医療・健康 3行半ニュース(2018年10月)

10月20日(土)
食物繊維について(レビュー) 食物繊維が豊富な食生活が腎結石・炎症性疾患・結腸ガンなどの悪性腫瘍・肥満・2型糖尿病・心臓病/脳卒中の予防に有効であることが多数の研究で示されている。食物繊維は複合炭水化物で構成される非消化性の多糖類であり、水溶性に応じて不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分類される。不溶性食物繊維全粒穀物に豊富)は、食品が消化されるうちに形成される発ガン性物質・変異原性物質・その他の有毒化学物質と結合することによって、こうした有害物質を糞便経由で体外へと除去してくれる。 水溶性食物繊維は腸内細菌による発酵により酪酸・プロピオン酸・酢酸などの短鎖脂肪酸へと分解されることが少なくない。 (Mechanisms of Ageing and Development

乳ガンの家族歴がある女性の身体活動習慣と乳ガンのリスク。 乳ガンの家族歴がある女性5万人ほどを平均8.4年間にわたり追跡した調査で、閉経後の女性に限り、身体活動量が多い場合(7時間/週超)の場合には少ない場合(1時間未満/週)に比べて乳ガンになるリスクが少ない(-23%)という結果だった。

閉経前の女性では血縁関係が特に近い近親者(たぶん第一度近親者)が乳ガンになっている場合に限り、身体活動量が多い場合には乳ガンのリスクが低下するどころか増加する傾向が見られたが、この点に関しては統計学的に有意な結果ではなかった。

追跡期間中に乳ガンと診断されたのは約3千人。(Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention
10月19日(金)

一部の例外を除けば、卵で2型糖尿病のリスクは増加しない? 米国人男女 55,851人を平均5.3年間にわたり追跡した調査で、肉を食べる量が増えるにつれて2型糖尿病になるリスクが増加していたが、卵では一部の例外を除き増加していなかった。

一部の例外」とは肉を食べる習慣はなく卵のみを週に5個以上食べるというケースで、この場合には(卵を食べない場合に比べて)2型糖尿病になるリスクが52%増加していた(肉も卵もたくさん食べる場合には肉だけをたくさん食べる場合よりもリスク増加幅が小さかった)。

肉食による2型糖尿病リスクの増加幅は、肉をまったく食べない場合に比べて、25g/日未満は+29%、25g以上/日~70g未満/日は+42%、70g以上/日は+65%というものだった。 追跡期間中に 2,772人が2型糖尿病になった。

この研究も American Egg Board(米国の卵の業界団体)の資金提供により行われた。 (The American Journal of Clinical Nutrition

American Egg Board が資金を提供した研究
ブルーベリーで小学生の言語記憶力と注意力が向上した。 7~10才の子供54人を2つのグループに分けて、一方のグループにのみブルーベリー飲料(生のブルーベリー1.5カップに相当する量。アントシアニン253mgを含有)を飲ませ、その2時間語に言語記憶力・注意力・読解力を測るテストを実施したところ、ブルーベリー飲料を飲んだグループで注意力言語記憶力が向上したが、読解力は向上しなかった。 (European Journal of Nutrition

ルテイン(ゼアキサンチン)の摂取量と認知能力の関係。 60才以上の中高年者 2,796人を対象に、過去24時間における食生活に関するアンケート(空白期間を設けて2回実施)と数種類の認知機能テストを実施したところ...

ルテイン(ゼアキサンチン)の摂取量が多いと各テストの成績が良好だった。 例えば、ルテイン/ゼアキサンチンの摂取量が最大のグループは最少のグループに比べて、digit symbol score test のスコアが2.52ポイント高かった。 (Nutritional Neuroscience

ルテインはカロテノイドの一種で、トウモロコシ・ホウレン草・ケール・かぼちゃ・ブロッコリーなどの緑黄色野菜のほか卵の黄身に豊富に含まれている。 キウィやブドウなどの果物にも含まれている。

絶食あるいは絶食効果のある食生活でガン細胞に適さない体内環境に(レビュー) ガン細胞は栄養不足に弱いうえ特定の代謝物に依存している。 絶食あるいは絶食効果のある食生活(FMD)を行うと、成長因子や代謝物の量が大きく変化してガン細胞の適応力や生存力が低下しやすい(体内の)環境となり、ガン治療の効果が増すことが期待される。

さらに絶食やFMDは、正常な細胞の化学療法への抵抗性を増大させたり正常な組織の再生を促進したりする(化学療法の副作用を軽減する)が、ガン細胞に対してはこのような効果を生み出さない。

