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関節炎の原因は関節の摩耗ではなく飽和脂肪?

(2017年4月) "Scientific Reports" に掲載されたクイーンズランド工科大学などの研究によると、一部の飽和脂肪酸が関節炎(変形性関節症)の発症に関与している可能性があります。

飽和脂肪酸について

ヒトの食事に含まれている飽和脂肪酸は主に、ラウリン酸・ミスリチン酸・パルミチン酸・ステアリン酸の4種類です。

  • ラウリン酸はココナッツ油(ヤシ油)やパーム核油に多量に含まれている脂肪酸で、ココナッツ油やパーム核油に含有される脂肪酸全体の50%弱がラウリン酸です。
  • ミスリチン酸もココナッツ油やパーム核油に多量に含まれている脂肪酸で、ココナッツ油やパーム核油に含有される脂肪酸全体の15~20%がミスリチン酸です。 ミスリチン酸はバターにおいても、含有される脂肪酸全体の10%ほどを占めています。
  • パルミチン酸の含有量が最も多いのはパーム油で、パーム油に含有される脂肪酸全体の40%超がパルミチン酸です。 パルミチン酸はバター・牛肉・卵黄・サーモンにおいても、含有される脂肪酸全体の30%近くを占めてもいます。
  • ステアリン酸は動物性の脂肪(含有される脂肪酸の10%前後を占める)やココア・バター(同じく24~37%を占める)に多量に含まれています。
上記の脂肪酸含有量は主にWikipedia に基づいています。 Wikipedia の情報に間違っている部分があり、その部分に関しては上記の内容に含めていませんが、私が気付いていない部分で他にも間違いがあるかもしれません。
パーム油とパーム核油とココナッツ・オイルの違い

パーム油はアフリカ産のアブラヤシ(Elaeis guineensis など)の実を絞って取り出される油で、βカロチンを含むために赤っぽい色をしています。 パーム核油はパーム油を採れるのと同じ植物の種子から取れる油です。 ココナッツ・オイル(ヤシ油)はココ椰子(Cocos nucifera)という植物の種子や果肉から取れる油です。

研究の方法
72匹の雄ネズミを次の6つのグループに分けて16週間にわたり飼育しました:
  1. コーンスターチを多量に含むエサを食べるグループ
  2. 単純炭水化物(果糖などの糖類)とラウリン酸を大量に(*)含むエサを食べるグループ
  3. 単純炭水化物とミスリチン酸を大量に含むエサを食べるグループ
  4. 単純炭水化物とパルミチン酸を大量に含むエサを食べるグループ
  5. 単純炭水化物とステアリン酸を大量に含むエサを食べるグループ
  6. 単純炭水化物と牛脂(†)を大量に含むエサを食べるグループ

(*) 20%の割合で含有。他の飽和脂肪酸や牛脂も同様。

(†) 主にステアリン酸とトランス脂肪酸を含んでいる。

2~5のグループでは、飲み水にも果糖が25%の割合で混入されました。 いずれのグループも、エサは食べ放題で水も飲み放題でした。

結果
長鎖の飽和脂肪酸である牛脂・ステアリン酸・ミスリチン酸・パルミチン酸を与えられたグループでは、メタボリック・シンドロームの兆候が現れ、さらに関節炎の患者に見られるような軟骨の変質と軟骨下骨(*)の変化が見られました。
(*) 軟骨の下に存在する骨の層。

これに対して、中鎖の飽和脂肪酸であるラウリン酸を与えられたグループではメタボリック・シンドロームの兆候や軟骨の変質が生じるケースが減っていました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「関節炎の発症に深く関わっているのは、関節の摩耗よりも食生活であると思われます」

「飽和脂肪酸が軟骨に蓄積して軟骨の代謝に異変を引き起こすと、軟骨が弱くなりダメージを受けやすくなります。 そうすると、軟骨のクッション機能が損なわれて関節炎の痛みが生じるようになります。 バターなどの動物性の脂肪やパーム油ばかりを長期間にわたり食べていると、軟骨が弱ってしまう恐れがあります」

「私たちが以前に行った研究で、脂肪酸が関節にもたらすダメージの進行を鈍化させるのに抗酸化物質とコレステロール低下薬が有効であることが示されていることから、飽和脂肪酸が関節組織全体に炎症を引き起こしているという可能性も考えられます」