膵臓ガンのリスクと食生活の関係。 適量の飲酒だとリスクが低下

(2017年1月) 浙江医院(中国)の研究チームが食生活や飲酒習慣と膵臓ガンになるリスクとの関係について過去の研究データを分析(メタ分析)した結果が "Nutrients" 誌に報告されています。

メタ分析の方法
食生活あるいは飲酒習慣と膵臓ガン発症リスクとの関係について調べた研究の中から所定の基準を満たす32の観察研究(*)を選出し、それらのデータを分析しました。
(*) コホート研究が18、ケース・コントロール研究が14。
結果

膵臓ガンのリスクが下がる食生活・飲酒習慣
食生活が健康的(*)な場合には、不健康な場合に比べて膵臓ガンの発症リスクが15%下がっていました。

また、お酒をあまり飲まない(†)場合に比べて、少量~適量の飲酒習慣(‡)がある場合には、膵臓ガンの発症リスクが10%下がっていました。

(*) 野菜・果物・全粒穀物・オリーブオイル・魚・大豆・鶏肉・低脂肪の乳製品をよく食べるという食生活。

(†) 1日あたりの飲酒量が男性では1杯未満、女性では0.5杯未満。 今回の研究では「1杯」はアルコール12.5g。

(‡) 1日あたりの飲酒量が男性では1杯超~4杯未満、女性では0.5杯超~2杯未満。
膵臓ガンのリスクが増える食生活・飲酒習慣
食生活が欧米型(*)である場合には、膵臓ガンの発症リスクが24%高くなっていました。 飲酒量が多い(†)場合にも、リスクが29%高くなっていました。

(*) 赤身肉・加工肉(ハムやソーセージなど)・精製穀物(⇔ 全粒穀物)・糖類・高脂肪の食品・ジャガイモを食べることが多く、野菜や果物を食べることが少ないという食生活。

(†) 1日あたりの飲酒量が男性では4杯超、女性では2杯超。
飲酒習慣と膵臓ガンのリスク
大量の飲酒
今回のメタ分析において、飲酒量が多い場合に膵臓ガンになるリスクが増加していたのは不思議ではありません。 その理由は次の通りです:
  • アルコール(エタノール)が体内で代謝されて生じるアセトアルデヒドに発ガン性がある。
  • アルコールと脂肪酸が反応して生じる脂肪酸エステルは、膵臓に蓄積して炎症や線維化を引き起し膵臓ガンの発生を促進する。
  • 飲酒習慣は慢性膵炎のリスク要因であるが、この慢性膵炎が膵臓ガンのリスク要因。
  • 大量の飲酒は酸化ストレスを引き起こしてDNAを傷つけかねない。
過去の複数の研究で、大量に飲酒する習慣により膵臓ガンのリスクが増加することが示されています。
適量の飲酒
適量の飲酒習慣により膵臓ガンのリスクが下がっていた理由として、研究チームは「適量の飲酒により空腹時インスリン値が低下したためかもしれない。 空腹時インスリン値が膵臓ガンのリスクに関与することが知られている」と述べています。