医療・健康 3行半ニュース(2018年6月)

6月21日(木)
乳ガン患者の疲労感軽減に有望な健康食品。 8つの研究のデータ(データに含まれる乳ガン患者数は932人)を分析したシステマティック・レビューで、乳ガン患者の疲労感の治療に使える健康食品としてオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)・全粒穀物・果物・野菜・ガラナが有望という結果だった。 乳ガン患者の疲労感の軽減を目的として最もよく使われていたのはガラナとアセチル・カルニチンとコエンザイムQ10(CoQ10)だった。 (Breast Cancer Research and Treatment

ストレスと視力低下(レビュー) 視力低下はストレスの一因であるが、ストレスが視力低下の原因ともなり得る。 ストレスが長期間にわたり継続すると、コルチゾール(ストレス・ホルモン)が増加して自律神経系のバランスの乱れと血管の調節不全を引き起こし、それによって眼や脳に悪影響が生じるのである。 ストレスは緑内障や視神経症の主な原因の1つでさえあるかもしれない。

したがって、視力低下とストレスは互いに互いの原因であり結果であると言える。 そこで警戒すべきは、視力低下とストレスの負のスパイラルである。 すなわち、視力低下により引き起こされたストレスが視力のいっそうの低下を招き、そうして視力が低下したためにストレスがさらに増大し視力がさらに悪化してゆく... という状況。

こうした負のスパイラルに歯止めをかける方法としては、瞑想やサイコセラピーやメンタル・トレーニングなどの手段によりストレスを緩和することが推奨される。 (EPMA Journal

プロバイオティクスに不安症状を軽減する効果はない? プロバイオティクスの不安症状への効果を調べた36の研究(動物実験が22と臨床試験が14)のデータを分析したシステマティック・レビューで、げっ歯類を用いた動物実験では、病気を患っている動物に限り不安を示す行動の軽減にプロバイオティクスが有効であることがいちおう示されたが、ヒトを対象に行われた臨床試験では、プロバイオティクスに不安症状を軽減する効果は無いという結果だった。

プロバイオティクスの用量や服用期間をもっと増やせば不安症状に効果があるかもしれない。

プロバイオティクスの中で有望なのは乳酸菌の一種であるラクトバチルス・ラムノサス菌。 (Plos One
6月20日(水)

ビタミンDで線維筋痛症の症状が改善。 線維筋痛症になってから1~10年間が経過していてビタミンDが不足(血中濃度が30ng/ml以下)である女性患者11人(28~67才。平均48.5才。63%が白人)にビタミンDのサプリメント(5万IUを2週間に1回)を3ヶ月間にわたり服用させたところ...

ビタミンD血中濃度が平均18.4ng/mlから33.8ng/mlへと上昇し、視覚的アナログ尺度(おそらく疼痛の程度に関するもの)のスコアが90から30へと改善した。 また、12人中8人の患者は「症状がとても改善した」と報告した。 圧痛が生じる箇所も減っていた(17→10)が、統計学的な有意性に欠けていた(P = 0.07)。 (Israel Medical Association Journal
6月19日(火)

血中脂質値が気になるなら砂糖よりもハチミツ? 18~30才の健康な男女60人を被験者とするランダム化比較試験(試験期間は不明)で、ハチミツ70g/日または砂糖70g/日を与えたところ...

ハチミツを摂取したグループではLDLコレステロール値と中性脂質値が下がる一方でHDLコレステロール値が上がったが、砂糖を摂取したグループではLDLコレステロール値と中性脂質値が上がったうえにHDLコレステロール値が下がった。 (Clinical Nutrition ESPEN

ParsToday によると、イランはハチミツの生産量において世界上位5ヶ国に入っている。
6月18日(月)

ベジタリアンの食生活とメタボのリスク(メタ分析) 71の研究(横断研究63、ランダム化比較試験6つ、コホート研究2つ。データに含まれる人数は合計10万人超)のデータを分析したメタ分析で、ベジタリアンの食生活と普通の食生活とでメタボリック・シンドロームになるリスクに差が無いという結果だった(横断研究5つを用いた分析と、ランダム化比較試験6つとコホート研究2つを用いた分析の両方で)。

