解熱鎮痛剤の服用は十分に水分を摂ってから

(2013年1月) "The Journal of Pediatrics" に掲載されたインディアナ大学などの研究によると、薬局などで誰にでも入手できる非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を子供が服用すると腎障害が起こる可能性があります。 このリスクは特に脱水状態のときに増加します。

成人の場合、数年間にわたる NSAID の常用により腎障害が生じるリスクが増加することが知られていますが、子供についてはこれまでほとんど報告がありませんでした。

NSAID とは
喉に効くことで有名なイブプロフェンや、アスピリン、ナプロキセン、ケトロラックなどの解熱鎮痛剤が NSAID です。
研究の方法

1999~2010年半ばにかけてインディアナポリスの病院に入院した子供たちの医療記録を調査しました。

結果

対象期間中における腎障害の治療件数は1,000件超で、このうち3%に NSAID が関わっていました。 腎障害の治療を受けた子供たちの年齢は5歳未満~10代で、全員が入院する前にNSAIDを服用していました。 この3%以外に、腎障害による入院の原因が複数存在するケースの中にも NSAID が関与しているものが含まれている可能性があります。

NSAID の服用により腎障害で入院した子供の大部分は、規定量しか服用しておらず、NSAID を前回服用してから少なくとも1週間は経っていました(つまり、連用はしていなかった)。

今回の研究で対象となった子供たちの大部分では腎障害から回復しましたが、腎障害が残った子供が7人いました。

解説

研究者の話では、NSAID により腎障害を起こした子供のほとんどは、水分摂取が十分でないうえに嘔吐や下痢などの症状があったため、脱水症状になっていたと考えられます。 脱水症状になったときには腎臓の保護機構が作動しますが、NSAID がこれを阻害するために腎障害になります。

急性の腎障害は症状が表れないこと多いのですが、子供が尿量の減少や腹痛を訴えたら、それが腎障害の兆候かもしれません。

研究者は、水分が不足気味である子供に対して NSAID を服用させる場合には、くれぐれも慎重になるようにと警告しています。 子供に飲ませる解熱鎮痛剤としては、NSAID よりもアセトアミノフェン(タイレノール)が良いかもしれないとも言っています。

小さい子供は特に NSAID による腎障害に注意が必要です。 今回対象となったケースにおいても、5歳未満の子供では全員が、透析治療を受けたり集中治療室に入ることになりました。

コメント
専門家(米国の小児科医)は次のように述べています:
「NSAID による腎障害のリスクは医師のあいだでは良くしられているけれども、一般にはあまり知られていません。 医師も患者も NSAID を余りにも気軽に使いすぎている。 熱が出ると言うのは体が感染症と戦っている証なので、薬を飲む必要が無いケースが大部分です」
この専門家は他にも次のようなアドバイスをしています:
  • 運動後に痛み(筋肉痛?)を訴える子供に NSAID を飲ませるのも危険。 運動により脱水症状になっている可能性があります。
  • 子供に NSAID を飲ませる場合には、くれぐれも子供が十分に水分を摂れていることを確認しましょう。
  • 市販薬であっても、できれば医師に相談したうえで服用させるのが望ましい。
タンパク尿症患者の41%が NSAID を服用

2014年4月に開催された National Kidney Foundation の会合で発表された米国の研究で、300人近くの入院患者(年齢や入院の理由は不明。 たぶん中高齢者)を調査したところ、40%(120人ほど)の患者がタンパク尿症で、さらにこの120人ほどの患者の41%が NSAID の服用者でした。

タンパク尿症とは、尿にタンパク質が過剰に含まれるという症状です。 腎臓疾患の初期の兆候であり、心臓疾患のリスク要因ともなります。 タンパク尿症は投薬だけで治療することができます。