(2018年1月) "Journal of the American Geriatrics Society" に掲載されたユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの研究で、歯や歯周の健康に問題がある高齢の男性は虚弱のリスクが高いという結果になりました。
研究の方法
英国に住む71~92才の男性 1,622人を対象に、歯の残り本数と歯周病の有無を検査したほか、口腔内の健康状態に関するアンケート調査(*)を実施して、口腔の健康状態と虚弱のリスクの関係を調べました。
(*) 口腔の健康状態全般・ドライマウスの症状・熱さ/冷たさ/甘さへの過敏・食事困難などについて尋ねた。
虚弱の定義
以下の5項目のうち3つ以上に該当する場合を「虚弱」とみなしました。- 体重が減っている。
- 疲労感がある。
- 握力が弱い。
- 歩行速度が遅い。
- 身体活動量が少ない。
データの分析においては、年齢・喫煙習慣・社会的な階級・心臓病/脳卒中/糖尿病の病歴・副作用としてドライマウスが生じかねない薬の服用といった要因を考慮しました。
結果
横断データの分析
調査開始の時点で19%(303人)の男性が虚弱でした。 虚弱の男性は以下のいずれかに該当しがちでした:- 歯が全くない。
- 自己評価による口腔の健康状態が良くない。
- ドライマウスである。
- 口腔内に生じている問題が多い(*)。
(*) 次の4項目のうちの3つ以上に該当する: ①歯の残り本数が21本未満である、②食事が困難である、③ドライマウスである、④熱さ/冷たさ/甘さに過敏である。
追跡データの分析
さらに、1,284人をその後3年間にわたり追跡調査したところ107人が虚弱になりました。 そして、この3年間のデータを分析すると、次の場合に虚弱のリスクが増加していました:- 残っている歯が1本もない(虚弱のリスクが1.9倍)
- ドライマウスの症状が3つ以上ある(虚弱のリスクが2.0倍)
- 口腔内の健康問題を1つ抱えている(虚弱のリスクが2.3倍)
- 口腔内の健康問題を2つ抱えている(虚弱のリスクが2.3倍)
- 口腔内の健康問題を3つ以上抱えている(虚弱のリスクが2.7倍)