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卵巣ガン予防に効果がある抗酸化物質と効果がない抗酸化物質

(2017年2月) テネシー大学などの研究チームが抗酸化物質と卵巣ガンになるリスクとの関係を調べた結果が "Journal of Nutrition" に掲載されています。

研究の方法

卵巣ガン患者406人と健常者632人のデータを用いて、ビタミンC・ビタミンE・セレン(セレニウム)・カロテノイドといった抗酸化物質の摂取量と卵巣ガンになるリスクとの関係を調べました。

データに含まれていたのはいずれも米国各地に住む黒人女性で、卵巣ガン患者のグループと健常者のグループは居住地域や年齢において釣り合いが取れるように選出されました。

データの分析においては、年齢・居住地域・教育水準・喫煙習慣・経口避妊薬の使用・閉経・卵管結紮(*)・卵巣ガンの家族歴・カロリー摂取量・BMI・運動習慣といった要因を考慮しました。
(*) 「結紮」は「けっさつ」と読む。「紮」は「くくる」とか「しばる」という意味。 卵管結紮とは卵管を切断したり縛ったりして卵子が子宮に届かないようにする避妊手術のこと。
結果

ビタミンC・ビタミンE・カロテノイドの摂取量と卵巣ガンになるリスクとの間には関係が見られませんでした。

セレンをサプリメントで摂取する量についてのみ卵巣ガンになるリスクとの間に関係が見られました。 セレンにしても、食事から摂取する量については卵巣ガンのリスクとの間に関係が見られませんでした。

サプリメントによるセレンの摂取量が1日あたり20μgを超える場合には、セレンのサプリメントを服用していない場合に比べて、卵巣ガンになるリスク(オッズ比)が33%低くなっていました。 喫煙者に限ると87%のリスク低下でした。

セレンについて

セレンはミネラルの一種で抗酸化作用がありますが、必要量はごくわずかで摂取量が少しでも過剰であると毒性を発揮します。 適切な摂取量の幅が狭く、適量を摂取するのが容易ではない抗酸化物質であると言えます。

これまでの研究では、セレンが欠乏(極度に不足)するとガンのリスク増加することが示されている一方で、セレン摂取量が過剰であると糖尿病・前立腺ガン・早死にのリスクが増加する恐れがあることも示されています。

今回の研究ではサプリメントでセレンを服用している場合にのみ卵巣ガンのリスクが低下するという結果になっていますが、セレンをサプリメントで摂るのは望ましくないと考える専門家もいます。

セレンの摂取

セレンは穀物・卵・魚(マグロ類/カツオ/サバ/アジなど)に多く含まれています。 ナッツ類の一種でありセレン含有量が多いことで知られるブラジル・ナッツには、100gあたり 1,917μgという極めて大量のセレンが含有されています。

日本人の食事摂取基準(2015年版)によると成人女性のセレン推奨摂取量は25μg/日(摂取量上限は330~350μg/日)ですが、例えば、鶏卵には32μg/100g、食パンには24μg/100gという具合に日常的な食品にも結構な量のセレンが含まれているので、普通の食生活を送っていればセレンが不足することはありません。