メタボリック・シンドロームの構成要素を調べた横断研究のデータを分析すると、ベジタリアンの食事をしている場合には普通の食生活の場合に比べて、収縮期血圧(-4.18mmHg)、拡張期血圧(-3.03mmHg)、空腹時血糖値(-0.26mmol/L)、ウェストサイズ(-1.63cm)、およびHDLコレステロール値(-0.05mmol/L)が低かったり小さかったりするという結果だった(カッコ内は低下/減少の平均値)。 ただし研究間の差異が大きかったため、この結果の信頼性は低い。(Clinical Nutrition

米国人の主要な食事コレステロール源。 2013~2014年にかけて行われた米国に住む20才以上の男女5千人を対象とする調査(過去24時間の食生活を尋ねるということを2回行った)で、食事コレステロールの摂取源として最も大きかったのは肉・卵・穀物製品・牛乳で、この4種類の食品だけでコレステロール摂取量全体の96%を占めていた。

コレステロールの平均摂取量は293mg/日(男性348mg/日、女性242mg/日)だった。 39%の人でコレステロール摂取量が300mgを超えていた。 (Nutrients
6月17日(日)

卵の摂取量と死亡リスクの関係。 スペインに住む29~69才の男女4万人を平均18年間にわたり追跡した調査で、卵の摂取量と総死亡リスクやガンあるいは心臓病/脳卒中で死亡するリスクとの間に関係が見られなかった。 その他の原因(特に神経系)で死亡するリスクは、卵摂取量が多い人で低かった(-24%)。

今回のデータにおける卵摂取量の平均は、女性で22g/日および男性で31g/日だった。 研究グループは「1日1個までの卵摂取量と主な疾患による死亡リスクとの間に関係が見られなかった」と述べている。 (European Journal of Nutrition
食事と腸内細菌。 食事はヒトの成長・生殖・健康にとって必須であるだけでなく、腸内に住む共生細菌(腸内細菌)を支えるうえでも重要である。 ヒトが食べる食品の種類・品質・起源は、①腸内細菌叢を形成し、②腸内細菌の種類構成や機能に影響し、③宿主(ヒト)と腸内細菌のあいだの相互作用を左右する。 いろいろな栄養素のなかでも食物繊維は腸内細菌と直接的に関係し、短鎖脂肪酸(SCFA)などの重要な物質が生産される端緒となり、ヒトの健康に影響を及ぼす。(Cell Host & Microbe
6月16日(土)

老化に伴う慢性炎症は運動で緩和できるだろう。 年を取ると抗酸化防御が劣化して軽度の炎症が慢性的に生じた状態となる。 老化により臓器などの機能が低下するのに加えて、座って過ごす時間が増えがちであるためである。

このように老化に伴う慢性的な炎症のことを「インフラメージング」と呼ぶ。 インフラメージングは慢性疾患や老化による認知機能の低下に関与している。

身体活動には脳神経を保護する効果や抗炎症性物質の血中濃度を増やして抗酸化防御を改善する効果があるため、高齢者が中強度の身体活動をほどほどに行えば、老化が健康にもたらす悪影響をいくらか緩和できると思われる。 (Revista Española de Geriatría y Gerontología
6月15日(金)

ビタミンD血中濃度と大腸ガンのリスク。 大腸ガンの患者 5,706人と非患者 7,107人のデータを分析した米国の研究で、ビタミンD血中濃度が50nmol/L~62.5nmol/L未満(骨の健康にとって必要な最低限の血中濃度)に比べて...

ビタミンD血中濃度が30nmol/L未満(ビタミンD欠乏)の場合には大腸ガンのリスク(RR)が31%高く、75nmol/L~100nmol/L未満の場合には大腸ガンのリスクが19~27%低いという結果だった。

ビタミンD血中濃度が100nmol/L以上では、50nmol/L~62.5nmol/L未満の場合と大腸ガンのリスクに差がなかった。

ビタミンD血中濃度が25nmol/L増えるごとに、女性では19%および男性では7%(95% CI = 0.86 to 1.00)、大腸ガンのリスクがそれぞれ低下するという計算になる。 (Journal of the National Cancer Institute
6月14日(木)
7才児の身体活動量と7年後に肥満しているリスク。 7才の子供 4,770人の身体活動量とBMIを調べ、その7年後に再びBMIを調べたところ、身体活動量(中程度に激しい~激しい)において激しい身体活動が占める割合が最も大きかったグループは最も少なかったグループに比べて、肥満になるリスクが30%低かった。 この結果に基づき研究チームは「子供の肥満抑制には、少量であっても激しい身体活動を行うことが大切である」と述べている。 (International Journal of Obesity
6月13日(水)