絶食やFMDの効果を調べる臨床試験が現在複数行われている最中である。 (Nature Reviews Cancer

オメガ3脂肪酸の血中濃度と健康寿命。 平均年齢74才の男女 2,330人を平均9.3年間にわたり追跡した調査で、長鎖オメガ3脂肪酸(EPA・DPA・DHAの合計。魚介類に含まれる)の血中濃度が最高のグループは最低のグループに比べて、「健康的に生きられない(心臓病・ガン・重度の慢性腎疾患などの慢性疾患が生じたり心身に障害が生じたりすることなく生存する)」リスクが18%低いという結果だった。

短鎖オメガ3脂肪酸(αリノレン酸。菜種油やクルミなどに含まれる。摂取後に体内で長鎖オメガ3脂肪酸に変換される)の血中濃度と「健康的に生きられない」リスクとの間には関係が見られなかった。 (*The BMJ*
10月18日(木)

ビタミンDの腸内細菌への影響。 マウスを調べた10の研究とヒトを調べた14の研究の結果をまとめたシステマティック・レビューで、マウスの研究のうち5つにおいて、ビタミンDの摂取量が少なかったりビタミンDを利用できなかったり(遺伝子改造によりビタミンD受容体を備えていない)する個体はバクテロイデス門の細菌が多いという結果だった。

ヒトを調べた研究は主に観察研究だったが、ビタミンDと腸内細菌の種類構成との間の関係が認められたのは2つの研究だけで、その関係にしても2つの研究の間で異なっていた。 (European Journal of Nutrition

バクテロイデス菌が登場する記事
10月17日(水)
食生活の炎症度とガンのリスク(メタ分析) 2017年2月までに発表された10の前向き研究(コホート数は11)のデータに基づくメタ分析で、食事炎症指数(DII)スコアが高い(炎症を促進する食生活を送っている)人はガン(種類は問わない)になるリスクが17%高いという結果だった。 この数字は、乳ガンに限ると4%および大腸ガンに限ると26%だった。 ただし、メタ分析に用いられた研究間の差異(ヘテロジェネイティー)が大きかったため、今回の結果は確定的なものではない。 (Public Health

ビタミンDが不足している肥満者がビタミンDを服用するとウェスト:ヒップ比が改善された。 ビタミンDが不足しているアジア系の肥満者33人(平均年齢30才。67%が男性)を2つのグループに分けて一方のグループにのみビタミンDを16週間にわたり服用させた(初回のみ 2,500μgでその後は毎日100μg)ところ...

ビタミンDを服用したグループはウェスト:ヒップ比と空腹時血糖値が改善された。 肥満度に関する他の指標(たぶんBMIとか体脂肪率とか?)やインスリン感受性に変化は観られなかった。 (The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology

ウェスト:ヒップ比が改善される」とは、ウェスト:ヒップ比が小さくなること。 ウェスト:ヒップ比は、ヒップ・サイズに対してウェスト・サイズが小さいと小さくなる。 つまり、体脂肪全体に占める腹部脂肪の割合が下がったということ。
中年の頃の運動習慣と認知症のリスク。 平均年齢60才の男女1万人超を17年間前後にわたり追跡した調査で、中年の頃に運動習慣が多かった人は、認知機能の低下幅が少なく認知症になるリスクも29%低いという結果だった。 運動習慣と認知機能低下や認知症リスクとの関係は、中年の頃に運動習慣を6年間は続けていたという場合に顕著だった。 (Alzheimer's & Dementia

主要な生活習慣と認知症リスク。 スウェーデンに住む65才以上の男女 28,775人の生活習慣を調べたのち平均12.6年間にわたり認知症の発生状況を追跡調査したところ、追跡期間中に認知症と診断されたのは 3,755人で、食生活の健全度(食生活がメディテラネアン・ダイエットやDASHにどれだけ近いか)・飲酒習慣・コーヒー飲用習慣・身体活動習慣といった主要な生活習慣と認知症になるリスクとの間に関係が見られなかった

認知症リスクとの間に関係が見られたのは喫煙習慣と睡眠時間だけだった。 喫煙習慣喫煙歴がある場合には10%ほどのリスク増加だった。 睡眠時間は9時間/一晩を超える場合にリスクが増加(増加幅は不明)していた。 睡眠時間に関しては、追跡開始から5年めまでに発生した認知症のケースを除外すると認知症リスクとの関係が失われたため、睡眠時間が長いことによって認知症のリスクが増加するのではなく、睡眠時間の長さが認知症の前兆である可能性が高い。 (Journal of Alzheimer's Disease

DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は高血圧を予防することを目的として考案された食事法。 血圧を下げる効果とLDLコレステロールを下げる効果が認められており、心臓や血管などの健康に良いとして推奨されている。 DASHでは、野菜・果物・全粒穀物 ・ナッツ類・豆類を積極的に食べ、赤身肉・糖類・脂質・塩分を控えめに摂る。
10月16日(火)
身体活動量と鬱病になるリスク。 スウェーデンに住む成人男女 25,520人(平均年齢49才。65%が女性)を13年間にわたり追跡した調査で、1週間あたりの身体活動量が300分以上のグループは300分未満のグループに比べて、鬱病(うつびょう)になるリスクが29%低かった。 追跡期間中における鬱病の発生件数は549件だった。 (Preventive Medicine
メタボ対策にはポリフェノール類?(レビュー) メタボリック・シンドロームになるリスクを減らすには生活習慣の改善が有効である。 生活習慣のうち食生活の改善においては、メディテラネアン・ダイエットの採用がメタボリック・シンドロームの各構成要素(腹部脂肪・コレステロール値・血圧など)の改善に有効であるが、メディテラネアン・ダイエットのメタボリック・シンドロームに対する効果の秘訣はオリーブ油・赤ワイン・ナッツ類などの食品が含有するポリフェノール類にあるように思われる。 (Journal of Cellular Physiology
10月15日(月)

生活習慣スコアと乳ガンのリスク。 BMI・身体活動習慣・飲酒習慣・喫煙習慣・TV視聴時間(座って過ごす時間)・一部の食生活(果物・野菜・全粒穀物赤身肉・加工肉の摂取量)から生活習慣スコアを算出し、米国に住む7千人の女性を追跡した調査(追跡期間は不明)のデータにおいて、生活習慣スコアと乳ガンになるリスクや乳ガンで死亡するリスクとの関係を分析したところ...

生活習慣スコアが最高の(生活習慣が理想的である)グループはスコアが最低のグループに比べて、乳ガンになるリスクが24%低く、死亡リスク(死因は問わない)が37%低かった。 乳ガンで死亡するリスクに限ると、生活習慣スコアとの間に関係が見られなかった。

追跡期間中に 1,162人が死亡した。 このうち乳ガンで死亡したのは462人だった。 (Annals of Epidemiology

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コーヒー飲用習慣とメタボリック・シンドロームの関係。 19~64才の韓国人 8,387人を対象に、コーヒー飲用習慣とメタボリック・シンドロームメタボ)の有無との関係を調べる横断調査を行ったところ...

コーヒーを飲む習慣がない人に比べて、コーヒーを毎日3~4回飲む人はメタボであるリスクが25%低かった。

肥満者に限ると、コーヒーを毎日5回以上飲む人はメタボであるリスクが下がるどころか上がる傾向にあった(統計学的な有意性はなかった)。 (British Journal of Nutrition
10月14日(日)
ビタミンDで乳ガンの幹細胞が減った。 ビタミンDはカルシウム・バランスの維持だけでなく細胞の増殖・分化・アポトーシスにとっても重要である。 そこで、ガン幹細胞に対するビタミンD(カルシトリオール)の効果を調べたところ、乳ガン細胞(MCF-7)ではビタミンDにより幹細胞が減少した。 正常な細胞(HEK293)では幹細胞が増加した。 ビタミンDによるガン幹細胞の減少においては、アポトーシス(プログラム細胞死)の果たす役割が大きかった。 (Cellular and Molecular Biology
太腿の筋肉の量に2型糖尿病のリスクが表れる? 平均年齢52才の日系米国人399人を10年間にわたり追跡した調査で、太腿の筋肉の面積が広い(筋肉が多い)人はインスリン抵抗性が生じることが少ないという結果だった。 (Diabetes & Metabolism Journal

白米は太りやすいが玄米なら。 工場で働く日本人437人を調べた調査で、白米をよく食べる人は1年間のうちに体重が3kg以上増えることが多かったが、玄米であればよく食べる人であっても体重が増えやすいということはなかった。 (Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism

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魚・果物・野菜と加齢性黄斑変性のリスク。 オランダに住む55才以上の男女 4,202人を平均9年間ほどにわたり追跡した調査で、魚を週に2回は食べるという人は加齢性黄斑変性(AMD)になるリスクが24%低いという結果だった。 魚(週2回)に加えて、果物(2食分/日)と野菜(200g/日以上)も食べる食生活を送っている場合には、AMDになるリスクが42%も下がっていた。 追跡期間中に754人がAMDと診断された。 (American Journal of Ophthalmology
コーヒー飲用量と認知症のリスク。 8つのコホート研究(2018年10月4日までに発表されたもの。データに含まれる人数は33万人弱、認知症の症例数は 7,486件、追跡期間は4.9~25年間)の結果をまとめたメタ分析で、コーヒー飲用量と認知症リスクとの間に関係が見られないという結果だった。 アルツハイマー病のリスクに限っても同様の結果だった。 ただし、コーヒー飲用と認知症リスクとの関係を調べた研究は質・量ともに不足しているので、今回の結果は確定的なものではない。 (Nutrients
10月13日(土)

