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医療・健康 3行半ニュース(2017年8月)

8月31日(木)

子供を母乳で育てた母親は子宮内膜症のリスクが低い。 7万人超の米国人女性を20年間にわたり追跡調査したところ、母乳育児を行う期間が3ヶ月増えるごとに子宮内膜症になるリスクが8%(完全に母乳のみで育児をした場合には14%)下がっていた。

さらに、複数の子供を育てるなどで一生のうちに母乳育児をする期間が3~36ヶ月となる場合にも、母乳育児の期間が1ヶ月未満の場合に比べて子宮内膜症のリスクが13~40%(母乳育児の期間が長くなるほど低下幅が大きい)低下していた。 完全母乳育児の場合には3~18ヶ月の授乳期間で23~27%のリスク低下だった。("*The BMJ*"
8月30日(水)

オリーブオイル&チョコレートに動脈硬化の進行を抑える効果。 心血管疾患のリスク要因(喫煙習慣・高血圧・家族歴・脂質異常症)を3つ以上抱えている男女26人(男性14人)に、エクストラバージン・オリーブオイルを10%含有するチョコレート40gとリンゴを2.5%含有するチョコレート40gを、それぞれ2週間ずつ食べてもらったところ、エクストラバージン・オリーブオイルを含有するチョコレートを食べたときに動脈硬化の進行の程度を示すバロメーター(コレステロール値・血圧・血中EPC値)が改善された。

研究者によると、オリーブオイルの成分であるポリフェノール類が有効に作用したのだと考えられる。 EPCとは内皮前駆細胞のことで、血管の修復や血管内皮機能の維持に不可欠。 (ESC Congress 2017
8月29日(火)
運動習慣で喘息発作の頻度が減る。 20~27才の喘息患者162人を調査した研究で、1週間あたりの運動時間が1時間増えるごとに喘息発作が生じる頻度のスコア(12点満点)が0.09点改善されるという結果だった。 運動の喘息への効果は軽度の肥満の人で顕著だった。 ("Journal of Asthma"

看護婦と女教師は乳腺密度が高い傾向にある。 スペインに住む45~68才の女性 1,476人を対象とする調査で、中学校の教師と看護婦は乳腺密度が高い傾向にあった(統計学的な有意性は微妙)。 逆に、主婦や介護業に従事する女性は乳腺密度が低い傾向にあった。 中学校の教師は、勤務年数が5年増えるごとに乳腺密度が高くなっていた。 ("Environmental Research" 誌に掲載予定)

乳腺密度とは乳房内の脂肪組織に対する結合組織と腺組織の割合のことで、脂肪組織が多いほど乳腺密度は低くなる。 乳腺密度が高い人は乳ガンになりやすい(リスクが4~6倍に増加)ことが知られている。
8月28日(月)
菜食主義に糖尿病を予防する効果? 菜食主義と糖尿病のリスクとの関係を調べた14の研究(2つがコホート研究で12がケース・コントロール研究。 2016年5月までに発表されたもの)のデータを分析したところ、ベジタリアンは普通の食生活を送る人に比べて糖尿病のリスクが27%低かった。("Nutrients"

えんとつ掃除屋さんは実在した。 「チムチムニー チムチムニー チムチムッチェリー おいらは煙突掃除屋さん」というフレーズでお馴染みの煙突掃除屋さんだが、このほど「煙突掃除屋さん」という仕事の実在が確認された。 煙突掃除屋さんを調査対象とするスペインの研究が "Scientific Reports" に掲載されたのだ。

この研究によると、一般家庭の煙突掃除という業務も減りつつはあるものの未だに残っている。 このことから、少なくともスペインにおいては煙突を備えた一般家庭が実在すると考えられる。
左側のグラフの "Soot sweeping (homes)" が一般家庭の煙突掃除という仕事の量の推移
参考までにこの研究では、煙突掃除屋さん151人と他の職業の152人の多環芳香族炭化水素(PAH)の代謝物の尿中濃度などを比較し、えんとつ掃除屋さんは他の職業の人に比べてPAH代謝物の尿中濃度が7倍だという結果になった。 煙突掃除で煤(すす)にさらされるのが原因だと考えられる。 PAHは、発ガン性があるほか心血管疾患のリスク要因ともなる。
8月27日(日)

