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パクリタキセルで乳ガンが肺へと転移しやすくなる恐れ

(2017年8月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" に掲載されたオハイオ州立大学の研究により、乳ガンなどの治療に用いられるパクリタキセルという薬物が、乳ガンの肺への転移を後押しすることが示されました。

研究の概要

研究チームはマウス実験を行って、パクリタキセルが以下を引き起こすことが明らかになりました:
  • 乳ガンの腫瘍からガン細胞が離脱するのに必要な「分子的な扉」の数を増やすシグナルを送って、乳ガン細胞の他の臓器への移動を促進する。 この「扉」は乳ガン細胞を積極的に腫瘍外へと誘い出す作用すらあるかもしれない。
  • 肺組織を血流中に存在するガン細胞にとって優しい(免疫的にガン細胞に寛容な)ものとする。 その結果、ガン細胞が肺に入り込んで定着しやすくなる。

今回の研究はマウス実験ですが、ヒトの乳ガンでも同様である恐れがあります。

Atf3遺伝子

パクリタキセルの乳ガン腫瘍への作用も肺環境への作用も、Atf3という遺伝子が関与しています。 Atf3遺伝子はストレスにより活性化し、乳ガン細胞の移動を促進したり肺の環境をガン細胞に適するものにしたりします。 今回の研究で調べたヒトのデータでは、化学療法を受けた患者でAtf3遺伝子の活性が高くなっていました。