コエンザイムQ10が2型糖尿病患者の血糖コントロールに役立つ? 13つのランダム化比較試験(RCT)のデータをまとめたメタ分析(被験者数合計765人。全員が2型糖尿病の患者)で、コエンザイムQ10を服用した場合には服用しない場合よりも空腹時血糖値(WMD: −11.21)とHBA1c値(WMD: −0.29)が低いという結果だった。 ただし、今回のメタ分析にはRCTのデータの量が少ないとか試験期間が短いなどの弱点があるので、今回の結果を鵜呑みにはできない。 (International Journal of Endocrinology

wmd・・・ weighted mean difference(加重平均差)

コエンザイムQ10の血中濃度が上がりやすいのはユビキノンよりユビキノール。 10人の高齢者を被験者とするクロスオーバー試験で、コエンザイムQ10をユビキノンおよびユビキノールという2種類の形態で2週間ずつ毎日200mgを食後に服用させたところ、ユビキノールを飲んだ場合にはコエンザイムQ10(ユビキノンとユビキノールの合計)の血中濃度が増加したが、ユビキノンを飲んだ場合には増加しなかった。 ただし、ユビキノールよりもユビキノンで血中濃度が増加した人もいた(10人中2人)。

ユビキノールを飲んだ場合にもユビキノンを飲んだ場合にも、酸化ストレスの血中マーカーに変化は見られなかった。

ユビキノンが体内で効果を発揮するには、まずユビキノールへと変換される必要がある。 コエンザイムQ10の一般的なサプリメントの成分はユビキノンだが、ユビキノールを成分とする製品もある。 (Food & Function

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体脂肪率と乳ガンのリスク。 2000年1月~2018年3月末までに発表された12の研究(コホート研究とケース・コントロール研究)の結果をまとめたメタ分析で、コホート研究に限り体脂肪率が高いと乳ガンになるリスクも高いという結果だった(体脂肪率が最高の場合は最低の場合に比べて44%のリスク増加)。

閉経前の女性と閉経後の女性とに分けて分析すると、体脂肪率がが高い場合に乳ガンのリスクが増加していたのは閉経後の女性だけだった(体脂肪率が最高の場合は最低の場合に比べて129%のリスク増加)。(Clinical Nutrition

アブストラクトの結論で「閉経後の女性を調べたケース・コントロール研究でのみ体脂肪率と乳ガンのリスクとのあいだに統計学的に有意な関係が見られた」と述べられているので、閉経状態と研究種別の両方でデータを4種類に分けて分析すると閉経後女性を調べたケース・コントロール研究に限り有意な結果だったのでしょう(コホート研究のデータはたぶん、トータルでは有意な結果だったものの閉経前と閉経後に分けるとどちらのデータでも有意性が失われた)。
肉類摂取量が結腸ガンのリスクに及ぼす影響は体質により異なる(レビュー) 赤身肉や加工肉の摂取が結腸ガンのリスクに及ぼす影響は、摂取したタンパク質(食事タンパク質)の代謝に関わる遺伝子のタイプにより異なる。 遺伝子のタイプ的に食事タンパク質の影響を受けやすい人は、赤身肉や加工肉の摂取量が多いと結腸ガンのリスクが増加しやすい。 (Journal of Nutritional Science
10月12日(金)

痛風のリスクは食生活よりも遺伝子的な体質。 欧州系の米国人男女 16,760人を対象に行われた調査で、食生活は尿酸値に影響するものの、その影響は遺伝子の影響に比べてはるかに小さい(痛風のリスク要因に占める割合が遺伝子23.9%に対して食生活は0.3%未満)という結果だった。 尿酸値が高いと痛風のリスクが増加する。

ちなみに、尿酸値が上がる食品はビール・蒸留酒・ワイン・じゃがいも・鶏肉・ソフトドリンク・牛豚羊肉で、尿酸値が下がる食品は卵・ピーナッツ・加熱調理せずに食べるシリアル・スキムミルク・チーズ・全粒パン・マーガリン・非柑橘系の果物だった(棒グラフ)。 (*The BMJ*
10月11日(木)
高齢高血圧患者のTV視聴時間と死亡リスク。 高血圧を抱える高齢者(人数不明)を6年間にわたり追跡した調査で、テレビを観て過ごす時間が長い(「長い」の定義は不明)人は身体活動量にかかわらず死亡リスク(死因は問わない)が65%高かった。 テレビ視聴時間と死亡リスクの関係は女性で顕著だった。 高血圧のほかに糖尿病も抱えている場合には、テレビ視聴時間が長い場合の死亡リスク増加が+254%だった。 (Journal of Aging and Physical Activity