モーモーと鳴くあの動物に肺ガン予防の効果? 乳を搾ると効果大!? フランスに住み農業に従事している(または過去に従事していた)17万人のデータを分析したところ、喫煙習慣を考慮しても、40年以上にわたり牛と接触のあった人は肺ガン(特に腺ガン)になるリスクが40%低かった。 馬と接触のあった人でもリスクが36%低かったが、統計学的な有意性に問題があった。 鶏や豚との接触と肺ガンになるリスクとの間には関係が見られなかった。

牛と接触のあった人の中でも肺ガンのリスク低下が顕著だったのは、牛の乳を絞っていた人や幼少期から牛と触れ合って過ごしていた人だった。 ("American Journal of Epidemiology"
8月25日(金)

ゲーム作成ツールによるゲーム作成が認知機能の維持に効果。 60才以上の中高齢者46人を被験者として行われた試験で、ゲーム作成ツールを用いて9ヶ月間にわたりPCゲームの作成に従事したグループは、何もしなかったグループやゲームで遊んだグループよりも認知機能が優れていた。 PCゲーム作りでは創造性と論理性が要求されるため、それが頭を刺激してくれるのかもしれない。(Agência FAPESP

日本で流通しているPCゲーム作成ツールとしては「RPGツクール」シリーズが有名だが、それ以外にも「Wolf RPGエディター」と呼ばれる無料のRPG作成ツールがある。 このツールで作成された作品はフリーゲームとして公開されていて、コンテストも行われている。 レベルの高い作品(例:片道勇者)は市販ゲームにも負けないほど面白いが、ちゃんと遊べるゲームを作るだけでもそれなりの覚悟が必要。

欲求は我慢するのではなく十分に把握すれば自ずと衰えることも。 お酒好きの男女68人を2つのグループに分けて、一方のグループにのみ1日15分間マインドフルネス瞑想法を7日間にわたり行わせたところ、翌週には飲酒量が減っていた。

マインドフルネス節酒法では、飲酒を我慢しようとするのではなく感覚を研ぎ澄ませて自分の体が飲酒を望む声に耳を傾ける。 そうすることによって、飲酒欲というものが肉体の真なる必要性から生じているのではない無視しても一向に構わない欲求であることに気付く。("International Journal of Neuropsychopharmacology"
8月24日(木)
身体活動が前立腺ガンのリスクに及ぼす影響に人種差? 308人の男性(53%が白人、47%が黒人)を調査した研究で、白人は身体活動量が多いと前立腺ガンのリスクが10%低いが、黒人では身体活動量と前立腺ガンのリスクとのあいだに関係が見られないという結果だった。過去の研究にも同様の結果となったものがある。("Journal of Clinical Oncology"

砂糖の使われた清涼飲料水で満腹感のホルモンに反応しない体になる恐れ。 ネズミの実験で食生活に砂糖水という選択肢を提供したところ、ネズミたちは砂糖水ばかりを好んで飲むようになり、メスは25日目、オスは31日目に満腹感のホルモンであるレプチンに反応しない恥ずかしい体になってしまった。 レプチンが効かないとカロリーを摂取しても食欲が収まらず、食べ過ぎで太ってしまう。

幸いにも、砂糖水を絶たせて2日が経過するとオスもメスも再びレプチンに反応するようになった。 研究者によると、砂糖水は砂糖が使われた食べ物と違って砂糖しか入っていないので、レプチンに反応しない体質になりやすい。

