(2016年4月) "Jurnal of Nutrition" に掲載予定である米国ガン協会などの研究によると、メディテラネアン・ダイエットやパレオ・ダイエットなどの食事法により全身的な慢性炎症や酸化ストレスが緩和されるかもしれません。
酸化ストレスと慢性炎症
酸化ストレスとは、活性酸素種(ROS)と抗酸化物質のバランスが崩れてROSが過剰となった状態のことです。 ROSは人体にとって必要な存在ですが、ガンや老化の原因にもなります。
炎症も傷の治癒や感染症の抑制などにおいて人体にとって有益ですが、のべつまくなしに生じる慢性炎症はガン・糖尿病・心臓疾患などの一因となります。
研究の方法
30~74才の男女646人を対象に食生活に関するアンケートと血液検査を実施しました。 そして、普段の食事の内容がメディテラネアン・ダイエットやパレオ・ダイエットにどれだけ近いかに応じてデータ全体を5つのグループに分割し、血液検査から判明した炎症および酸化ストレスの程度をグループ間で比較しました。
結果
食生活がメディテラネアン・ダイエットやパレオ・ダイエットに近いと、炎症や酸化ストレスの程度が一定以上であるリスクが少ないという結果でした:
炎症
- 食生活がパレオ・ダイエットに最も近いグループは最も遠いグループに比べて、炎症の程度が一定以上であるリスクが39%低かった。 ただし統計学的な有意性に問題がある(95% CI: 0.36, 1.05;P-trend = 0.06)。
- 食生活がメディテラネアン・ダイエットに最も近いグループは最も遠いグループに比べて、炎症の程度が一定以上であるリスクが29%低かった。 ただし統計学的な有意性に問題がある(95% CI: 0.42, 1.20;P-trend = 0.01)。
酸化ストレス
- 食生活がパレオ・ダイエットに最も近いグループは最も遠いグループに比べて、酸化ストレスの程度が一定以上であるリスク49%低かった。
- 食生活がメディテラネアン・ダイエットに最も近いグループは最も遠いグループに比べて、酸化ストレスの程度が一定以上であるリスク61%低かった。