ハーブや香辛料の血圧への効果。 ラ・トローブ大学(オーストラリア)の研究グループが行ったシステマティック・レビューで、ハーブや香辛料の血圧への効果を調べた9つの研究(いずれもランダム化比較試験)に目を通したところ、血圧が高い場合にはハーブや香辛料に血圧を下げる効果が期待できるかもしれないという結果だった。

9つの研究のうち、6つが高血圧前症の患者を被験者とするもの、2つが高血圧患者を被験者とするもの、残りの1つが正常血圧者を被験者とするものだった。 そして、ハーブや香辛料の血圧への効果が認められたのは3つで、そのうちの1つは高血圧患者を被験者とするもの、2つは高血圧前症の患者を被験者とするものだった。 (Journal of Hypertension
大気汚染と口腔がんリスクの関係。 台湾に住む40才以上の男性48万人を対象に行われた調査で、大気汚染物質PM2.5の大気中濃度が最も高い(40.37μg/m3以上)地域に住む男性は最も低い(26.74μg/m3未満)地域に住む男性に比べて、口腔ガンのリスク(オッズ比)が43%高かった。 PM10(PM2.5よりも粒子のサイズが大きい)やSO2(二酸化硫黄)と口腔ガンのリスクとの間には関係が見られなかった。 (Journal of Investigative Medicine
10月10日(水)

野菜・果物の摂取量と高齢者の認知機能やメンタル・ヘルスとの関係。 インド・中国・メキシコ・ロシア・南アフリカ・ガーナに住む高齢者2万8千人のデータを分析した横断研究で、野菜や果物をよく食べる人は認知機能(言葉を記憶したり想起したりする能力や数唱能力)が良好であるという関係が見られた。 認知機能との関係は野菜よりも果物のほうが随分と強かった。

さらに果物に限り、摂取量が多いとメンタル・ヘルス(主観的な生活の質と抑鬱症状の数)が良好であるという関係も見られた。 (Public Health Nutrition

抗酸化物質と寿命延長(レビュー) 先進国では過去100年間のうちに寿命が40才から80才ほどへと大幅に延びている。 福祉の充実だけでなく医薬の発達もこのように寿命が延びた主な理由の1つである。

老化は体の各部が摩耗することで生じるが、この摩耗を引き起こすのは内因的な酸化プロセス(フリー・ラジカル)である。 生体を防御・調節するための免疫系や神経内分泌系が損なわれると、生体が全身的に劣化(老化)し、やがては完全に機能が失われる(死亡する)。 生体には防御メカニズム(抗酸化酵素など)が備わっているが、この防御メカニズムの機能は化学物質による汚染が深刻な現代においては不十分である。 したがって、このメカニズムを何かでサポートしてやる必要がある。

その「何か」とは抗酸化物質である。 ビタミンA・C・Eやレスベラトロールのほかラパマイシン・セレギリン・メトホルミンなどの薬剤は、寿命や健康寿命の向上において重要である。 こうした抗酸化物質を早期から使用することが大切であるように思われる。 (Orvosi Hetilap
塩分摂取量と高血圧と認知症(レビュー) 中年の頃に高血圧であると高齢になってから認知症になりやすいことが知られるほか、最近の研究で塩分摂取量が多いと認知機能が損なわれやすいことが示されているが、塩分は高血圧を介して間接的に認知症リスクを増加させるとは限らず、血管内皮の一酸化窒素を欠乏させることによって直接的にも認知症のリスクを増加させる。 (Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism

緑内障にはフラボノイド? 33の介入試験の結果をまとめたシステマティック・レビューによると、緑内障の患者にフラボノイド類が有益かもしれない。 眼の血流を改善して視野が低下するペースを鈍化させる効果がフラボノイド類に期待される。 (Survey of Ophthalmology

フラボノイドは植物由来のポリフェノールで、果物や野菜など植物性の食品全般に含まれている。 ブルーベリーに含まれることで有名なアントシアニンや、緑茶に含まれることで有名なカテキン、大豆の成分として有名なイソフラボン、タマネギの成分として知られるケルセチンもフラボノイドの一種。
10月9日(火)

ビタミンAの摂り過ぎで骨が弱くなる恐れ。 マウス実験で、ビタミンAを10週間にわたり推奨摂取量(RDA)の4.5~13倍の量で投与したところ、投与開始から8日目で骨の厚みが薄くなり、その後も薄くなり続けた。