レプチンは白色脂肪から分泌されるホルモンなので脂肪が多いほど分泌量が多いが、あまりにも分泌量が多いと脳はレプチンのシグナルを無視するようになる。(Augusta University
8月22日(火)
(メタ分析) 運動に乳ガン患者のIGF血中濃度を改善する効果。 乳ガン患者の女性において運動がIGF-1・IGF-2・IGFBP-3という乳ガンのリスクや予後に影響する3種類のタンパク質の血中濃度に及ぼす影響を調べた6つの研究(ランダム化比較試験)のデータ(被験者数は合計321人)を用いたメタ分析で、IGF-1・IGF-2・IGFBP-3の血中濃度のいずれもが運動により低下する(改善される)という結果になった。 IGF-1・IGF-2・IGFBP-3は、ガン細胞の増殖やアポトーシス(細胞死)などに関与している。 ("Journal of Clinical Oncology"
8月21日(月)

食生活が酸性に傾いている人は太っていることが多い。 20才以上の日本人男女 15,618人の食生活のデータから食生活の酸性度の指標であるPRAL(potential renal acid load)およびNEAP(net endogenous acid production)のスコアを算出し、太り具合(BMIとウェスト・サイズ)などとの関係を調べたところ、男女ともに食生活が酸性に傾いていると太っていることが多かった。 ただし、食生活の酸性度と太り具合の関係は強いものではなかった。 食生活が酸性に傾いている人は血圧も高い傾向にあった。 ("Nutrition Research"

PRALは、食品の酸性かアルカリ性かを示す尺度。 PRALでは、果物と野菜がアルカリ性食品に分類され、肉や魚などの動物性たんぱく質と穀類、それに塩分が添加された加工食品が酸性食品に分類される。 NEAPは個々の食品ではなく食生活全体の酸性度の指標。 NEAPの算出法(どの栄養素を計算に入れるか)は研究者により異なるが、Frassetto et al.の提唱する算出法の場合、1日の食事中に含まれるタンパク質とカリウムの量から食生活の酸性度を算出する。 タンパク質摂取量が多いほどスコアが高く(食生活が酸性に)なり、カリウム摂取量が多いほどスコアが低く(食生活がアルカリ性に)なる。 カリウムは野菜や果物に豊富に含まれている。
8月19日(土)
ガン治療における運動の効果を医師は患者よりも高く評価している。 Gundersen Health System という米国の医療機関で行われた調査で、ガン治療において運動が果たす役割に関して医師と患者の認識が異なることが明らかになった。 患者が「運動は精神衛生にしか効果が無い」と考えているのに対して、医師は「各種のガンにおいて再発率の低減に運動が有効である」と考えていた。 また、患者は「医師に運動方針を指示してもらいたい」と考えていたが、医師は「ガン患者の運動方針は運動療法の専門家に任せるほうが有益である」と考えていた。 ("Journal of Clinical Oncology"

植物性エストロゲンの摂取量と前立腺ガンの関係。 前立腺ガン患者118人と前立腺ガンではない222人の食生活を調査したところ、植物性エストロゲンの一種であるリグナンの摂取量が多いと前立腺ガンのリスクが高いという結果になった。 リグナン(ピノレシノールや、ラリシレシノール、マタイレシノール、セコイソラリシレシノール)の摂取量が最大のグループは最少のグループに比べて、前立腺ガンのリスクが4.7倍だった。 リグナンはゴマやアカゴマ(亜麻仁)に多く含有されており、ゴマにはピノレシノールが、アカゴマにはセコイソラリシレシノールが大量に含まれている。

逆に、リグナンと同様に植物性エストロゲンであるとされるイソフラボンの摂取量が多いと前立腺ガンのリスクが低く、イソフラボン摂取量に応じて4つのグループに分けた中でイソフラボン摂取量が2番目に多いグループは摂取量が最少のグループに比べて72%のリスク低下だった。("The Aging Male"
8月18日(金)

エネルギー密度が高い食生活でガンのリスクが増加。 50~79才の閉経後の女性9万2千人を対象に、食生活に関するアンケート調査を実施してエネルギー密度(ED)を割り出したのち肥満が関与するガンになるリスクを追跡調査したところ、EDが最も高いグループは最も低いグループに比べて太っていることが多く、肥満が関与するガンになるリスクが10%高かった。 肥満度別に分析すると、肥満が関与するガンになるリスクが増加していたのは調査開始の時点で太っていなかった女性だけであるように見受けられた。 ("Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics"

