医療・健康 3行半ニュース(2018年8月)

8月31日(金)
冬季であってもビタミンDのサプリにメンタル改善の効果がなかった。 オタゴ大学などによる研究グループが行ったランダム化比較試験で、ニュージーランドに住む18~40才の女性152人を2つのグループに分けて、一方のグループにのみ冬季(日照量が少ない)の半年間にわたりビタミンD3のサプリメントを服用させたが、抑鬱・不安・人生に感じる手ごたえ・精神的なポジティブさの度合いにおいて両グループ間に差が生じなかった。 (Journal of Nutritional Science
8月30日(木)

羊水の味: 胎児は羊水を飲んでいる。 われわれヒトの最初の食事は羊水である。 妊娠1~12週目の時期に胎児は羊水を飲み込むのだ。

胎児が羊水を飲むと腸が様々な分子にさらされるが、こうした分子は腸と脳の機能に深く影響する。 例えば、羊水の味は母体の食事により変化する。 そして最近の研究により、生まれる子供の食事面での好みが胎児の時点ですでに決定され始める可能性が示されている(羊水の味が胎児の生後の食事の嗜好に影響する)。

さらに、最近になって胎児が胎内にいる時点で細菌に接触しているようであることが明らかになった(以前は胎児が初めて細菌と接触するのは出産中であると考えられていた)。

生後の食事や細菌との接触が脳の機能や機能不全に関与するのと同様に、胎児のころの栄養状態や細菌環境も食事の処理に関わる腸/脳の神経回路の発達に長期的な影響を及ぼす可能性がある。 (Frontiers in Human Neuroscience
8月28日(火)

夜寝る前にヨガの音楽を聴くと心臓に良いかもしれない。 インドの研究("European Heart Journal" に掲載)で、夜寝る前にヨガの音楽を聴くと心拍変動が改善されるという結果になった。 心拍変動の幅が狭い(良くない)と心臓病や脳卒中になるリスクが32~45%増加するというデータがある。

試験では平均年齢26才の男女149人を3つのグループに分けて、就寝前にヨガの音楽を聴かせて音楽を聴く前~後に心拍変動を測定し、ポップ・ミュージックを聞かせた場合や何も聞かせなかった場合と比較した。 ヨガ音楽を聴いたのちには不安レベルが下がり、気持ちもポジティブになった。 (European Society of Cardiology

ヨガ音楽は YouTube で無料で聴くことができる。 YouTube を訪れるならば、ついでにライオンと抱き合ったり頬ずりしたりする男の動画も観るとよい。 黒ヒョウも可愛い。
8月27日(月)

高齢者の自立力は握力よりも手先の器用さに表れる? 平均年齢70才の326人(女性287人)を対象に行われた調査で、握力の強さではなく手先の器用さと認知機能の一種である実行機能との間に関係が見られた(手先が器用だと実行機能が優れている)。

実行機能とは注意力・ワーキングメモリー・計画力・判断力などのこと。 自立した生活を送るうえでは一定水準以上の実行機能が要求される。

手先の器用さの測定に用いられたのは "Purdue Pegboard Test"(リンク先は画像)と呼ばれるテスト。このテストでは、30秒以内にボードにピンを何本刺せるかを計測する。(BMC Geriatrics
8月20日(月)

季節外れのサクランボで太りやすい体質に? ロビラ・イ・ビルジリ大学(スペイン)の研究グループが行ったマウス実験で、日照時間が長い春から夏のうちに収穫される果物であるサクランボを、日照時間が短い(照明を6時間だけ点灯する)環境で飼育されるマウスに与えると、マウスが太りやすい体質になった。(Nutrients

「食品の旬の時期や原産地」と「食品を食べる人が暮らす環境」との組み合わせによって、食品が体に及ぼす影響が異なるのかもしれない。

関連記事: 南国の果物で糖尿病のリスクが増加し、温帯地域の果物でリスクが下がる?
8月19日(日)
水分摂取量と膀胱ガンの再発リスク (関係見られず) 膀胱ガン(筋層非浸潤)で手術をした患者716人を平均2.8年間にわたり追跡調査したところ、膀胱ガンと診断される前の1年間における水分摂取量や診断されてからの1年間における水分摂取量と膀胱ガンが再発リスクとの間に関係が見られなかった。 飲料の種類別に見ても同様だった。 飲酒量と膀胱ガンが再発リスクとの間にも関係が見られなかった。 (Bladder Cancer
8月17日(金)