この研究はヨーテボリ大学の研究グループによるもので、"Journal of Endocrinology" に掲載された。

過去に行われたマウス実験では、ビタミンAをRDAの13~142倍の量で投与すると1~2週間で骨の厚みが減少し骨折のリスクが増加するという結果になっている。 ビタミンAのサプリメントを服用している人は骨を損傷するリスクが増加するというデータも存在する。 (Medical Xpress

米国NIHによると、ビタミンAの成人のRDAは女性が700μg/日および男性が900μg/日(どちらの数字もレチノール活性当量)。
10月8日(月)

加工食品(漬物を含む)で食道ガンのリスクが増加するのかなあ? 加工食品(漬物を含む)と食道ガンのリスクとの関係を調べ 1964年~2018年4月までに発表された研究のデータ(研究の数やデータの量などの詳細は不明)をまとめて分析したところ、加工食品の摂取量が最少のグループに比べて最大のグループは、食道ガンのリスクが78%高かった。 漬物だけに限ると、この数字は110%だった。

ただし研究タイプ別の分析では、加工食品の摂取量が多い場合に食道ガンのリスクが増加していたのはケース・コントロール研究だけ(加工食品トータルで+93%、漬物に限ると+118%のリスク増加)で、コホート研究では増加していなかった。 (Bulletin du Cancer
10月7日(日)
健康的な食生活と大腸ガンになるリスクの関係。 米国に住む女性 78,012人および男性 46,695人を 1986~1988年から 2012年にかけて追跡した調査で3種類の健康的な食事法(DASH|aMED|AHEI-2010)と大腸ガンになるリスクとの関係を調べたところ、食生活がDASHまたはAMEDに近い男性は大腸ガンのリスクが20%ほど低かった。 女性では健康的な食事法と大腸ガンのリスクとの間にほとんど関係が見られなかった。 追跡期間中に 男女合計で 2,690件の大腸ガンが発生した。 (American Journal of Clinical Nutrition
10月6日(土)
睡眠時間と脳卒中リスクの関係は人種や性別により異なる。 45才以上の黒人または白人 16,733人を平均6.1年間にわたり追跡した調査で:
  • 黒人(男女)は、睡眠時間が短い(6時間未満)と脳卒中になるリスクが51%低下していた(男性に限ると79%のリスク低下)。
  • 白人の男性は、睡眠時間が長い(9時間以上)と脳卒中になるリスクが71%増加していた。
追跡期間中に発生した脳卒中の症例数は460件だった。 (Neurology
身体活動の習慣とアルツハイマー病の進行。 症状が軽~中程度のアルツハイマー病の患者934人(の保護者)を対象に最長で3年間にわたりアンケートを毎年実施した韓国の調査で、中程度の身体活動量(毎週150分以上が目安)を行う習慣がある場合には習慣がない場合に比べて、①アルツハイマー病の進行ペースが遅く、②日常生活に必要な機能の低下ペースが遅く、③異常な行動が少なく、④死亡リスクも低かった。(Journal of Alzheimer's Disease

ビタミンDとアトピー性皮膚炎(システマティック・レビュー) 0~18才の未成年を対象に行われた21の研究(ランダム化比較試験4つ、コホート研究5つ、ケース・コントロール研究6つ、クロス・セクショナル研究6つ)を用いたシステマティック・レビューを行ったところ:

  • ビタミンD血中濃度とアトピー性皮膚炎の症状の程度を調べた研究は16で、この16のうち10の研究(62.5%)で、ビタミンD血中濃度が高いとアトピー性皮膚炎の症状が軽い(そして血中濃度が低いと症状が重い)という関係が見られた。
  • ビタミンDサプリメントのアトピー性皮膚炎への効果を調べた研究は6つで、この6つのうち4つの研究(67%)で、ビタミンDサプリメントにアトピー性皮膚炎の症状を改善する効果が期待できるという結果だった。
Pediatric Dermatology
10月5日(金)
糖類飲料の飲用量と痛風や高尿酸血症のリスク(メタ分析) 2017年8月までに発表された研究のデータを用いたメタ分析で、糖類が添加された清涼飲料水(BBS)の飲用量が多いと痛風(3つのコホート・データおよび5つの症例対照データを分析)や高尿酸血症(高尿酸血症の数字は6つの横断データを分析)のリスクが33~35%増加するという結果だった。 (Critical Reviews in Food Science and Nutrition

アスピリン服用習慣があると肝臓ガンのリスクが低下。 米国に住む中高年男女13万人超(女性4万6千人弱)を26年間超にわたり追跡した調査で、アスピリンを服用する習慣がある(1錠325mgを2錠/週以上服用)場合には習慣がない場合に比べて、肝細胞ガンになるリスクが49%低かった。