EDとは、食品1gあたりに含まれるカロリー(kcal)のこと。 脂肪分が少ない食品や野菜や果物のように食物繊維を多量に含んでいる食品はEDが低くなる。
8月17日(木)
体を動かす習慣がある人は幸せであることが多い。 419人の健康な成人のデータを用いて身体活動習慣と幸福度(生活上の不安がなく自分が思うように生活をのびのびと楽しめているかどうか)の関係を調べたところ、軽度~中程度の身体活動を行う習慣がある人は幸せであることが多かった。 逆に、座って過ごす時間が長い人は幸せであることが少なく抑鬱が生じていることも多かった。 ("Journal of Health Psychology"
8月15日(火)

戦後生まれの人は謎の理由により膝関節炎のリスクが2倍。 米国で第二次世界大戦より前(1800年代~1900年代初期)に生きた 1,581人の遺骨、戦後(1900年代後半~2000年代初期)に生きた819人の遺骨、および有史以前(紀元前300年前~6千年前)の遺骨の膝関節炎(変形性ひざ関節症)の有病率を調べたところ、戦前の遺骨では6%そして有史以前の遺骨では8%だった有病率が、戦後の遺骨では16%だった。

膝関節炎のリスク要因である年齢やBMIなどを考慮しても、戦後に生きた人は膝関節炎のリスクが2.1倍という計算になる。 したがって、戦後に寿命が伸びたとか肥満率が増えたというだけでは、膝関節炎のリスクが増加した説明にはならない。 米国では1950年代以降に生じた何らかの理由によって膝関節炎のリスクが大きく増加しているのだと考えられる。 ("PNAS"
8月14日(月)
ビジネス・メールで絵文字を使うと「有能でない」と思われる。 仕事関係の電子メールを面識のない人に送信する際に絵文字の笑顔( )を使用するか使用しないかで比較したところ、絵文字の笑顔を使用しても本物の笑顔と違って温かみが伝わらなかったばかりか、使用者の有能さが疑われて必要な情報を共有してもらえないという悲惨な結果となった。 研究者は「少なくとも面識がない人に送るビジネス・メールでは絵文字の使用を避けるのが良い」と述べている。 ("Social Psychological and Personality Science "
8月13日(日)
野菜と果物の健康上のメリットは残留農薬のデメリットを上回る。 カナダのケベック州に住む1~79才の男女 4,727人のデータを用いて、野菜や果物の健康への有益性と野菜や果物に残留している農薬が健康に及ぼす有害性(ガンのリスク増加など)とを比較した結果、野菜や果物の有益性が残留農薬の有害性を大きく上回った。 ただし残留農薬の有害性も看過できる水準ではないため、残留農薬を減らす工夫が求められる。 ("Environment International"
8月12日(土)

母親の食生活が、産まれる子供の運動量に影響する? げっ歯類のメスに欧米型の食生活(赤身肉などの肉類・高脂肪の乳製品・グリセミック指数が高い糖質を中心とする食生活)に該当するエサを与え、産まれた子供が自発的に行う運動の量を調べたところ、オスの子供は未成年のときと成年後とで運動量に差がなかったのに対して、メスの子供は未成年のときには運動量が水準よりも多かったものの成年後には運動量が水準以下にまで減少した。 メスの子供の運動量と脳のドーパミン受容体やレプチン受容体の活性とのあいだに関係が見られた。

