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副流煙などに含まれる低分子のPAHも体に悪い

(2013年6月) コロラド大学の研究によると、これまで研究がなされてこなかった低分子の多環芳香族炭化水素(PAH)にもガンを促進する作用があります。

高分子 PAH と低分子 PAH

多環芳香族炭化水素(PAH)とは、タバコの副流煙・ディーゼルエンジンの排気ガス・油の燃焼などに含まれている発ガン性物質です。

PAH の中でも、高分子で危険性も明白なベンゾaピレン(BaP)は研究も進んでいますが、遺伝子変異能力(発ガン性)が弱いとされる低分子のもの(LMW PAH)は、ほとんど研究されていません。

今回の研究

今回の研究では、 LMW PAH のうちの2種類、1-メチルアントラセン(1-MeA)と 2-メチルアントラセン(2-MeA)について調べました。 その結果、LMW PAH は必ずしもガンの原因とはならないが、1-MeA がガンが増殖しやすい状況を促進する(つまり、ガンを発生させはしないが、発生したガンを助長する)ことが示されました。

すなわち、マウス細胞と肺ガンの前駆細胞とを用いた今回の実験で、1-MeA に炎症を促進し、分裂に関わる経路を増加させるという作用のあることが明らかになったのです。 構造的にほぼ同一の 2-MeA には、このような作用はありませんでした。

1-MeA は他にも、細胞間のコミュニケーションを撹乱して細隙結合(ギャップ結合ともいい、隣接する細胞間の情報交換に用いられる)に影響を与える、COX2遺伝子を上方制御する(発現量を増加させる)などの作用が認められました。 COX2遺伝子は、他の複数の研究において、過剰に攻撃的な炎症応答の原因となることが示されています。 過剰な炎症も、腫瘍の増殖を促進します。
つまり、1-MeA は直接的に、およびCOX2遺伝子を通して間接的に炎症を促進し、それが腫瘍を悪化させる原因になるということでしょうか。
研究者は次のように述べています:
「タバコの副流煙には実に多用なPAHが含まれています。 BaPなどのように明らかに有害(直接的に突然変異を引き起こす)なものもあれば、今回の 1-MeA のように作用があまり知られていないものもあります。これらの PAH は将棋の駒のようなもので、まずそれぞれの駒の動かし方がわからないことには全体としての作用も見えてきません」
研究グループは、今後、PAH 群全体の作用について研究する予定です。