特に女性では睡眠時間が短過ぎる人よりも長過ぎる人のほうがメタボ的に不健康。 韓国に住む男女13万人超(女性9万人弱)を対象に行われた横断調査で、睡眠時間が6~8時間の場合に比べて6時間未満の場合には、男性ではメタボリック・シンドローム(以下「メタボ」)のリスクが12%および腹部肥満のリスクが15%高く、女性では腹部肥満のリスクが9%高いという結果だった。

また、睡眠時間が10時間を超える場合には睡眠時間が6~8時間の場合に比べて、男性ではメタボのリスクが28%および高中性脂肪血症のリスクが33%高く、女性ではメタボのリスクが40%・腹部肥満のリスクが14%・高中性脂肪血症のリスクが41%・低HDL血症のリスクが24%・空腹時高血糖のリスクが39%高かった。 (BMC Public Health
6月12日(火)

的外れな答えしか出せない状態で練習問題をしても効果は薄い。 "Memory" 誌に掲載された研究によると、答えが正解から的外れであると正解を覚えにくい。 逆に、答えが正解に近いと正解を覚えやすい。 したがって、勉強をするときには教科書や参考書にしっかりと目を通してある程度正解を出せるように鳴ってから練習問題を解くようにすると良いだろう。

この研究では、英語はできるがスペイン語はできない32人の若者にスペイン語の単語を覚えさるという試験を行った。 試験では、①英語の綴りから連想する通りの意味を持つスペイン語の単語と②連想に反するスペイン語の単語(16個ずつ)を暗記させた。 その結果、②の場合よりも①の場合のほうが単語テストの成績が良好だった。

①の例は "careera"。 英語の "career(キャリア)" に似ているこの単語には「大学の単位」という意味がある(おそらく「キャリア」と「大学の単位」の間に関連性があるということ)。

②の例は "carpeta"。 この単語は英語の "carpet(カーペット)" に似ているが、その意味は「カーペット」ではなく「(書類などを入れる)フォルダー」。 (EurekAlert
6月11日(月)

鼻ではなく口で呼吸をする人は歯垢が溜まりやすく虫歯菌が増えやすい。 口呼吸をする若者20人と普通に鼻で呼吸する若者20人(いずれも18~23才)を対象に、歯科専門家の手による口腔ケアを受けたのち半年間にわたり口腔内の状態を観察したところ...

口呼吸をするグループは鼻呼吸のグループに比べて、歯垢が溜まりやすいうえに虫歯菌(S. mutans)が一定量を超えて増えるリスクが4倍だった。 唾液の流量や唾液の緩衝能(酸を中和する能力)には、半年間を通じてグループ間で差が見られなかった。

口呼吸をする若者の口腔内で虫歯菌が増えやすいのは、口呼吸により口腔内の水分が蒸発しやすいためかもしれない。(BioMed Research International

秋生まれの子供はセリアック病になりやすい? イスラエルで生まれた30万人超のデータ(セリアック病の症例数は699件)を分析した後ろ向き研究で、生まれの子供は生まれの子供に比べてセリアック病(グルテンを身体が受け付けなくなる病気)のリスクが22%高いという結果だった。 夏と秋の真っ盛りで比較すると、秋の真っ盛りに生まれた子供は真夏に生まれた子供に比べてセリアック病のリスクが40%高かった。

気温や日射量とセリアック病のリスクとの間には関係が見られなかった(季節の違いによるセリアック病リスクの差の原因は気温や日射量にあるのではないようだった)。 (Acta Paediatrica
6月10日(日)

ナマコの成分に動脈硬化を除去する効果?(マウス実験) ナマコから抽出したセレブロシド(スフィンゴ糖脂質の一種)を肥満マウスに投与したところ、インスリン感受性が増大したり血中や肝臓中のコレステロール値が改善されたりした。投与量が多いほど改善幅が大きかった。

さらに、動脈硬化を発症しやすいタイプのマウスにナマコ由来のセレブロシドを投与したところ、動脈硬化の病変部の形成が減少し、炎症性サイトカイン(CRP・TNFα・IL-6など)が減少して炎症が軽減された。