欧米型の食生活の運動量や太りっぷりへの影響が孫の代には見られなかったことから、欧米型のエサが産まれる子供に及ぼす影響には子宮内における体細胞の再プログラム化が関与している可能性がある。 ("FASEB Journal"
8月11日(金)
コーヒー的に大人の階段を登ろうとするとき、砂糖を入れる量を徐々に減らすのは下策。 コーヒーを飲むときには砂糖を入れるという被験者たちを、砂糖抜きのコーヒーに何度も挑戦してみるグループ、コーヒーに入れる砂糖の量を徐々に減らしてゆくグループ、コーヒーをマインドフルに飲む(具体的にどうしたかは不明。味わって飲んだ?)ことで砂糖を入れずに済むようにするグループに分けて、砂糖を入れずに飲むコーヒーの量を半年間にわたり調べたところ、いずれのグループでも砂糖抜きで飲むコーヒーの量が増えたが、砂糖抜きで飲むコーヒーの量が最も増えたのはグループ③だった。 グループ②は砂糖抜きのコーヒーを好まず、3つのグループの中で最も砂糖抜きで飲むコーヒーの量が少なかった。 ("Journal of Health Psychology"
8月10日(木)

精神的ストレスでピロリ菌が活発になる? 消化不良の患者40人を調査したところ、精神的なストレスが強い患者のほうがピロリ菌(Helicobacter pylori)が活発に活動しているように見受けられた。 ピロリ菌が胃粘膜の下にまで侵入している患者の数が、ストレスが無いグループでは7/20人だったのに対して、ストレスがあるグループでは11/20人だったのだ。 ("Acta Medica Indonesiana"

豆知識: 人類の約半分がピロリ菌に感染していると推算されている(ピロリ菌感染の症状が出るのは20%程度)。 ピロリ菌は感染者の一部において胃ガンや胃潰瘍の原因となる。 ピロリ菌に感染していると口臭が生じやすい。 ピロリ菌は、体重増加の抑制に一役買っている可能性がある。
8月9日(水)
トリプトファンとロイテリ菌の組み合わせがIBDの緩和に有効? 乳酸菌の一種であるロイテリ菌(Lactobacillus reuteri)とアミノ酸の一種であるトリプトファンの組み合わせにより、腸の炎症が緩和されて炎症性腸疾患(IBD)の症状(腹痛や下痢など)が軽減されるかもしれない。 この研究ではマウス実験を行った。 トリプトファンは豚肉・鶏肉・牛肉などに含まれている。("Science"
世界各国におけるトランス脂肪酸の摂取量
1日のカロリー摂取量にトランス脂肪酸が占める割合。 グラフの白い部分が人工のトランス脂肪酸。 黒い部分は肉や乳製品の脂肪分に含まれる天然のトランス脂肪酸。 斜線の部分はトランス脂肪酸の種類が不明なデータに基づく。 日本のグラフは中央のあたり。
トランス脂肪酸摂取量の推移。 日本のグラフは真ん中の列の右から2番め。 1987年よりも 2005年のほうが摂取量が多い。 1987年のグラフは 1,145人分のデータ、2005年のグラフは225人分のデータに基づく。
上の2つのグラフは"Nutrients" 誌に掲載されたシステマティック・レビューのもの(クリックで画像を拡できる)。 レビューに使われた日本のデータは、"Journal of Human Hypertension" に発表された研究と "Journal of Epidemiology"(PDFファイル)に発表された研究のもの。 2015年にドイツのハイデルベルク大学が発表した研究によると、天然のトランス脂肪酸はむしろ有益である可能性もある。
8月3日(木)
有酸素運動に脳神経の喪失を抑制する効果。 ランダム化比較試験において65~85才の高齢者53人を2つのグループに分けて、一方のグループにのみ有酸素運動(エアロバイクで30分間の運動を週に3回)を行う習慣を3ヶ月間にわたり続けてもらったところ、運動をしなかったグループでは脳中のコリンの濃度が増加していたが、運動をしたグループでは増加していなかった。 コリンは、アルツハイマー病などが原因で脳の神経細胞が失われると増加することがある。 この結果から、有酸素運動に脳神経を保護する効果が期待できる。("Translational Psychiatry"

医師が患者の死期を見積もる能力は74.8%。 特定の患者が7日間~1年(大部分は半年~1年)のうちに死亡するかどうかを医師がどの程度の割合で正しく判断できるかを調べた22の研究のデータを分析したところ、研究によって結果にバラつきはあったものの、22の研究のトータルでは医師が患者の死期を正しく判定できる率は74.8%だった。 予測対象となる期間が短くても(7日間~半年)正しく判定できる率は下がっていなかった。

