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SSRI系抗鬱剤パロキセチンを妊娠中に服用すると奇形児のリスク

(2016年1月) "British Journal of Clinical Pharmacology" に掲載されたモントリオール大学のメタ分析によると、妊娠1~12週目にパロキセチンというSSRI系抗鬱剤を服用していると胎児に奇形が生じる恐れがあります。出典: Antidepressant Drug Linked with Increased Risk of Birth Defects When Taken in Early Pregnancy

これまでの研究

妊婦の抑鬱の治療には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)系の抗鬱剤が最も多く使われます。 SSRI系抗鬱剤のなかでもパロキセチン(パキシル)は 2005年まで、妊娠中の使用も安全であると考えられていました。

ところが、パロキセチンのメーカーが行った小規模な研究で、パロキセチンを服用していた妊婦から生まれた子供において心奇形のリスクが増加するという結果になりました。 その後に欧米で行われた様々な類似研究は、統計学的な有意性という点においては一致していませんが、パロキセチンにより奇形のリスクが増加するという傾向においては一致しています。

メタ分析の方法

パロキセチンの胎児への影響を調べた研究であって23の研究のデータを分析しました。

結果
妊娠1~12週目にパロキセチンを使用するとパロキセチンを使用しない場合に比べて、軽微でない先天性奇形(*)のリスクが23%、そして軽微でない心奇形のリスクが28%高くなっていました。
(*) 軽微でない先天性奇形(major congenital malformation)とは、出生の時点で心臓・脳・腎臓・骨・腸管などに身体的な欠損が存在することを言います。
解説
軽微でない先天性奇形と軽微でない心奇形それぞれの絶対リスクは3%と1%です(*)が、妊娠中にSSRI系抗鬱剤を使用することの有益性が疑わしい(†)ことを考えれば、この程度のリスク増加であっても無視すべきではありません。

(*) これらの数字が数十%増えて先天性奇形のリスクが4%や2%程度になったところで大きなリスク増加とは言えないということでしょう。

(†) 妊娠による代謝の変化のために、服用した薬が体外に排出されるのが早くなる。
研究者は次のように述べています:
「抗鬱剤全般そして特にSSRI系抗鬱剤の有益性は、100歩譲って『疑わしい』という程度でしかありません。 有益性とリスクとを天秤にかけると、抑鬱症状が軽微~中程度である妊婦は抗鬱剤を使用しないのが良いと思われます。 妊婦の抑鬱の85%が軽微~中程度です。 抑鬱が軽微~中程度である場合には心理療法や運動プログラムを利用しましょう」