これらの結果に基づき研究チームは「ナマコ由来のセレブロシドに動脈硬化を除去する効果が期待できる可能性がある」と述べている。 (Molecular Nutrition & Food Research
睡眠時間が少ない小学生は太りやすい? 7~12才の小学生(おそらくカタール在住)335人の睡眠時間を7日間にわたり計器を用いて測定して睡眠時間と太り具合との関係を調べたところ、睡眠時間8時間未満の子供はBMIとウェスト・サイズが大きく、体脂肪(体脂肪率と体脂肪量)も多く、肥満の基準を満たしていることが多かった。 子供たちの平均睡眠時間は7.6時間で、肥満率は42.1%だった。(Sleep Medicine

ジェルネイル用のライトと皮膚ガンのリスク。 ジェルネイルを硬化させるにはネイル・ランプ(ネイル・ライト)と呼ばれる器具が用いられるが、このネイル・ランプに備え付けられているUVライトからは紫外線A波(UVA)が照射される。 UVAは細胞のDNAにダメージを与えるため発ガン性があり、皮膚ガンを引き起こしかねない。

ネイル・ランプで皮膚ガンになる恐れがあるかどうかを調べた研究はこれまでに極めて少数しか行われていないが、乏しい既存のデータを見る限りでは、ネイル・ランプにより皮膚ガンが生じる恐れはあまり無さそうである。

とは言うものの、ネイル・ランプを使用する際にはネイル・ランプにさらされる手や指に日焼け止めを塗っておくことが推奨される。 使用する日焼け止めは、SPFが30を超えるブロード・スペクトラム(UVBだけでなくUVAも防ぐ)のものが良い。(Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine
6月9日(土)

既存の薬でアルツハイマー病の症状が改善(マウス実験) ヒトのアルツハイマー病に相当する病気を(遺伝子改造により)発症しているマウス(60才のヒトに相当する年齢)にジレウトン(ジロートン)と呼ばれ喘息症状の予防にすでに使用されている薬(ロイコトリエン遮断薬)を16週間にわたり投与したところ...

迷路を通り抜けるテストにおいて、ジレウトンを投与されたマウスは投与されなかったマウスに比べてワーキング・メモリーと空間学習能力が良好だった。 ジレウトンの投与によりマウスの記憶欠損が改善されたのだと思われる。

研究者は「ジレウトンを投与したマウスでは炎症が完全に消え去っていた。 ジレウトン脳の炎症プロセスが停止したためにτ(タウ)タンパク質によるダメージが改善した」と述べている。 (テンプル大学

昼食を遅い時間帯に摂る女性は血圧が高かった。 オーストラリアに住む19才以上の男女 4,482人を対象に行われた横断調査で過去24時間における食生活(9日間を空けて2回調査した)と血圧の関係を調べたところ...

昼食を午後2時以降に摂る女性は、収縮期(最高)血圧と拡張期(最低)血圧の両方が高く、高血圧のリスク(オッズ比)も49%高かった。 男性では、間食をしていた場合に拡張期血圧のリスクが14%低かったが、カロリー摂取量や食生活の質まで考慮するとこの関係は消滅した。 (European Journal of Nutrition

緑茶と乳ガンのリスクの関係は未だ明確でない。 緑茶と乳ガンの関係を調べた14の研究(ケース・コントロールが9つ、コホートが4つ、臨床試験が1つ)のデータを分析したメタ分析で、乳ガン予防に緑茶が有効かどうかは明確でないという結果になった。

9つのケース・コントロール研究のデータのメタ分析では、緑茶の摂取量が最大グループは最少のグループに比べて乳ガンのリスクが19%低いという結果だた。 しかし、4つのコホート研究(ケース・コントロールよりも信頼度が高い)のメタ分析では緑茶摂取量と乳ガンになるリスクとの間に関係が見られなかった。

臨床試験は緑茶と乳腺密度(乳房内の脂肪組織に対する結合組織と腺組織の割合。脂肪組織が多いほど乳腺密度は低い。乳腺密度が高いと乳ガンになりやすい)ものであったが、緑茶を摂取した場合としない場合とで乳腺密度に差はないという結果だった。(Phytotherapy Research
6月8日(金)
子供のビタミンD血中濃度とコレステロール値の関係。 フィンランドに住む6~8才の子供419人を対象に行われた調査で、ビタミンD血中濃度が高い子供は総コレステロール値・LDLコレステロール値・HDLコレステロール値・中性脂肪値が低いという結果だった。 肥満度・身体活動量・食生活などを考慮しても、ビタミンD血中濃度が高いとコレステロール値が低いという関係は消滅しなかった。 (The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
6月7日(木)

自宅近辺の高圧電線とALSのリスク(メタ分析) 筋萎縮性側索硬化症(略称「ALS」。運動ニューロンが冒される神経変性疾患。原因がほとんど解明されていない)のリスク要因として極低周波電磁場が疑われている。

そこで、自宅の近辺に高圧電線(電磁場が生じる)が通っているか否かとALSのリスクとの関係を調べた5つの研究のデータを分析したところ...

