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オレンジジュースのガン予防効果

(2013年8月) "Nutrition and Cancer" 誌に掲載されたレビュー(過去の複数の研究の調査)で、オレンジジュースによるガン予防の効果がまとめられています。

オレンジの抗ガン成分

オレンジジュースにはビタミンCと葉酸という抗酸化物質が豊富に含まれています。 ビタミンCには、口腔・食道・膵(すい)臓・直腸のガンを予防する作用があります。 葉酸もDNAの合成・修復・メチル化に関与しているためガンを予防するうえで重要な栄養素です。 オレンジジュースにはフラボノイド類も含まれており、これにもガン予防効果があります。

オレンジジュースとオレンジの違い; オレンジジュースの種類

このレビューはオレンジの果実ではなくオレンジジュースに関するものですが、オレンジジュースの有効成分は加熱殺菌や保存によって失われます。 したがって、オレンジの果肉は今回のレビューの対象となってはいませんが、果肉にもオレンジジュース以上の抗ガン効果があるのではないかと思います。

また、レビューに出てくる研究の中には、絞りたてのオレンジジュースを用いた研究もありますが、それ以外の研究については、加熱殺菌しただけのオレンジジュースを用いたのか、濃縮還元のオレンジジュースを用いたのかは不明です。

ヒトの試験

ヒトを対象に行われた試験では、オレンジジュースの飲用は皮膚ガンに有効ではないという結果になっています。 オレンジジュースが有棘細胞癌(皮膚ガンの一種)のリスク減少に有効ではないという結果になった研究と、メラノーマ(悪性の皮膚ガン)のリスクが増加するという結果になった研究があります。 つまり、オレンジジュースは皮膚ガンに対して効果が無いかリスク要因になるかのどちらかでしかないわけです。

オレンジジュースの飲用によって皮膚ガンのリスクが増加するのは、はソラレン(光によって活性化する物質)などのフロクマリンが原因ではないかと考えられます。 柑橘系の果汁は日光による火傷の原因になるので、皮膚に塗ったりしないようにしましょう。

一方、子供の白血病については、オレンジジュースの飲用でリスクが減る可能性があります。 生後2年間のうちにオレンジジュースを日常的に飲んでいた子供では、2~14才の間に白血病になるリスクが46%減少するという結果になった研究があります。

動物実験

げっ歯類を用いた実験では、オレンジジュースに乳ガン・肝臓ガン・結腸ガンを予防する効果のあることが示されています。

雌のげっ歯類を用いた実験で、濃度を2倍にしたオレンジジュース 108.5 ml を15週間にわたって投与したところ、腫瘍の発生が遅れたり、(発生済みの)腫瘍が小さくなったりしました。 この効果は、オレンジの成分であるヘスペレチン(フラボノイドの一種)と他の化合物との合成的な作用によるものだと思われます。

また、雄のげっ歯類に肝臓ガンの発ガン性を有する化学物質を投与した実験からは、オレンジジュースに肝臓ガンの発生と進行を抑える効果があると考えられます。

雄のげっ歯類に結腸ガンの発ガン性を有する化学物質を投与した実験では、飲み水の代わりに低温殺菌のオレンジジュースを与えたグループで、腫瘍が小さくなる傾向が強く見られました。

げっ歯類は大体においては生物学的にヒトと同じですが、げっ歯類はヒトと違って体内でビタミンCを合成できるため、げっ歯類の実験の結果をそのままヒトに適用することはできません。

オレンジジュースのガン予防効果
オレンジジュースのガン予防効果は、オレンジジュースの成分に備わる抗酸化作用・抗遺伝毒性作用・抗炎症作用などに由来すると思われます。
  • 抗酸化作用

    オレンジジュースの抗酸化作用を調べた研究は多くありますが、大部分が生体外実験(動物やヒトなどの生き物が関与しない実験)です。 これらの生体外実験ではいずれも、オレンジジュースに抗酸化能力のあることが示されています。この抗酸化能力は主に、オレンジジュースに大量に含まれるフラボノイド類によるもののようです。

    オレンジジュースが有する抗酸化能力は、(殺菌のための)熱処理の温度や、保管時の気温、保管期間による影響を受けます。 20℃以上の気温で保管したり、製造から4ヶ月以上が経過すると、植物性化学物質(フラボノイドなど)が変質するために、抗酸化成分(特にビタミンC)が減ってしまいます。 また、甘味料を添加されたオレンジジュースでは、抗酸化能力がほとんど失われてしまうようです。

