HPVは咽頭ガンのリスク要因

HPVとガン

米国疾病対策予防センター(CDC)によると、HPV(ヒト・パピローマ ウイルス)は非常に一般的なウイルスで大半の人が一度は感染しますが免疫系により排除されます。

HPVは100種類以上存在しますが、ガンの原因となることが多いのはHPV-16とHPV-18の2種類です。 特にHPV-16は、子宮頸ガンの60%・肛門ガンの80%・口腔ガンの60%の原因となります。

既存のHPVワクチンが口腔のHPV感染やガンに対しても有効である可能性もありますが、HPVワクチンを口腔に使用するには、現時点ではデータが不足しています。

咽頭ガン患者の1/3がHPVに感染

(2013年7月) "Journal of Clinical Oncology" に掲載されたオックスフォード大学の研究によると、喉のガンにかかる人の1/3がHPVに感染している可能性があります。

研究の方法

中咽頭ガン(軟口蓋・舌根・扁桃腺など咽頭のうち口腔の後方の部分である中咽頭に発生するガン)の患者135人とガンでない人 1,599人の血液を検査し、その結果を比較しました。

結果

中咽頭ガン患者の35%がHPVのE6と呼ばれるタンパク質に対する抗体持っていたのに対して、ガンでない人では僅かに1%でのみ抗体が見られました。

解説

E6は人体が有するガン抑制機能の一部を破壊する作用を持つタンパク質であることから、E6に対する抗体が血中に存在するということは、HPVが人体のガン抑制機能を打ち壊し細胞のガン化を誘発しているのだと考えられます。

HPVが原因で喉のガンになった患者は飲酒や喫煙を原因とする患者よりも喉のガンによる死亡率が低く、ガンと診断された後の生存率がE6に対する抗体を持っていた(つまり、HPVが原因で喉のガンになったと考えられる)患者では84%だったのに対して、この抗体を持っていない(飲酒や喫煙などHPV以外が原因で喉のガンになった)患者では58%でした。

北京大学の研究

"The Journal of Infectious Diseases"(2012年12月)に掲載された北京大学のレビューでも、HPVにより咽頭のガンのリスクが5倍に増加する可能性が示唆されています。

研究の概要

過去20年の間に行われた55の研究の結果を分析したところ、咽頭ガンの患者の28%のガン細胞でHPVが陽性でした。

ただし、分析対象となった研究によって数字のバラつきが大きく、HPV陽性のガン患者の数がゼロであった研究もあれば、ガン患者の79%でHPVが陽性であった研究もありました。

レビューの一環としてさらに、(喉の)ガン組織と非ガン組織を比較した12の研究(患者数合計638人)をのデータも分析したところ、ガン組織ではHPV検査で陽性となる率が非ガン組織の5.4倍になっていました。

コメント
この研究に参加しなかったフロリダ大学の研究者は、次のような意見です:
  • HPVは頭・首・喉の扁平上皮ガンとの関係が疑われているが、咽頭ガンのリスク要因として目立っているのは喫煙と大量の飲酒であって、HPVによる咽頭ガンのリスクは比較的大したことがないのではないか。
  • 頭や首のガンで言えば、HPVが原因となるのは咽頭ガンよりもむしろ、扁桃腺や下の裏側のガンではないか。 また、こういうガンでもHPVに感染してからガンになるまでは数十年はかかる。