高圧電線の有無とALSのリスクとの間に統計学的に有意な関係は見られなかった。 どちらかと言えばリスクが下がっているほどだった。 ただし今回のメタ分析には、高圧電線の付近に住んでいる人の数が少なかったという弱点がある。 (Reviews on Environmental Health

えっ?バジルに発ガン性物質っぽい物質? でも心配ご無用。 ハーブの一種として知られるバジル(Ocimum basilicum)は、世界中でスパイスとして利用されており、健康的な食生活として知られるメディテラネアン・ダイエットでも用いられている。

バジルは体内で発ガン性物質へと変化するアルケニルベンゼンを含有するとして安全性が懸念されているが、バジルの成分にはネバデンシンのようにアルケニルベンゼンの有害性を打ち消す効果を有するものも複数含まれているため心配ご無用である。 バジルにはポリフェノール類が豊富に含まれているため、健康的な食品であると言ってよい。

ただし、バジルのエッセンシャル・オイルの使用については、アルケニルベンゼンの関係で注意が必要である。 (Expert Opinion on Drug Metabolism & Toxicology
6月6日(水)

ストレスの食事量への影響は食事中よりも食事の計画中に発揮される。 ストレスと性別と食事量の関係を様々な食品で調べたところ、女性でのみストレスを感じている場合に、①食べようとする量(実際に食べた量ではない)が増え、②出された食事に期待する満腹感の程度が下がった(「こんな量じゃ、きっと足りない」)。

今回の結果から、女性ではストレスの食事量への影響が食事中よりもむしろ食事を用意する(何をどれだけ食べようかと計画する)ときにも発揮されると考えられる。 マインドフルに食事を用意すると良いのではないだろうか。(Physiology & Behavior
未成年のガン患者の死亡リスクと親の可処分所得の関係。 1990~2009年のうちに20才未満でガンと診断された患者 4,437人とその親を対象に行われたフィンランドの調査で、親の可処分所得(両親の合計)が最も多いグループは最も少ないグループに比べて、5年間のうちに死亡するリスクが32%高かった。(Acta Oncologica
6月5日(火)

腫瘍の形成を促進する分子をアスピリンが遮断。 アスピリンを常用する人は結腸ガンのリスクが低いというデータがあるが、エジンバラ大学で行われた細胞実験で、アスピリンがTIF-IAと呼ばれ細胞核の機能において重要となる分子を遮断することが明らかになった。 TIF-IAが活性化すると腫瘍の形成が促進されることが知られている。 また、TIF-IAの機能不全はアルツハイマー病やパーキンソン病に関与している可能性がある。

アスピリンは結腸ガン患者に効果を発揮したりしなかったりするが、今回の研究はアスピリンが効く患者と効かない患者とを見分ける手がかりになる可能性がある。 この研究は "Nucleic Acids Research" 誌に掲載された。 (EurekAlert
6月4日(月)

乳製品の摂取量と動脈スティフネス。 ブラジルに住む成人男女1万3千人弱を対象に乳製品の摂取量と動脈スティフネスとの関係を調べた横断調査で、乳製品を毎日4食分超摂るグループは1食分以下しか摂らないグループに比べて、頸動脈のPWV(脈波伝播速度)が0.13m/sおよびPP(脈圧)が1.3mmHg低かった。

乳製品の種類別では、低脂肪乳製品・発酵性乳製品・チーズにおいて摂取量が多いとPWVとPPが低かった。

今回の結果から乳製品に動脈スティフネスを軽減して心臓病/脳卒中を予防する効果のある可能性が期待できるが、この点については追跡研究や長期間にわたる介入研究を今後行って確認する必要がある。 (Nutrients
6月3日(日)

糖類で頭が悪くなる。 精製度の高い糖質(以下「糖類」)を毎日のように食べていると年齢にかかわらず認知機能に悪影響がある。 胎児(母体経由で)や思春期までの子供にとっては特に、糖類が認知機能に有害である。

を摂った直後の認知機能への短期的な影響に関しては、「糖は認知機能に悪影響を及ぼす」という結果になったものと「有害でも有益でもない」という結果になったものとが混在している。

