂肪酸は、亜麻仁油・菜種(キャノーラ)油・大麻(ヘンプ)油・大豆油・クルミなどの植物性食品に含有されています。 長鎖オメガ3脂肪酸は、魚油のほか海洋性の藻類や植物プランクトンなどの生命体に含有されています。
人体は短鎖オメガ3脂肪酸を長鎖オメガ3脂肪酸に変換しなくては利用できませんが、短鎖オメガ3脂肪酸からEPAへの人体内での変換率は5%、同じくDHAへの変換率は0.5%でしかないため、長鎖オメガ3脂肪酸、特にDHAを直接摂取する場合に比べると利用できる量が非常に少なくなります。
研究の方法
マウスに短鎖または長鎖のオメガ3脂肪酸を投与しつつ、HER2型と呼ばれる侵攻性の強い乳ガン(ヒトに生じるもの)を人為的に発生させて、投与したオメガ3脂肪酸の種類と乳ガンの発達の様子との関係を調べました。
結果
短鎖オメガ3脂肪酸に比べて長鎖オメガ3脂肪酸のほうが乳ガン腫瘍の発生と成長を阻害する効果が8倍も高く、長鎖オメガ3脂肪酸の投与により腫瘍サイズが60~70%も縮小し、腫瘍の数も30%減りました。
短鎖オメガ3脂肪酸で長鎖オメガ3脂肪酸と同じ効果を得るには、長鎖オメガ3脂肪酸よりも多くの量が必要でした。
オメガ3脂肪酸は、免疫機能に関与する遺伝子を活性化させたり腫瘍の成長経路を遮断することによって、乳ガンを防いだり抑制したりします。
研究者によると、乳ガン以外のガンの抑制にもオメガ3脂肪酸が有効である可能性があります。