緑茶を飲むだけでも感染症に対抗する効果が期待できる? 緑茶カテキンには抗菌・抗ウイルス作用がある。 緑茶カテキンのこの作用は、病原体に侵されている生体(ヒトなど)と病原体が生体の侵略に用いるメカニズムの両方に対して効果を発揮する。

緑茶を飲むことによって緑茶カテキン(やその代謝物)が全身に行き渡ることが、これまでの研究で示されている。 したがって、緑茶を飲むだけでも感染症(風邪やインフルエンザなど)の予防や治癒に効果を発揮することが期待できるかもしれない。 (BioMed Research International
8月16日(木)

銅の摂取量が多い人はテロメアが長い。 米国人男女 7,324人(48%が男性)を対象に、血液を検査してテロメア(細胞の老化の指標)の長さを調べたり、過去24時間における食生活を尋ねたりしたところ、銅の摂取量が多い人はテロメアが長かった。

年齢が1才増えるごとにテロメアの長さ(T/S比)が0.06小さくなっていた。 銅の摂取量が1単位(log変換後)増えるごとに、テロメアの長さが0.02長くなっていた。 銅の摂取量は、女性で1.12mgおよび男性で1.51mgだった。 銅が健康への影響を介して肉体の老化に影響している可能性がある。("frontiers in Endocrinology")

関連記事: 過剰な銅が男児のワーキング・メモリーに悪影響?
悩みなき子供時代は10才頃まで? これまでの研究で、子供の幸福感が思春期のうちに下がり続けることが示されている。 そこで世界15ヶ国に住む子供4万8千人のデータを用いて8才以降の幸福感の程度を調べたところ、「子供の幸福感は10才ごろから低下し始める」という仮説を裏付ける傾向が大部分の国において見られた。 (Child Development
8月10日(金)
食生活の炎症度と子供の学校の成績。 ポルト大学(ポルトガル)などの研究グループが平均年齢11.6才の子供524人(女児277人)を調べた横断研究で、食事炎症指数(DII)のスコアが高い(炎症が促進される食生活を送っている)子供は学業成績(算数や国語など)が悪いという関係が見られた。 (Public Health Nutrition
8月5日(日)

閉経後女性が運動をしてもテロメアの長さに違いが見られなかった。 身体活動によりガンのリスクが下がるが、そのメカニズムは知られていない。 そこで、その「メカニズム」にあたるのがテロメアではないかと考えた研究チームは、カナダ在住の健康な閉経後女性212人を2つのグループに分けて一方のグループにのみ1年間にわたり運動を行わせたが、運動をしなかったグループとの間でテロメアの長さに違いが見られなかった。

運動の内容は、1回45分間の有酸素運動(ウォーキング・自転車・ジョギングなど)を週に5回というもの。 212人の平均BMI値は29kg/m(肥満)。 (Cancer Epidemiology
8月3日(金)

ナスビの健康効果(レビュー) 「栄養がない」「スカスカだ」「油を吸い過ぎる」「焼くと美味い」などと蔑(ないがし)ろにされることが多いナスビだが、実はナスビにはビタミン類・フェノール類・抗酸化物質が豊富に含まれている。 ナスビに秘められた薬効が最近になって認知され始めている。(Food Chemistry

Wikipedia によると、ナスビの成分ナスニン(アントシアニンの一種で皮の部分に含まれる)には活性酸素の発生を抑制する抗酸化作用があり、ガンを抑制する効果が期待される。 またコリンという成分には、血圧やコレステロールを下げる・動脈硬化を防ぐ・胃液の分泌を促す・肝臓の働きを良くするなどの作用が認められている。
8月1日(水)
次世代のプロバイオティクスとして期待される腸内細菌 (レビュー) ビフィズス菌(Bifidobacterium spp.)は細胞外構造や分泌物を用いて腸の健康を促進する。 Faecalibacterium prausnitzii菌 / Roseburia intestinalis菌 / Eubacterium hallii菌は食物繊維から短鎖脂肪酸(SCFA)を作り出して腸細胞にエネルギーを供給し、抗炎症効果を腸にもたらす。 Akkermansia muciniphila菌は代謝疾患において有益な作用を発揮したり腸のバリア機能を強化したりする。 バクテロイデス属の細菌(Bacteroides spp.)が分泌する分子は免疫調節作用により腸の健康維持に寄与する。 バクテロイデス属の細菌の一種である Bacteroides fragilis菌には有害な作用もある。 (Nutrients