医師が患者の死期を測定する能力は、「Surprise Question(驚くか否かの質問)」という質問により調査される。 Surprise Question では「この患者が仮に今後XXヶ月以内に死亡したとすれば、あなたは驚きますか?」と医師に尋ねる。 医師が患者の死期を判断する能力は、緩和ケアにおいて重要となる。("BMC Medicine "
コーヒーや緑茶を飲む習慣は悪性リンパ腫と多発性骨髄腫のリスクに影響しない。 40~69才の日本人男女9万6千人弱を対象に、コーヒーや緑茶の飲用習慣に関するアンケート調査を行ったのち平均18年間にわたり悪性リンパ腫と多発性骨髄腫を追跡調査した結果、コーヒーや緑茶の飲用習慣と悪性リンパ腫や多発性骨髄腫になるリスクとの間に関係が見られなかった。("Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention"
インスリン抵抗性が高くてグリセミック負荷が高い食生活をしている人は認知機能が低い。 認知機能が正常な55才以上(平均年齢66才)の男女194人の食生活やHOMA-IR値(インスリン抵抗性の指標)などを調査した横断研究で、インスリン抵抗性が高い(血糖値をコントロールする能力が低い)人に限り、グリセミック負荷が大きい食生活をしていると認知機能が(正常な範囲ではあるけれど)低いという関係が見られた。("Clinical Nutrition"
8月2日(水)
ジカ・ウイルスは唾液経由では感染しない模様。 ジカ・ウイルスに感染したサルの唾液を健康なサルの眼・扁桃・鼻腔に塗りつけても、健康なサルはジカ・ウイルスに感染しなかった。 したがってキスでジカ・ウイルスに感染する可能性も低い。 唾液にジカ・ウイルスの感染力を低下させる作用があるのかもしれない。 ("Nature Communications"
自分で選んだ曲は喜ばしい。 クラッシックにはリラックス効果。 健康な被験者94人に、クラッシックの曲・ジャズの曲・自分で選んだ曲という3種類の曲のほか雑音(ホワイト・ノイズ)を聞かせて感想を尋ねたり心拍や呼吸を測定したところ、自分で選んだ曲が最も喜ばれ、クラッシックの曲が最もリラックス効果が高かった。 ("International Journal of Psychophysiology"

幸福感が少ない人は海馬が小さい。 724人の双子や兄弟を調べた研究で、幸福感が少ない人は海馬が小さいという関係が確認された。 海馬のサイズが普通の人と大きい人とでは幸福感に差がなかった。 ストレスなどの後天的な要因が幸福感と海馬サイズの両方に悪影響を及ぼしている可能性が考えられる。 ("Scientific Reports"

海馬は記憶・思考・感情の制御などに関与する脳の領域で、少なくとも高齢者においてはサイズが大きいほうが良いとされる(今回の研究で調査対象となったのは子供~青年)。
地中海地方の伝統な食生活に認知症予防の効果? ギリシャに住む平均年齢73才の男女 1,865人(このうち認知症患者は90人、軽度認知障害患者は223人)を調査した横断研究で、普段の食生活がメディテラネアン・ダイエット(地中海地方の伝統な食生活)に最も近いグループは最も遠いグループに比べて、認知症のリスクが55%低かった。 食生活がメディテラネアン・ダイエットに近い人は、記憶力などの認知機能が良好であることも多かった。 認知症リスク低下との関係が強かったのは魚で、認知機能の良好さと関係が強かったのは全粒穀物だった。("Plos One"
加齢による認知機能の低下に影響するのは年を取ってからの身体活動量? 646人を30年間にわたり調査したところ、中年の頃の身体活動量(余暇に行う運動を含む)に関しては認知症になるリスクや認知機能の良し悪しとの間には関係が見られなかったが、年を取ってからの身体活動量に関しては量が多いと認知機能が良好であることが多かった。("Journal of Alzheimer's Disease"