ビタミンD で初期のパーキンソン病の症状が緩和される可能性

"Journal of Parkinson's Disease"(2014年1月)に掲載された米国の研究によると、ビタミンD3(以下「ビタミンD」) によってパーキンソン病の症状が緩和される可能性があります。

この研究で、パーキンソン病の患者286人を調べたところ、ビタミンD の血中濃度が高い人ほど①パーキンソン病の症状が軽く、②認知能力が比較的良好で、③鬱症状が軽度だったのです。 このビタミンD とパーキンソン病の症状の関係は、認知機能に障害が出ていない患者で特に顕著でした。
豆知識
記憶・学習に関与する海馬などの脳の領域に、ビタミンD の受容体およびビタミンD の変換酵素が存在することが過去の研究で明らかにされています。
②に関して、研究者は次のように述べています:

「パーキンソン病患者の約30%に認知障害や認知症が現れます。 軽度の認知障害(MCI)は認知症の発症につながる恐れがあります。 認知症になると、介護施設の利用が必要になったり、寿命が短くなったりします。 したがって、パーキンソン病患者における認知症の発症抑制は、死亡率と(何の?)罹患率の改善につながると考えられます」


今回の研究では、パーキンソン病患者286人の総合的な認知機能、言語記憶力、語彙的な言語能力(semantic verbal fluency)、実行機能(executive function)、鬱症状を測定しました。 そして同じ日に、ビタミンD の血中濃度も検査しました。 286人のうち、"Diagnostic and Statistical Manual of the American Psychiatric Association (第4版)" に基づき認知症と判定されたのは61人でした。

認知機能
認知機能に関する主な結果は次の通りです:

  • ビタミンD の血中量とパーキンソン病の重症度("Hoehn and Yahr Scale" と "United Parkinson's Disease Rating Scale" に基づき判定)が逆相関の関係にあった。 すなわち、ビタミンD の血中量が高い水準にある人ほど、パーキンソン病の症状が軽度だった。

  • ビタミンD の血中量が多い患者ほど、語彙的な言語能力と言語記憶力が優れていた。 すなわち、ビタミンD の血中量が多い患者のほうが、野菜や動物の名前がすらすらと出てきたし、言語に関する短期・長期記憶力(immediate and delayed recall on a verbal learning test)において優れていた。

  • ただし、286人を、認知症を発症しているグループと発症していないグループとに分けて見た場合、認知症を発症しているグループでは、ビタミンD の血中量が多くても言語記憶力と語彙的な言語能力が(有意に)優れているということはなかった。

  • 統計的に有意とまでは言えないが、認知症が出ていない患者のほうが、出ている患者よりもビタミンD の血中量が多い傾向にあった。
この点に関して、研究者は次のように述べています:

「ビタミンD の血中濃度と認知能力との関係が認知症を発症していないグループで明確であったことから、認知症を発症する前の初期の段階で介入(ビタミンD を投与?)するのが有効だと考えられます」


鬱症状
パーキンソン病患者の鬱症状("Geriatric Depression Scale" に基づく判定)もビタミンD の血中量と逆相関関係にありました。 ただし、鬱症状に関しても、認知症を発症しているパーキンソン病患者では、ビタミンD の血中量が多くても鬱症状が有意には軽減されていませんでした。

注意点
今回の研究は、ビタミンD の血中濃度とパーキンソン病の重症度との相関・逆相関の関係を調べただけのものであって、両者の因果関係を調べたものではありません。

したがって、ビタミンD の血中量が多いとパーキンソン病の症状が軽いとは限らず、原因と結果が逆で、パーキンソン病の症状が軽いとビタミンD の血中量が多いという可能性もあります。

例えば、パーキンソン病の症状が軽い人の方が外出することが多く、そのために日光に当たる時間も長い(ビタミンD は日光に当たることで合成される)のかもしれないわけです。

また、この研究では、患者がビタミンD のサプリメントを服用しているかどうかも調べませんでした。