オレンジ・ジュースをよく飲む男性は認知機能が低下しにくい?

(2018年11月) "Neurology" 誌に掲載されたハーバード大学の研究によると、オレンジ・ジュースをよく飲む男性は認知機能が低下しにくいかもしれません。
Changzheng Yuan et al. "Long-term intake of vegetables and fruits and subjective cognitive function in US men"

研究の方法

米国に済む平均年齢51才の男性 27,842人を対象に、1986年から 2002年にかけて食生活に関するアンケート調査を4年ごとの5回にわたり実施しました。

認知機能に関しては、SCF(主観的な認知機能。 自分で自分の認知機能の具合をどう感じているか)に関するアンケート調査を 2008年と 2012年に実施しました。 SCFアンケートの有効性は、以前の調査で確認済み(*)です。

2回実施したSCFアンケートの結果に基づき、データ全体をSCFが「良好」、「普通」、または「悪い」という3つのグループに分けました。

(*) 論文要旨に「SCFアンケートとAPO ε4遺伝子型との間に強い関係が認められている」と記載されています。

つまり以前の調査において、SCFアンケート(主観的な調査なので認知機能を測定するツールとしての有効性が怪しい)の有効性がアルツハイマー病リスクの目安であるAPO ε4遺伝子型(客観的で信頼性が高い)により裏付けられているということでしょう。

「APO ε4遺伝子型」とは「アポリポたんぱく質E(APOE)を作り出す遺伝子としてε4というタイプのものを有している」ということです。 APOEの主要なタイプはε2・ε3・ε4の3種類で、最も一般的なのはε3です。 アルツハイマー病患者にε4の持ち主が多いことが知られており、ε4はアルツハイマー病のリスク要因とされています。

「アポリポたんぱく質E(apolipoprotein E-ε4)」の略称は統一されていないようで、今回の論文では "APO ε4" ですが、以前に記事にした論文では "APOE-ε4" と表記されています。 別の論文では "ApoE4" と表記されていますし、"APOE4" という表記することも多いようです。

"APOε4" と "APOE4(ApoE4)" は、同じ言葉であるようでいて実は微妙に異なり(略語に残っている文字が "Apolipoprotein E" の "E" か "ε-4" の "ε" か)、それでいて指し示しているものは同じ(Apolipoprotein E-ε4)であるという幽玄な関係にあります。

結果

野菜(トータル)の摂取量が多い場合には、SCFが「悪い」に該当するリスクが34%低下していました。

果物(トータル)の摂取量とSCFとの間には(いろいろな要因を考慮した末の分析では)関係が見られませんでしたが、オレンジ・ジュースの飲用量が多い場合には、オレンジ・ジュースを飲む習慣がない(飲用量が月に1杯未満である)場合に比べてSCFが「悪い」に該当するリスクが47%低下していました。

また、SCFアンケートを実施する18~22年前ごろに(5回実施したアンケートの最初のほうで)野菜や果物の摂取量が多かった人は、のちに(5回実施したアンケートの最後のほうで)野菜や果物の摂取量が減っていてもSCFが「悪い」に該当することが少なくなっていました。