と認知機能とを仲介する要因としては代謝・炎症・血管などが考えられる。 糖が認知機能に及ぼす影響は、年齢・遺伝子・生理学的機能(グルコース調節機能など)・糖摂取のタイミング・摂取する糖の種類により異なる。

を多く含有する食事は体重にかかわらず認知機能に悪影響を及ぼす。 糖により肥満したり2型糖尿病などの代謝性疾患になったりする以前に糖類が認知機能に弊害を引き起こす可能性がある。(Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care
6月2日(土)
乳ガンのリスクを下げる食品と上げる食品。 食生活と乳ガンのリスクの関係を調べた17のケース・コントロール研究(2013年1月~2017年5月に発表されたもの)のデータを分析したところ、一貫して乳ガン予防効果が認められたのは野菜だった。 逆に乳ガンのリスクが増加していたのは加工肉(ソーセージやハムなど)と飽和脂肪(肉の脂身や乳製品に大量に含まれる)。 (Anticancer Research
ピロリ菌に感染している人が多い職業。 胃潰瘍や胃ガンを引き起こすことで知られるピロリ菌(H. pylori)への感染状況を職業別に調べた98の研究のデータを分析した結果、医療関係者(特に胃腸関係の部門に勤務する人)がピロリ菌に感染していることが多いことが明らかになった。 医療関係者以外では農業・林業・漁業に従事する人や、汚水処理業者、鉱夫、知的障害者施設に勤務する人もピロリ菌に感染していることが多かったが医療関係者ほどではなかった。 ピロリ菌は、口から口あるいは糞便から口というルートのほか動物経由でも感染することが多い考えられる。 (International Archives of Occupational and Environmental Health
6月1日(金)
高地ではSSRI系抗うつ剤の効果が失われる(動物実験) ネズミを 1,372mまたは 3,048mの高地(酸素が少ない)で1週間飼育したところ、抑うつ的な行動が悪化し、メスのネズミではプロザック/パクシル/レクサプロといったSSRI系抗うつ剤の効果が失われた。 オスのネズミでもプロザックの効果が失われた。 高地においてオスとメスの両方で効果が見られたのはゾロフトだけだった。(Pharmacology Biochemistry and Behavior

乳児の頃に乳酸菌を与えられた幼児は感染症にかかりやすかった。 生まれてから6ヶ月間が経過するまでの時期に乳酸菌(種類はさまざま)を直接または母親の母乳を介して間接的に摂取していた幼児35人と摂取していなかった幼児52人とを比較したところ、乳酸菌を摂取していた幼児のほうが口腔・呼吸器・胃腸の感染症(風邪やインフルエンザなど)にかかりやすかった。

今後の研究で安全性と効果が明らかになるまで、乳児に乳酸菌を与えるのは控えるのが賢明かもしれない。 乳児への乳酸菌投与が健康に有益であるというデータはほとんど存在しない。 (Scientific Reports

出産から1年間は声が低くなる。 "Evolution and Human Behavior" 誌に掲載された研究で、初めて出産した女性20人と出産していない女性20人(歌手・女優・リポーターなど)とで、受胎の5年前~出産してから5年後にかけての声(声のサンプルの数は600)を比較したところ、年齢を考慮しても、出産してから1年間のうちは声の高さの上限が44Hz低く抑揚が単調になっていた。 妊娠中にも平均で14Hz声が低かった。 しかし、出産から1年が経過すると声がほぼ元の状態に戻っていた。

妊娠・出産の時期に声が変化する理由の1つは性ホルモンの量の変化だと考えられる。 これまでの研究では、女性が閉経を迎えると声が35Hzほど低くなることや、排卵期にある女性は声が高くなるようであること、そして排卵期にあり妊娠しやすい女性の声を男性が好むことが示されている。 (The Conversation
運動の認知機能への効果が現れ出すのはは52時間目から。 高齢者を被験者として運動が認知機能(思考能力など)に及ぼす効果を調べた98のランダム化比較試験のデータを分析したシステマティック・レビューで、認知機能に障害が出ている場合にも出ていない場合にも、(プレスリリースによると半年間のうちに)52時間以上の運動を行うことにより高齢者の認知機能が向上するという結果になった。 運動の内容は、有酸素運動(ジョギングなど)・筋力トレーニング・太極拳・ヨガのいずれでも良い。 (Neurology: Clinical Practice