太っていると食べた食事を鮮明に思い出せないので間食が増える?

(2016年2月) "The Quarterly Journal of Experimental Psychology" に掲載されたケンブリッジ大学の研究で、過体重の人は記憶力が悪いという結果になりました。出典: Being Overweight Linked to Poorer Memory

肥満と記憶力

これまでの研究により、太っている人は平均的な人に比べて脳の構造と機能が異なっていて一部の認知機能が劣っている可能性が示されています。

肥満者に顕著な脳の異常は海馬と前頭葉の機能不全です。 海馬は脳の領域のうち記憶と学習に関与する部分です。 前頭葉も意思決定・問題解決・感情に関与することから、記憶に影響している可能性があります。

ただし、肥満者における記憶障害に関するデータはまだ十分ではありません。

研究の方法

BMIが18~51で年齢が18~35才の男女50人(72%が女性)に宝探しのコンピューター・ゲームを行ってもらいました。 このゲームでは2日間にわたって、複雑な地形(例. ヤシの木の生えた砂漠)に複数の宝物を隠し、どの宝物をいつどの場所に隠したかを思い出してもらいます。

結果

全般的に見て、BMIが高い人はゲームの成績が良くありませんでした。

解説
BMIが高い人では、脳に生じる構造的および機能的な変化のためにエピソード記憶(*)を形成したり取り出したりする能力が衰えている可能性があります。 今回の被験者が若い人たちだったことから、肥満に伴う認知障害はやはり若いうちから生じているのかもしれません。
(*) エピソード記憶とは、過去の出来事を思い起こして再体験するというタイプの記憶力のことです。 エピソード記憶は例えば、今日の昼に食べた食事のことをどれだけ鮮明に思い出せるかというのに関係しています。 直近の食事のことを鮮明に思い出せないと、どれだけの量をどのようにして食べたのかをよく思い出せないために間食が増える可能性があります。
コメント
研究者は次のように述べています:
「過体重であれば必ず記憶力が悪いのだというわけではありません。 しかし、今回の結果が実生活にも当てはまるのであれば、太っている人は前回の食事のことなどの詳細を鮮明に覚えていられない可能性があります。過去の研究によると食事量の調節には食事に関する記憶が関与しているので、食事に関する記憶が曖昧であると食事量をうまく調節できないかもしれません」
留意点
今回の研究は小規模で予備的なものなので、今回の結果を今後の研究で確認する必要があります。