服用量が1.5~5錠/週の場合と5錠超/週の場合とで、肝細胞ガンになるリスクにあまり差がなかった(-49%と-51%)。 アスピリン習慣で肝細胞がんリスクが低下するという関係が見られたのは、アスピリンの服用が5年以上続く場合に限られた。 (JAMA Oncology

コーヒーと耳の健康の関係。 19才以上の男女 13,448人を調べた韓国の研究で、40~64才の年齢層に限り、コーヒーを毎日飲む人はめったに飲まない人に比べて難聴(両側性)のリスクが50%低かった。 コーヒーの種類別に分析すると、この関係が見られたのはレギュラー・コーヒーだけだった(缶コーヒーやインスタント・コーヒーでは見られなかった)。

40才未満や65才以上では、コーヒー飲用習慣と難聴の有無の間に関係が見られなかった。 耳鳴りとコーヒー飲用習慣との関係は、年齢層を問わずあまり見られなかった。 (Nutrients
10月4日(木)
肉を食べることが少ない女性は緑内障になりやすい? 北海道に住む40才~89才の男女 1,583人(女性680人)を調べた横断調査で、女性の場合、開放隅角緑内障(OAG)患者(23人)は非OAG患者に比べて獣や鳥の肉を食べる日が少なかった(2.7日/週に対して1.7日/週)。 研究グループによると、肉を食べる量ではなく頻度が女性のOAGリスクに関与している可能性がある。 (Plos One

オゾンの大気中濃度と死亡リスク。 台湾・韓国・日本の17の都市(日本は札幌~福岡にかけての7つの都市)における大気汚染の程度と事故以外での死亡件数(1日あたり)との関係を 1979~2010年のデータを用いて分析したところ、日本と台湾ではオゾンの大気中濃度が高い(40ppb)と死亡リスクも高いという関係が見られた。 (Environmental Research

アントシアニン摂取量と心臓病や脳卒中のリスク(メタ分析) アントシアニン類の摂取量と心血管疾患(心臓病や脳卒中)のリスクとの関係を調べた既存の研究(数は不明)のデータを用いたメタ分析で...

アントシアニン類の摂取量が多い場合には少ない場合に比べて、冠動脈疾患のリスクが9%低く心血管疾患で死亡するリスクが8%低いという結果だった。 冠動脈疾患になるリスクや心血管疾患で死亡するリスクと摂取量との関係が顕著だったのは、アントシアニンやベリー類(ブルーベリーなど)よりもアントシアニジンだった。

アントシアニン類の摂取量と心筋梗塞・脳卒中・心血管疾患になるリスクとの間には関係が見られなかった。 (Critical Reviews in Food Science and Nutrition

アントシアニジンは、イチゴやブルーベリーなどのベリー類・ブドウ(色の濃いもの)・赤キャベツなどに豊富に含まれている。

腎機能と食生活(レビュー) 腎臓は老化により機能が低下する臓器の1つである。 老年性の腎機能低下の原因は複数存在すると考えられるが、その中でも酸化ストレスと炎症が腎臓の構造および機能の変化(劣化)に深く関与すると考えられる。

年を取るにつれて腎機能の主要な指標であるGFRが低下するのが一般的である。 老化の過程において炎症と酸化ストレスが腎機能に悪影響を及ぼすと考えられるが、このような悪影響は食事の内容しだいで軽減が可能かもしれない。 食事は直接的に、または体内に住む細菌が食事から作り出す生産物を介して間接的に、腎機能に影響する可能性がある。

腎臓は老化により構造的にも変化(劣化)するが、食事の内容を工夫することで、猫や犬にこうした変化が生じるのを遅らせたり変化が生じにくくしたりできるかもしれない。 (Biology
最後に「猫や犬」とあって驚かれたでしょうが、それは私も同じです。 人の話かと思って訳し始めたら、最後のほうでペットの話であることが判明したのです。 レビューの著者を確認すると、猫の処方食でお世話にならなかった(食べようとしなかったので他のメーカーのを使ってた)ヒルズ社の研究グループでした。 需要は無いと思いますが労力がもったいないのでアップしておきますね。
10月3日(水)
握力と抑鬱の有無の関係。 中低所得6ヶ国に住む50才以上の男女を調査したWHOのデータを分析したところ、握力が普通のグループでは抑鬱を抱えている人の割合が3.8%だったのに対して、握力が低い(利き手の握力が男性では30kg未満、女性では20kg未満)グループでは8.8%だった。 握力が低いと抑鬱を抱えるリスクが45%増加するという計算になる。 (Journal of Affective Disorders