    健康な人たちにオレンジジュースを2週間にわたって毎日飲んでもらうという実験では、オレンジジュースによって脂質過酸化が減少することが確認されました。 さらに、600ml以上を毎日飲んだ人では、脂質過酸化だけでなく DNA の酸化も減少しました。
  • 抗変異原性と抗遺伝毒性

    オレンジジュースには、様々な物質による変異原性を緩和する効果があります。 例えば、オレンジジュースを21日間にわたって毎日600ml飲むという実験では、オレンジジュースによって過酸化水素(H2O2)による DNA の損傷に対する抵抗力が増加するという結果になりました。

    マウス実験でも、ヒトでいえば600mlに相当する量のオレンジジュースを摂取させることで、アルキル化剤(ガン治療に用いられる薬物の一種。細胞のDNAを阻害し、ガン細胞の成長を抑制する)や、鉄、銅による遺伝毒性が40~70%緩和されました。 ただし、鉄と銅に関しては、遺伝毒にさらされる前にオレンジジュースを飲んでおく必要があります。
  • 抗炎症作用
    ガンは感染や、慢性的な炎症が見られる箇所に発生することが多いことから、炎症はガンの発生に関与していると考えられています。 オレンジジュースの抗炎症作用について調べた研究は少ないのですが、オレンジジュースによって、C反応性タンパク質(体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質)や、酸化ストレスおよび炎症のマーカー(血液中の物質であって体内で炎症が生じていることを示すもの)などが減少する可能性を示唆する研究が1つあります。
  • アポトーシス
    人体には、ガン化した細胞を取り除き、腫瘍の成長を未然に防いでくれる仕組みが備わっており、この仕組みのことをアポトーシス(プログラム細胞死)と言いますが、オレンジジュースに含まれるビタミンC とヘスペリジン(フラボノイドの一種)には、アポトーシスを誘引する作用があります。
オレンジジュースによる栄養と薬の吸収率増減

オレンジジュースには、鉄や、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、セレニウムなどのミネラルの吸収率を増加させる作用と、一部のアミノ酸の吸収を調節する作用があります(オレンジジュースによってグリシンの吸収率が増加するが、リジンとメチオニンの吸収率は増加しない)。

グレープフルーツによって薬の効き目が強くなり過ぎることは知られていますが、オレンジジュースの場合は、逆に薬が効き難くなるケースが多く、アセチルサリチル酸(アスピリンと同じ)や、β‐アドレナリン遮断薬、抗ヒスタミン薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、化学療法薬、血糖低下薬(糖尿病の薬)などの吸収率が低下します。 一方で、オレンジジュースの酸や、代謝酵素への影響などにより薬(や栄養素)の吸収が促進されることも考えられるので注意が必要です。

オレンジジュースの副作用

オレンジジュースも、特に大量に飲んだ場合には、有害となり得ます。 腎臓に障害のある人において高カリウム血症の恐れがあるほか、食品アレルギーの原因となる可能性も指摘されています。 また、オレンジジュースを飲んだ後には唾液の pH が下がるため、唾液量の少ない人がオレンジジュースを日常的に飲んでいると虫歯になるリスクが増加します。

さらに、血圧の高い人が、酸味の強いタイプのオレンジ(Citrus aurantium、ダイダイ)の抽出物を摂取することで、体重増加、血圧増加、心臓障害などの弊害が生じることが示されています。 これはおそらく、オレンジに含まれるシネフリン、オクトパミン、およびフロクマリンの作用だと考えられます。 したがって、重度の高血圧の人や緑内障の人、あるいはモノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用している人は、酸味の強いタイプのオレンジジュースは避けるべきです。

また、加熱殺菌がなされていないオレンジジュースでは、サルモネラ菌による中毒の危険があります。

オレンジジュースに含まれる有害物質

オレンジジュースには、抗変異原性作用と抗遺伝毒性作用などの良い作用がある一方で、変異原性と遺伝毒性のある有害な化合物も含まれています。 このような有害な化合物は、オレンジジュースの成分が遷移金属と相互作用することによって、あるいは自動酸化(酸素や紫外線による酸化)の副産物として生じている可能性があります。