食事炎症指数と泌尿器ガンのリスク(メタ分析) 2018年7月31日までに発表された12の研究(ケースコントロール研究9つとコホート研究3つ)のデータ(8万3千人超)を用いたメタ分析で、食事炎症指数(DII)のスコアが最高の場合には最低の場合に比べて、前立腺ガンのリスクが62%高いという結果だった(8つの研究に基づく)。

腎臓ガン・膀胱ガン・尿路上皮細胞のリスクを調べた研究は、それぞれ2つ・1つ・1つと少数だったが、(前立腺ガンと同様の分析で)腎臓ガンと膀胱ガンに関してはDIIスコアとの間に統計学的に有意な関係が見られた(それぞれ+46%と+97%のリスク増加)。 (Plos One
食事炎症指数と前立腺ガンのリスク(メタ分析) 2018年2月までに発表された6つの研究(ケースコントロール研究5つとコホート研究1つ)のデータを用いたメタ分析で、食事炎症指数(DII)のスコアが最高の場合には最低の場合に比べて、前立腺ガンのリスクが74%高いという結果だった。 DIIスコアが1ポイント増えるごとに前立腺ガンのリスクが9%増加するという計算になる。 (Nutrition and Cancer
睡眠時間と虚弱のリスクの関係。 米国に住む60才超の男女 3,632人(55%が女性)を対象に行われた横断調査で、睡眠時間が10時間以上と長い場合には7~9時間の場合に比べて、虚弱(フレイル)であるリスクが+186%だった。 (Journal of Aging and Health
10月2日(火)

抑鬱抑制には軽い身体活動? 65~85才を対象に行われた日本の調査(横断調査)で、座って過ごす時間が短かったり軽い身体活動を行うことが多かったりする人には抑鬱が少ないという結果だった。 座って過ごす時間を30分減らすと抑鬱の軽減に効果があるかもしれない。 中程度以上の激しさの身体活動と抑鬱リスクとの間には関係が見られなかった。 (BMJ Open

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ブラウスやスカートのサイズと乳ガンのリスク。 閉経後女性1万8千人弱を平均で16年間近くにわたり追跡調査した英国リーズ大学によるコホート研究で、追跡開始の時点における太り具合の指標や衣服のサイズが1段階増えるごとに、追跡期間中に乳ガンになるリスクが以下のように増加していた。追跡期間中における乳ガンの発生件数は946件だった。 (BMJ Open
  • BMI: +4%
  • ウェストのサイズ: +7% (5cmごとのリスク増加幅)
  • ブラウスのサイズ: +10%
  • スカートのサイズ: +14%
10月1日(月)

肉の代わりに豆類を食べるとアディポネクチンが増加した。 2型糖尿病の患者31人(平均年齢58才。女性24人)を被験者とするランダム化比較試験で、31人を2つのグループに分けて一方のグループにのみ8週間にわたり、週に6回(2食×3日)赤身肉の代わりに豆類を食べさせた(もう一方のグループは豆類とは無縁の生活)ところ...

豆類を食べたグループは食べなかったグループよりもアディポネクチンの血中濃度が高くなった。 レプチンの血中濃度には差が見られなかった。 (Endocrinología, Diabetes y Nutrición

アディポネクチンは脂肪組織で作られるホルモンで、抗炎症作用やインスリンの効果を高める作用がある。 肥満者・2型糖尿病患者・心血管疾患患者ではアディポネクチン血中濃度が低くなることが知られている。 アディポネクチン血中濃度と死亡リスクやガン/認知症になるリスクとの間に関係があるというデータ(良い関係ばかりではない)もある。

漬物の乳酸菌でストレスが解消され頭の働きが良くなる!? 中程度以上の精神的ストレスを抱えている成人103人(平均年齢32才)を2つのグループに分けて、一方のグループにのみ12週間にわたり乳酸菌(プランタルムP8菌。漬物など野菜がらみの食品から検出される)を毎日服用させたところ...

乳酸菌を服用するグループは、4週目以降のストレスや不安感が低減され、12週目にはIFN-γやTNF-αなどの炎症性サイトカインの血中濃度も減っていた。 さらに、記憶力などの認知機能にも向上が見られた。 (Clinical Nutrition
筋力トレーニングで線維筋痛症患者の生活の質が向上。 非ランダム化比較試験において、線維筋痛症の女性患者49人(平均年齢51才)を2つのグループに分けて一方のグループにのみ筋力トレーニング(60分×3回/週)を4週間(計12回)にわたり行わせたところ、筋力トレーニングを行ったグループでのみ4週間後に生活の質(QOL)・抑鬱・不安感が改善された。 (PM&R